30 エルフの女性救出!
「ぎょえええええっ!!」
「またかあ~~~っ!!」
翌朝、二人の女の子の凄い悲鳴がテントの向こうから聞こえた。俺は起きる。隣には俺と寄り添うように寝ているヒナルがいて俺の腕を抱き抱えながら寝ている。
いや、普通にヒナルさんの柔らかいオムネの感触がね…。
俺はヒナルを起こし、外の様子を見ると。コタースとスルトが血相を変えて青ざめた表情で俺を見る。
「ルイス~っ!大変だよ~っ!またヒナルが~っ」
「いないのじゃ!いないのじゃ!のじゃのじゃ!」
なんだ…。そういうこと…。
「ヒナルなら俺のとこで寝てるぞ?」
「へ~っ?」
「のじゃあ!?」
二人は一瞬、きょとんとした表情でこちらをみて…。また騒ぎだす。
「いないのじゃ!いないのじゃ!」
「ヒナルは~っ、またいなくなって~っ、泥棒猫さんだったの~っ?!」
「いや、だから俺のとこで寝てるって!」
「そういう事じゃないの~っ!」
「我のご主人様は朴念仁なのじゃ~…」
二人に経緯を話して納得してもらうも、何か不満だったらしくうるさく騒いでいる。ヒナルが起き出し、こちらに来る。
「ふわぁ~… コタース、スルトおはよー」
「のわっ! いつの間にルイスの所にいったのじゃ!ルイスの体は我のものなのじゃー!!」
「抜け駆けは~っ…ダメだよ~!!今度はウチだからね~っ!」
な、何言ってるんだ…。
その横で火の管理をしているジェイさんこと仁さんが…。
「昨日はお楽しみ中だと思ったでござるから起こさなかったでござる!気にするなでござる!」
とニヤニヤしながらそう言ってきた。助けてくださいよ!仁さん~っ!
………。
……。
…。
野宿した後の後片付けをして、再び小さな馬車で森の街道を歩いていく。天気がよく、上を見上げれば木々の葉っぱからちらつかせる青い色をした空とギラギラ光る眩しい太陽が心地よくさせる。色々な鳥の囀り…、小川の流れる綺麗な音…。虫の音… 等様々な音が交差して、旅を気持ちよくさせる…。
森を更に進んでいくと、何やら怒声が聞こえてくる。
「でぇ~りゃ~っ!!」
近づいていくと、長いゴールド色をしたロングヘアーで、露出が高い感じのする黄緑色をした鎧を装着し、その女性の身長よりも長く大きく装飾がハデにみえる槍を構えた女性が、モンスターと戦っている…。
「ルイスどの!」
「えぇ!行きましょうか!」
俺と仁は馬車から降りて女性の元へと向かう。すると、女性は俺達に気付いて…。
「何をしている!早くここから逃げろ!こいつは冒険者A級はあるデスフラッグだぞ!」
そのモンスターは動物のような生命体ではなく
かなり大きく3mくらいはある。全身が黒く頭みたいな部分が飛び出し。足は6本の刃物のような形をした足がぐねぐね動いている。 ぐねぐねした足が突起状になるとともに女性を貫こうと攻撃をしてくる。
油断した女性が槍で受け流すも尻餅をついてしまう。
「だから、早く逃げろ!お前達まで殺されるぞ!」
デスフラッグは次の攻撃体制に入る。俺は自分と仁さんに強化付与の魔法をかける。
「身体強化付与!!」
そしてすぐに駆けつけながらアースバインド。
「アースバインド!!」
地面から土の鎖がデスフラッグに向かっていき、絡みだし動きを止める…。
突起状の攻撃が少し遅れたところで女性の目の前に立ち俺は敵の攻撃を上手くパリィする。
「えっ!?ちょっと!お前!」
「危ないから…下がっててください!」
女性はきょとんとした表情で…
「あ… あぁっ…!わ、分かった…!」
その間もデスフラッグから何度も攻撃が来るが… 全てミスリルソードで受け流す。敵の攻撃はとても重く金属の重たい音が鳴り響く…。油断したら吹き飛ばされそうだ…。
女性が森へと隠れた瞬間を見計らって…。次の攻撃に出る。
仁さんは直ぐ様、木々を駆け上がり、大きくジャンプをして敵の真上へと上がる。
「忍法!火遁でござる!!」
火遁の術を放つ…。仁さんの体から炎が出て八方向に分かれデスフラッグに向かって延びていく…。
その瞬間、仁さんは敵の背中に二本の忍刀を突き刺す。八方向から伸びる炎がデスフラッグに当たる瞬間。仁さんは二本の忍刀を斬りつけながらが地面へと着地してその場を離れる。
俺と仁さん…中々のコンビネーションだ。
デスフラッグが炎と斬りつけられた攻撃でよろめいている瞬間を見計らって…。
「セイントバーストっっ!!!」
ミスリルソードから真っ白い閃光が解き放たれて大きく地面を揺らしながらも敵に当たり…。
デスフラッグの体を粉砕していく…。デスフラッグは内部爆発を起こし…跡形もなく木っ端微塵になった。
女性を見るなり女性の顔は大きく口を開け、視点がさだまってないように見えた。きょとーんと声が聞こえそうなそんな表情だ。耳を見ると尖っている。あぁ…、エルフの女性か…。
暫くして、放心状態から解放された彼女だが…。
「お、おい!今のはなんなんだ!?あれはデスフラッグだぞ!!二人だけであんないとも容易く倒せる相手じゃないんだぞ!!」
エルフの女性は熱くなり喋りだす。
「いや、余裕でしたが…」
「うむ!余裕でござる…」
「ひぇええええ!!」
エルフの女性の悲痛な叫び声に似た悲鳴が森ノ中をこだました…。一瞬、鳥の囀りすらもぴたりと止まったのだ!
………。
……。
…。
誤字報告ありがとうございます。非常に助かります( ;∀;)
また見ていて気になった場合は報告宜しくお願いします!




