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23 ヒナルVSイジメっ子ども

-ヒナル視点-


 目の前にはずっと私をイジメてきたイヤなやつらがいる。でも、今の私なら…。


 「ヒ~ナ~ル~ちゃん~、弱虫ヒナル~。隠れても無駄だよ~」


 「こっちには40人くらいいるんだから~!」


 「…リサ!もうやめよーよ!」


 向こうに居るのは、ナカムラ、カナ、リサ…。私が唯一この世からいなくなってほしいヤツラ…。事の発端は約半年前…、まだ入学してまもない頃に

コイツらの遊び仲間がちょっかいかけてきてフッたのが原因。そしてカナの彼氏が私に告白してフッたのも原因。勝手に浮気されたからと勘違いして…、最初は些細な出来事だった。物隠しから始まり…。

 気付いた時には、暴力を振るわれたり、時には援助交際もやらされそうになった。あの時は、ちょうど警察の人が通りかかったから良かった。あんな汚い女になんてなりたくないし…。

 コイツらがいたから…、コイツらさえいなければ…。


 「もう、あんたらに構っている私じゃないっ!」


 私の声に反応したのか、ナカムラがこちらに向かってくる。気を利かしてくれたのか、コタースちゃんがこっちに来てくれる。


 「ヒナル~っ! あいつヤっちゃう~?弱そうだし~っ」


 「いや、私が…やる…。」


 私は、また頭の中で術式を自然と描く…。不思議な感覚だ。魔法なんて漫画やゲームの中でのイメージしかない…。

 メルドアの街でオーガという魔物が攻めてきた時に宿舎で兵隊さん達を助けた魔法の時も助けたい一心で自然と頭の中でイメージがでてきた。頭の中にモヤモヤっとした霧みたいなのが浮かび…、まるでそれが天気が晴れたような清々しい気持ちになった時、自然とそれが回りの人を助ける何かだと感じる事ができた。

 今は…、目の前に現れたモンスターを撃ち抜く何かだ…。


 「ホーリーランスっ!!」


 私は、そう言葉を発すると、自然と両手が前に出て手を相手に向かって広げる。手の平の中心から何かが集中するように生暖かさを感じる。その瞬間、眩しい光を放つ白い単色の槍状の塊が数本飛び出して真っ直ぐと勢いよくそのモンスターに向かって延びていく。


 「ぎぎぎぎっ!ぎひゃっ~~!! 」


 一瞬の出来事だった。私が放つ白い槍状の塊は、ナカムラの額を貫通しながら、後ろに控えていた緑骨団の盗賊も貫通していく。僅か数秒の出来事だ。


 「な、ナカムラぁ!?ちょっと!!ナカムラ!! えっ!?」


 「もういやぁぁあああああっ!」

 

 ここからでは煙で曇っていて状況が分からないが…。リサとカナが大声を出す。ナカムラが額からどくどくと血を流して倒れる。


 暫くすると光の槍が進んだ場所中心に段々と少しずつ曇りが消えて、向こう側の状況が分かるようになった。倒れているナカムラの様子が伺える。ナカムラの白く染めた髪が徐々に赤く染まっていく。ちょうどこの時まで、ナカムラの動きがあったがすぐ動きが止まった。多分、死んだのだろう…。いや、私が殺して…、しまった…んだ…。


 「何…これ…?!はっ?!ふざけんなよ!」


 大声を出すカナがいる。よく見るとカナの手首が失くなっていた。さっきの魔法だろう。


 「ヒナルっ! ボーッとしていたらだめだよ~っ!」


 「えっ…!?」


 罪悪感に浸る私を見て、コタースは私に話しかけてきた。


 「そうじゃなきゃ~っ、ヒナルがやられていたよ~っ!」


 コタースは弓矢を放ちながら、私に言ってくる。向こうが襲ってきた…。うん…。だから仕方ないんだ…。


 「役にたたねぇならひっこんでろ!!」


 一人の盗賊がカナを蹴り飛ばす。カナは吹き飛び倒れこむ。痛い痛いと泣きわめいている。もう一人のリサはというと怯えてしまいしゃがみこんでいる。私は罪悪感も残しながらふっきれてしまい、内心は自業自得だろと思った。


 盗賊数人がじわじわとこちらに向かってくるがコタースの弓捌きで、次々と倒れていく。全員の膝や腕に…。放たれる矢は全部その部位にヒットさせている。


 「カナ!リサ!もう、あんた達に怯えている私じゃない!!今度はあんた達が苦しめばいいんだ!!私がどれだけ我慢してきたか?!分かってるんかよ!!」


 私がそう言うとリサは「ヒィィィッ!」と情けない声をだし、カナは相変わらず痛い痛いと言いながら踞っている…。


 お兄さんと出会って…、勇気をもらった。お兄さんが居たから私を変える事ができた…。そんなお兄さんが… 私は…。


 (好きになっちゃったのかな…?)


 コタースが最後の一人に矢を当てる。こっちはもう大丈夫だ。私はお兄さんと、ジェイさんはまだ戦っている方を見る…。


 すぐ近くでお兄さんが倒れているのを確認できた。大男が何かをしようとしている。私はまた咄嗟に頭の中でイメージが出来上がった。


 今度は私が、お兄さんを守るんだ!!


 私はお兄さんに向かって両手を出す。両手が青色の光が放つ瞬間…。


 「セイクリッドシールドっ!!」


 お兄さんに向かって光が延びて向かっていく、するとお兄さんの前に青色の壁ができ、大男の攻撃を間一髪防ぐ事ができた。そして大男は吹き飛び壁に激突した…。


 「ヒナルありがとう!!」


 「お兄さん!!良かったァ…!!頭に術式イメージが浮かんで… 間に合った…」


 お兄さんに誉められた…。私はやっぱりお兄さんの事が…。いつも守ってくれて…、さっきも力強く、優しく抱いてくれたのが嬉しかったんだ…。


 そんな考え事をしていると…。どうやらお兄さんはあの大男に勝てたみたいだ。


………。

……。

…。


 

 


 頭の中ではある程度ストーリーが完成しています。ヒナルのざまぁの見せ所をやっとかけれました。最初の頃から既に書きたくてうずうずしていて、やりたかった場面です。これからも宜しくお願いします^^できれば 評価やコメントいただけたら嬉しいです。

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