難易度調整③
〜〜〜
「女王様。我が国の財政はもはや火の車。他の国より色々とふっかけられ……その不平等条約の数、およそ856。このままでは本当に、国が破綻してしまいます」
廃れた玉座の間。
そこに響く、しわがれた従者の声。
それに、女王ことメアリーは難しい顔を晒し応えた。
「うーむ。かといって、打つ手などないぞ。不平等条約であろうと条約がなければ……我が国のひもじい特産品を輸入しようとする国等、どこにもないのだからな」
およそ女王と思えぬ、身なり。
豪華のごの字もないその姿は、知らない人から王ではなくただの少女に見えてしまう。
しかしその手には申し訳程度に杖が握られ、かろうじて女王としての威厳は保っていた。
「時に、従者よ」
「はい」
「どのようにすれば。その…….お隣の大国のように立派な繁栄ができるのじゃ?」
「それは、その」
「羨ましいのじゃ、羨ましいのじゃ。我もあのような歴史に残るような繁栄を--」
だが、そこに。
「女王様。そのお望み、叶えてあげますよ」
そんな声が響き、クロードは颯爽とその身を現す。
それにメアリー焦る。
「な、なに奴」
「ど、どなた様でしょうか?」
二人揃って焦る、メアリーと従者。
それに、クロードは応える。
「いきなり申し訳ございません。俺はクロード。お隣の国で国策士をしていた者」
響く、クロードの声。
それをメアリーは怯え顔で聞き、ますます焦る。
「な、なんじゃ? また、めちゃくちゃな条約を結べと脅しにきたのか? ももも、もう勘弁してくれ」
「わわわ。わたくしからもお願い申し上げます。これ以上、この国をいびるのは--」
だが、クロードは更に声を響かせる。
優しい笑顔。
それを浮かべながら--
「これからこの国をvery easyにします」
途端。
「べ、べりーいーじー?」
「なんですか。その呪文のような言葉は?」
メアリーと従者は困惑し、顔を見合わせた。
「very easyになれば」
廃れた玉座の間。
それを見渡し、クロードは言い切る。
「この国は俺の居た国よりもはやく。そして素晴らしい繁栄を遂げます。それこそ、世界で一番の」
世界で一番。
その単語。
それに、メアリーの目が輝く。
「ほ、ほんとなのか? そのわけのわからぬベリーいーじーとやらで」
「はい」
「よ、よし。ベリーいーじーにするのじゃ」
「じょ、女王様」
「なんじゃ?」
「あの者の言うことを鵜呑みにしては--」
従者が言い終える前に、クロードは指を鳴らす。
そして。
「この国をvery easyに」
難易度調整
対象……この国
難易度……hard→very easy
瞬間。
「じょッ、女王様!! 他国から不平等条約の見直しを求める申し出が届きました!!」
「女王様ッ、我が国領土にて新たな資源が!!」
そんなvery easyの効果がすぐに現れる。