表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

197/226

第195話 歯車の谷の激闘、そして古代の残滓


 深い霧に包まれた『歯車の谷』。巨大な断層の両脇には、朽ち果てた歯車が山肌に食い込み、錆びついた金属音を絶え間なく響かせている。その不気味な軋みは、侵入者の精神を削る死の調べだ。


「……ッ、ガッシュ! 左だ!」


 ルイスの鋭い警告が飛ぶ。霧を切り裂いて現れたのは、遺跡の防衛機構、『ミスリル・ゴーレム』の軍勢。一体が街を滅ぼすSランク級の化け物が、数十体という絶望的な数で包囲を狭めていた。


「クソッ! 話が違うぞ、こんな化け物が群れを成してやがるのか!」


 ガッシュがミスリルソードを構えるが、ゴーレムの一振りが放つ風圧だけで身体が浮き上がる。


「ティム! 無闇に撃つな、関節の核を狙え!」


「分かってます! でも、硬すぎて矢が弾かれる……っ、うわあああッ!」


 ティムの鼻先を、巨大な鉄拳が掠める。衝撃波だけで地面が爆ぜた。


「下がってろ二人とも! ここからは俺たちの領域だ!」


 ルイスが黄金の闘気を爆発させ、最前線に躍り出る。その背後から、三人の「嫁」たちが弾丸のような速度で飛び出した。


「おどきなさい、低俗な人形風情が! わたくしのルイス様との散歩を邪魔する罪、その身に刻んであげますわ! 『真祖秘術・紅蓮のスカーレット・ニードル』!!」


 カーミラの指先から、超高圧に圧縮された血液の針が無数に放たれる。ミスリルの装甲を紙のように貫通し、ゴーレムの内部回路を破壊。カーミラはそのまま血の鞭を振り回し、迫りくる鋼鉄の腕を次々と切り落としていく。


「もっとですわ! わたくしを誰だと思っていて!? 高貴なる吸血鬼の真祖を怒らせた報い、たっぷりと受けてよろしくてよ!」


「あはは! カーミラ、先行しすぎ! あたしにも獲物を残しておいてよね! リミッター強制解除……『魔銃奥義・閃光連弾フラッシュ・バースト』ッ!!」


 リナが二丁の魔法銃を交差させ、乱舞するように引き金を引く。放たれるのは、爆裂魔法を一点に凝縮した光の弾丸。ゴーレムの頭部を正確に撃ち抜き、内部の魔力核を連鎖爆発させていく。リナは銃火器の反動を利用して宙を舞い、アクロバティックな機動で敵を翻弄する。


「これでおしまい! 全部まとめてハチの巣だよぉ!」


「……ん。おにぃ……見てて。……沈め。『重力壊滅グラビティ・フォール』!!」


 メロディが黒鉄の大剣を頭上に掲げ、垂直に叩きつける。瞬間、半径五十メートルの重力が局所的に百倍へと跳ね上がった。咆哮を上げていたゴーレムたちが、自重に耐えきれず無様にひれ伏し、金属がひしゃげる凄まじい音を立てて土へと埋没していく。


「……化け物かよ。あのお嬢さんたち、マジで一人で一軍を壊滅させる実力じゃねぇか……!」


 ガッシュが驚愕に目を見開く。だが、影から現れた『シャドウ・ストーカー』がガッシュの喉元に鎌を突き出す。


「しまっ……!」


「させねぇよ!」


 ルイスの聖剣エクスカリバーが、閃光となって影を両断した。


「ガッシュ、ティム! 背中は俺が守る、お前らは自分の命だけ守れ!」


「……っ、応よ! 見てろルイス、俺たちだって意地があるんだ! 『剛剣・岩砕斬』ッ!!」


「僕だって……『瞬雷の三連絶矢』ッ!!」


 ガッシュの重剣が、ルイスに気を取られたゴーレムの脚部を叩き割り、ティムの雷を纏った矢が目を射抜く。しかし、谷の最奥から、さらに禍々しいプレッシャーが立ち上った。遺跡の門番、三つの頭を持つ鋼鉄の超巨大龍――『古代兵器・トライデント・ドラゴン』が姿を現した。


「グルゥゥゥゥアアアアアッッッ!!!」


 ドラゴンの咆哮が物理的な衝撃波となり、ガッシュとティムが数メートル吹き飛ばされる。


「なんだ……この魔力……神話級かよ……っ!」


「あはは……流石に硬そうだね。でも、ルイス君がいるなら負ける気がしないよ!」


「わたくしたちで隙を作りますわ! ルイス様、トドメをお願いします!」


「……ん。おにぃ……愛の力……合わせる」


 カーミラが血の翼を広げ、ドラゴンの視界を奪う。リナが全魔力を注ぎ込んだ榴弾を口内に叩き込み、メロディが大剣を回転させながら重力の檻を形成する。


「……今よッ!!」


 ルイスは黄金の闘気を全身に纏い、天高く跳躍した。空中で四人の魔力が一つに重なり、聖剣が眩い白銀の光を放つ。


「決めるぜ……! 『四位一体・神話崩壊ミソロジー・ブレイク』!!」


 一筋の光が天から降り注ぎ、ドラゴンの三つの頭を一気に貫いた。爆風と共に、歯車の谷が白一色に染まる。土煙が晴れた時、そこには門番の残骸すら残っていなかった。


「……信じられねぇ。これが、真の勇者の戦いかよ」


 膝をつくガッシュの目に、仲間たちと笑い合うルイスの姿が映る。ルイスは聖剣を鞘に納めると、静かに遺跡の門を見据えた。


「それにしても、黒幕さんはよくこんな場所を取引場所にしてるなぁ~…」


中に入ると…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ