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41 ミランダとの再会。


 それからちょっと待っていたら、スルトが先に出てくる。俺がケアルと子猫を助けた時に下半身が水浸しになってしまったのをフレアが家庭魔法を使い乾燥させてくれている。


 それを見てスルトがゲラゲラ笑いだす。一緒にいたコタースも何故か「面白い~っ!」と笑いだすしまつ。


 「なっ!ぷぷっ!!なんなのじゃあ!お主!まさか小便でももらしてしまったのじゃ?!」


 「ち、ちげーよ!!」


 「違うよ。コイツが私を…」


 ケアルが言葉を言い方時に仁さんが戻ってくる。


 「むむっ!まさか!ルイスどの…、とうとう拙者の娘を!?ルイスどのはケアルがタイプでござるか!?」


 「な、何言ってるんですか!?ルイスさん!」


 「冗談でござる!そこに子猫がいるでござるから…、ルイスどのはその子猫を助けたのでござるな?」


 「そうなんだよ!コイツが子猫と私を助けてくれたんだよ…!コイツの癖にカッコ良かっ…」


 「ふむふむ…」


 「ちがががが、違う?!こんなやつ!ただのロリコンで変態なんだから!」


 「私も助けてもらった…です。ルイス兄さんは格好いい…です」


 ケアルは慌てながらあたふたしている。一方、フレアは無表情で親指を立ててグーとする。


 「ほうほう!」


 ケアルがまた俺を睨み…。


 「くぅ~~っ!ばかっ!」



………。

……。

…。



 暫くしてヒナルがでてきた。


 「皆さん、お待たせしました!」


 「それじゃ~魔法学園に行こうか!」


 魔法学園は、街の中の北側にある。王国が広いため、馬車を使い移動する。


 「少年隊になった時は~っ、村からまたここで馬車に乗り継いで向かったんだよ~っ」


 「これだけ広いからな…。俺は初めて来た時は母さんと来たかな…」


 ここに来た時も覚えている。15歳の頃に一緒に馬車で来た。そして女の子が暴漢に襲われてた…。助けようとしたけど…それから記憶がない…。

目が覚めたら母さんが優しく抱いてくれていたから、母さんが助けてくれたんだろう…。


。 「ルイスさんのお母さんか…。あまり似てないって言ってたよね?どんな人だったの?」


 ヒナルが聞いてくる。


 「赤色の髪をしていて黒い服が似合う人だったかな。でも凄く優しかった!」


 「お洒落なお母さんだったんだね!もしかしてそんな人好きだったり?」


 「まっさか!!」


 ヒナルとの会話中にスルトが顔をヒョコっとだす。


 「我の髪も赤色なのじゃ~!!どうだ!!見惚れたのじゃ?」


 「それは…ないない…」


 スルトの髪を優しくワシャワシャする。


 「むふんっ~、ご主人様のワシャワシャ好きなのじゃ~!」


 ヒナルを見ると、ジト目でぷく~っと頬を膨らませている。こ、怖いよヒナル!



………。

……。

…。


 魔法学園に向かう最中、新聞配達の人が「号外~!号外~!」と走り回りながら新聞を配っている。俺達も新聞を受け取る…。新聞の一面にデカデカとこう書かれていた…。


 『勇者アレックスは偽物か!?本物はいずこに?!』


 ん?なんだこれ。


 「勇者アレックスってお兄さんがいた街のギルドで会ったあいつの事でしょ?」


 「ああ…」


 アレックスが偽物だった?どういう事だ?


 新聞をよく見ると…。協力要請を出しても中々こなかった勇者。エルフの国に巨大な魔物が現れるがスキルが扱えず…逃げる形になりエルフ国は沈んだとの事。王命により再度適性検査を受けると勇者ではなく誘惑士と呼ばれる魅力を得意とするジョブ。これ主にホストとか夜仕事で使えるジョブじゃん?!

 

 でもアイツはたしかに適性検査時は勇者だった。それは俺も覚えている。俺のジョブが分からず…泣きながら母さんと帰ったんだったなぁ~…。母さんは「大丈夫。これからはゆっくり幸せに街で暮らしなさい」って言ってくれた…。


 それにしても…。


 「やはり、その勇者は曲者だったのでござるなぁ~」


 「とんでもないね~、ウチも一回だけ見たことあるけど~、色々な女の子に声をかけていて気持ちわるかったよ~」


 「それはそうなのじゃ! 人の女を寝取るなんて勇者として許せないのじゃ!」


 「うへ~!その勇者はくそだね。うんくそ。コイツよりもくそなヤツがいたなんてね!」


 「最悪な勇者…です」


 そんなクズ野郎に俺は彼女達を寝取られたわけか…。



………。

……。

…。



 魔法学園に着くと一人の女性の騎士が立っている。長い髪を束ねた金髪の女の子で俺と同じか下くらいに見える。目がくりくりっとしていて幼さが残る騎士だ。うん。アホ毛が目立つ。


 「すいません。貴殿方はこれから適性検査をしに行く方でしょうか?」


 「ええ、そうですが?」


 「申し訳ないが名前を伺っても?」


 「ルイス・ガーランドですが?」


 すると彼女は目を輝かせたかのようにくりくりした目を更に大きくしながら…


 「ルイスさん!?本当にルイスさん!!」


 「ふぇ?」


 彼女は険しい表情からいきなり性格がコロっと変わったような雰囲気になる。


 「なんなんじゃ?お主?ご主人様と知り合いなのじゃ?」


 「私が14歳の頃、貴方が適性検査受けに王国に来た時に暴漢から助けてもらったあの時のミランダです!」


 「あ~っ!!あの時の!?」


 「またライバル出現~っ!ウチがだんだんは離される~っ!」


 ミランダは俺の手を取り…。


 「あの時は助けてくださり、ありがとうございました!」


 彼女は目をキラキラと輝かせながらお礼を言う。


 「いや、あれは俺じゃないだろ?記憶がないんだ…」


 「えっ?」


 うん…。真面目に記憶がない…。


 「あの時、貴方が暴漢を倒してくれたんですよ!?私が騎士になったのも、いつか貴方がここにまた来ると思って…」


 「すまない…。でもどうやって?」


 「ルイス兄さんはとんでもない人…です…。一人の少女の運命を変えてしまうほどの罪な男でしたか…私も気を付けなければいけない…です…」


 ボソッと喋るフレアを無視して話を進める…。


 「あの時のお兄さんは…、勇者だけが扱えるスキルを使ってました…。あの暴漢二人もたった一発で倒したんですよ。」


 「お、俺が!?」


 「今のお兄さんと変わらないじゃん!」


 今度はヒナルがボソッと言う…。そして、ミランダは俺の前に片足を床につき伏せる。


 「本当にあの説はありがとうございました」


 彼女は胸に手を置き…。俺を真剣な表情で見つめる


 「私は…、ルイスさんが勇者だとずっと思ってました。ルイスさんに何があっても私は盾になりましょう!!」


 「えぇえええ!!」


 俺達一同は奇声をあげてしまう。そして何事もなかったように立ち上がり…。


 「えー、こほん。今からは仕事モードに戻ります…。ルイス・ガーランドさん。お待ちしておりました。実は王の命により、ルイスさんを案内するのが私の役目でございます。ではこちらへ…」


 す、すげぇ…。仕事のオンオフの切り替えがね…。表情が変わったよ!


 それから俺はミランダと共に魔法学園の適性検査を受ける場所まで案内される…。

 

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