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63 アレックスの最後…と災悪の始まり…


~ルイス視点~


 俺はホテルへと戻り事の事情を仲間全員に説明する。


 「スルトは隠れていた方がいいな…。後、フレアとケアルもそうしていた方がいい…」


 「嫌なのじゃ!皆が戦っている中一人ではいられないのじゃ!!」


 「スルトに賛成…です。これでも私は黒魔道士…です…。一応、色々な魔法は使える…です…。」

 

 「ケガしたらヒナル以外に誰が回復するのよ!!私も行く!いい!?」


 3人ともまだ子供だ…。あっ…、スルトはどうかわからないが…。


 「…やっぱりだめだ…。連れていけない…」


 そう言うと、ケアルが目付きを変えて怒りだす…。  


 「アンタねぇ!!これは私の国でもあるの!!ここを守らないとお母さんだって危ない!!」


 「…」


 「大丈夫なのじゃ!危なくなったら逃げるのじゃ!!」


 「…」


 「ルイス兄さん… たまには…私達の事を信じてほしい…です…」


 三人とも真剣な表情でこちらを見ている…。期待してほしいのが直感で伝わってくる…。


 「…分かったよ…。ただし危なくなったら逃げろよ?」


 「「「うんっ!!」」」


 「それとコタース!」


 コタースはラビット族の支援要請を出してくれていた…。ありがたい事だ…。


 「うん~っ?」


 「支援要請の方、ありがとう…」


 「なんも~だよ~っ!!ウチのお父さんに言ったらOKしてくれたよ~っ!!」


 「父さんが?!コタースの父さんすげぇ…!」


 「だって… ラビット族の王様だもん~っ、当たり前だよ~っ!」


 「へっ!?」


 「「「えぇええええっ!!」」」

 

 つまり、コタースはお、お姫様だったの!?


 「まさか…コタースって!?」


 「言ってなかったし言うつもりも無かったからね~っ!ラビット族の第3王女だよ~っ!」


 「ひぇええええ!!」


 何故か俺の回りって凄い人だらけだ…。ヒナルは大聖女で実の妹…、仁さんは神牙流の棟梁でその娘のフレアとケアル…、コタースはラビット族のお姫様…、ミランダは王家直属の護衛騎士団団長の娘…。フィリシアもエルフ国の王女…。やばいだろ!?


 (…にしても…ヒナルが遅い…。まさか…クリステル達は既にアレックスの所に…)


 「ちょっとヒナルを探してくる!もしかしたらアレックスがいる収容所にいる可能性がある!」


 「分かったよ~っ!」


 俺は大事に閉まってあったほ聖剣を手に取りホテルを後にした…。




………。

……。

…。





 俺は色々な犯罪者が収容される収容所へと足を運ぶ。赤いレンガの塀に囲まれた立端の高い建物だ。


 (ヒナルはまだ中にいるのか?)


 建物の入り口の兵士に声を掛けると、今さっき、出ているとの事だ。


 入り口から少し離れた場所を見ると、そこにはヒナルの姿らしき人が向こう側で俺とは逆方向で歩いている姿を確認できた。ヒナルとおぼしき人と3人の女性の姿が見える…。

 俺は行こうか躊躇ったが…。ホーエンの件もあるため勇気を出してヒナルの元へと歩み寄る。


 ヒナルだと分かるとヒナルもこっちに気付いて両手を上げて手を大きく振る姿が確認できた…。


 その時だった…。


 収容施設の方からドガンッ!!と大砲のような音が出たと同時に建物が崩れるような音が響き渡る。


 (なんだ?!)


 振り向けば、収容所の建物の一部が崩れ落ちるのが確認できる。それと同時に黒い影がヒナルの居る方角へと飛んでいくのも確認できた。 


 (あれはなんだ?!何かやばいものに見える!ヒナル達が危ない!)


 俺は直ぐ様、自分に身体強化をかけて走りだす…。 


 「お兄ちゃん!!」


 「なんだこいつは!?」


 見るからに異様な化け物だ。体全体がどす黒く…大きく膨れ上がり、その体の中心にはまるで人間のようにも見える…。背中には巨大な翼があり、腕から下が異様な形をしていて剣のようにも見える手をしている。その異様な化け物は


 「ルイス!あれからは禍々しいオーラを感じます!ルイスもヒナルも貴方達だけでも逃げてください!」


 「…」


 俺は聖剣を構える。


 『オマエハ…ルイス!!ルイス!!コロス』


 (俺を知っているのか?!)


 『ボクダヨ!!スキル モツカエナイ コノムノウガ!!』


 「お前は?!アレックスなのか!?」


 俺はここに居る4人にも身体強化、魔力増幅、のバフを掛ける。


 『ソウサ!スバラシイ チカラダヨ コレハ!!』



 「とうとう人間まで辞めちまったのかよ!兄貴を守る!!」


 「私達もこのクズを倒します!お兄様の敵!!」


 シューもエアロも化け物と化したアレックスに向かい構えをとる。


 『ココデ オマエヲ コロセバ…!ボクハ マタ ユウシャニ ナレル!!』


 「勇者様!!こちらは任せてください!」


 そんな時、被害を知り駆けつけてきた兵士達が俺達よりも先に先手を打とうとするが…。


 『ジャマダヨ!!キエロ!!』


 その化け物は腕を軽く振るうと瞬く間に兵士達が斬られて吹き飛ばされてしまう。


 「ヒナル!シールド展開を!」


 「分かった!お兄ちゃん!!」


 そして、俺は無意識のうちに…。


 「クリステル。回復を… 兵士達に治癒魔法を!」


 「わ、わかりました…!」


 ヒナルはシールドの詠唱を唱え…。


 「セイクリッドシールド!」


 俺達の前に光が集まると1つの形を作り出し魔法の盾が出現する。

 クリステルは急いで吹き飛ばされた兵士の元へと駆け寄り治癒魔法をかける。


 『ココニイルモノ スベテ ソシテ オマエタチ モ ユルサナイ!!』


 俺は剣を構え、魔力を剣先に集中させる…。そして…。


 「セインドバーストクロス!!」


 光のX字の閃光が見事に化け物と成り果てたアレックスに当たるが…。もろに食らう…。しかし、その後の姿に俺は絶句する…。


 「き、効いてないだと!?」


 『ムダダヨ。ヒカリノ チカラハ ツウジナイ…。オトナシク シネ!!!』


 また化け物は二度、三度とその大きな腕に目掛けて振り落としてくる。俺は聖剣でその攻撃を何度も振り払う…。


 『ソシテ オマエノマエ デ、オマエノ アイスル ソノオンナ モ モテアソンデヤル!!ソノ ゼツボウスル カオガ タノシミダナ!』


 「させるかぁああああっ!!」


 (くそっ!攻撃を防ぐので精一杯だ!!)


 その時…。後ろからシューが俺を呼ぶの声が聞こえた。


 「兄貴…!アイツは確か光の加護の指輪を持っている!!操られていた時の記憶の中でそれを見た!!」


 「チッ!!どうすりゃ~… それを破壊できればいいが…!」


 すると、エアロが何かを詠唱しだす…。


 「見えます…。あのクズから光の何かの力を感じます…。」


 エアロが何かを感じ取っている…。何が悪さをしているのかを調べているみたいだ…。目を閉じ何かを集中させている…。


 「看破っ!!」

 

  エアロは言葉にすると、杖を振りかざすと青色の光の玉が化け物へと向かっていく…。


 『ナ、ナニヲ シタ!!』


 化け物のその異様な剣と化したその中に青く光を放つものが見える…。


 「お兄様!!多分あそこに指輪が!!」


 「わかった…」


 俺は真っ先に化け物に突っ込む…。


 『ナニヲシタカ ワカラナイケド ボクニ カナウワケ ナイダロッ!!』


 化け物はその大きな異様な形をした腕を振り下ろす。俺は聖剣で受け止める。


 ガギィーーーン!!


 と大きな音をたてる。しかし、ヤツが腕を振り下ろす速度が速いため、身体強化していてもそれに追い付けない。防ぐのでやっとだった。


 『ズット オマエノ コトガ ニクカッタ!』


 「…」


 尚も攻撃を繰り出してくる。


 『オマエハ スベテヲ モッテイタ!!』


 「…」


 ガギィーーーン ガジャーーーン! ギィーーーン


 と何度も何度も何度も聖剣とぶつかり合う。気を許せば体が持っていかれそうだ…。


 『ダカラ スベテヲ ウバッテヤッタ!!』


 「だからって!! だからって!クリステル達まで巻き込む必要があったんかよ!!」


 『オレガ キニイッタ オンナ ヲ オレガ ウバッテ ナニガ ワルイ!!』


 何度も腕を振り落としてくる。エアロやシューも化け物の言葉に…。


 「貴様が兄貴やボク達の人生を狂わした!!悪いも糞もねーよ!!」


 「私達の大事な思い出まで汚して…!ただアンタの嫉妬と欲望の為だけに! お兄様と私達の思い出を返せよ!!この化け物!!」


 エアロもシューも顔が怒りに満ちている。これまで見た事のないような感情がヒシヒシと伝わってくる。


 『ボクハ バケモノデハナイ!! ユウシャダ! ボクガ コノ セカイノ シュジンコウ ナンダ!!』


 「黙れっ!!」


 エアロは詠唱を唱えるとエアロの辺りに小さい竜巻が集まる…。手を前に出すとその小さい竜巻が集まり 化け物に向かっていく。


 更に続いてシューが、ここまで飛んできた収容所のレンガの瓦礫を手にして弓につがえて放つ…。何発と続け様に放つ。


 『グッ!! キサマラ~~ッ!! アノトキ ハ キモチ ヨサソウニ コシヲ フッテタノニナ!!』


 「それはボク達じゃない!!」


 「私達はあの光景を見せられてキサマを何度も何度も何度も殺してやりたいと思った!!最初はお兄様と…って決めていたのに!!キサマが!!」

 

 シューの放つ高速のレンガの塊が化け物の顔にヒットする…。


 『グガッ!!』


 エアロの風邪魔法に化け物はよろめきを増す。


 (今がチャンスか!!!)


 その時、クリステルが光魔法を放つ。化け物の顔に光の粒子が集まる。


 『マ、マエガ ミエナイッ!!』


 俺は強化付与とその剣にも強化をかけ、化け物の剣と化した手より上の肩辺りを一刀両断する!


 『グギャアアアアアア!! ユルサナイ! オマエタチヲ ユルサナイ!!』


 「お兄ちゃん!」


 「ルイス!!今です!!」


 「兄貴~っ!!やっちゃえーーっ!!」


 「お兄様っ!!敵を!!あの化け物に敵をっ!!!」


 俺は再び聖剣に魔力を込めて…。その化け物に強力なスキルをぶちこむ!!


 それは一瞬だった。新しい技が頭の中で浮かびイメージした…。イメージするとそれは今までのスキルよりも強力な…

 通常よりの光よりも眩しい光の粒子が剣先に集中する。イメージの中にはヒナルやクリステル、シュー、エアロの4人の俺を想う思いがそうさせていると分かる。その想いが力を増幅させると聖剣の形が変わり変化する…。


 (これは…)


 頭の中でイメージが浮かび上がる。一瞬の出来事だ。過去に様々な勇者が手にした聖剣…。色々な記憶と共に俺の体の中に様々な情報が流れ込んでくる。その聖剣の名前は


『エクスカリバー』


…。聖剣は聖剣エクスカリバーへと変わる…。


 「お兄ちゃん!それ!」


 「すげぇよ!!兄貴すげぇよ!いっけぇ~~っ!!」


 「はぁーーーっ!!!」


 俺は怯んでいる化け物…。元人間だったアレックスへと聖剣エクスカリバーを振り落とす!


 「ルイス!!!!化け物を!!」


 「お兄様!!その汚れた悪魔を!!」


 ズバァァァァァンッ!!!


 光の閃光がその人間だった者を両断する。両断箇所が光の粒子が小爆発を起こしていく…。


 『ガガガガッ!! ボクハ!ボクハ ユウシャナノニ~~~ッ!!』


 やがて光の爆発は化け物アレックス全体を包み込み…。


 『グギャアアアアアアアアッッッッ!!』


 化け物の断末魔と共に光の塵へと化していく…。



………。

……。

…。



 既にアレックスだった者の形は無く…。収容所の瓦礫のみが散乱している。


 「終わった…のか…」


 俺はエクスカリバーを背中に背負う…。するとヒナルが抱きついてきて…。


 「良かった…。お兄ちゃん…。良かった!」


 「終わった…のね…」


 「うん…うん…!やっとアイツが消えた…」


 「でも私達は…」


 ヒナルはともかく、その3人の表情は…。


 「クリステル…、シュー、エアロ…。とりあえず… 助かった…」


 「ルイス…」


 「兄貴…」


 「お兄様…」


 しかし、ほっとしたのもつかの間だった…。

大きな風のような音と共に…。


 王国中心にて、今まで見た事もなく、かつてない恐怖の象徴がゆらゆらと上空に漂っていた…。それが何なのかは一目で見てすぐにそれが何か分かった…。そう…。それは…


 「か、母さんっ!?いやホーエンっ!!」


 俺は甦る懐かしい記憶とともに、それが何かを理解する。


 ヤツがついに現れた…。でもどうやって!?まさかアレックスに何かをしたのはお前か!?


 「あれは…ルイスお兄様のお母様!?」


 「ルイスママってたしか亡くなった…はずじゃ…」


 「あの禍々しいオーラは…」


 「お兄ちゃん!!皆と合流しよう!!」


 「ああっ!!仲間達が危ない!!」


 俺は4人を連れてホテルへと全速力で向かった…。

 


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