成長①
「ぬぬぬ。こ、こうなればクロード!! 我をベリーいーじーにするのじゃ!!」
癇癪。
それを起こし、喚くメアリー。
「ベリーいーじーになれば女さえも虜にできる程の女になれるのじゃ!! ソリスさえも虜にできる程の女にな!!」
「メアリー様」
「我はベリーいーじーに生きるのじゃッ、イージーではなくベリーいーじーで生きるのじゃ!! 全ての人間ッ、それを見た目のみで虜にしベリーいーじーに人生を謳歌するのじゃ!!」
「メアリー様。わたくしのお話を」
「やかましいッ、ソリス!! 我より少しばかり美しくなったぐらいでいい気に--ッ」
刹那。
ソリスの瞳。
そこに宿る静かな怒り。
それに、メアリーは息を飲む。
そして半泣きになり、クロードに縋る。
「こ、こわいのじゃ」
「謝ったほうがいいと思います」
「そそそ。そうするのじゃ」
生まれたての仔馬のように身を震わせる、メアリー。
そしてクロードの背に隠れながら、メアリーはソリスに向け謝罪。
「す、すまぬのじゃ。我、つい調子に乗りすぎたのじゃ」
メアリーの謝罪。
それに、クロードもまた助け舟を出す。
「ソリスさん。そ、その俺からもお願いします」
「すまぬのじゃ、ソリス。すまぬのじゃ」
涙目のメアリー。
その姿に、ソリスは頷き応えた。
「メアリー様」
「は、はい。なのじゃ」
「いくら 見た目のみがeasyになったとはいえ中身が伴わなければ、真の王とはなり得ません。メアリー様は、外見だけが美しい王に価値などおありだとお思いでしょうか?」
「な、ないのじゃ」
「確かに、見た目は大事。しかしそれより大切なのはココなのです」
自分の胸。
そこを抑え、ソリスはメアリーに優しく微笑む。
その微笑み。
それに感動に打ちひしがれる、メアリー。
「す、素晴らしいのじゃ。大切なのはココなのじゃ!! のうッ、クロード!! 大切なのはココなのじゃ!!」
むにっむにっ
「あ、あのメアリー様? 胸をあまり押しつけないでいただきたいのですが」
「感動したのじゃッ、感動したのじゃ!!」
むにっむにっ
「あっ、あのメアリー様? 聞こえています?」
むにっむにっ
「ソリスさんが仰っているのは、その。こ、心の話です。そそそ。そんなに胸を押しつけなくてもお言葉だけで」
むにっむにっ
クロードの声。
それさえも聞こえない程に感動し、クロードに胸を押しつけ続けるメアリー。
むにっむにっ
「クロードよッ、我ッ、ひとつ成長したのじゃ!!」
「……っ」
むにっむにっ
こうしてメアリーはまたひとつ成長したのであった。
頑張って更新していきます!!