反抗①
しかし、名前がなければはじまらない。
なのでクロードは少女たちに、名前を聞く。
「ところでみなさん。お名前を教えてくれませんか?」
「わたしは、スズ」
「No.13」
「No.8」
「No.25」
「わたしは、その。No.86です」
スズ以外の少女たちは口々に名前もとい自分の番号を述べ、その場に整列をはじめる。
その様。それは訓練された兵士そのもの。
クロードはそれに悲しい気持ちになる。
そして悟った。
「もしかして、みんな。名前が無いのか?」
「名前? No.13は名前ではないのですか?」
「名前。なまえ。気づいたらあの痛いことをされる場所に居ましたので、わかりません。スズは特別にスズと名乗れっていわれましたので」
「……っ」
少女たちのつぶらな瞳。
それにクロードの胸を痛め、唇を噛み締める。
そして一人の一人の頭。
それを撫でながら--
難易度調整
対象……少女たちの命名
難易度……hard→easy
力を行使し、少女たちに番号ではなく人としての名前を付与していく。
更に、クロードは行使する。
「難易度調整」
怒りのこもった呟き。
それが意味すること。
それは即ち、元ダークネス王に対する制裁を意味していた。
難易度調整
対象……元ダークネス王の人生
難易度……hard→hell
〜〜〜
「はぁはぁ。く、くそ。この我がこのような目に」
ボロボロになった元ダークネス王国の王。
そのみすぼらし姿となったダークネスは、残り少ない護衛と側近を従え道なき森を進んでいた。
しかしその眼光は未だ鋭い。
「い、いつか必ず。我は再び、栄光を取り戻す。天変地異などに我は負けぬ」
「そ、そうです。ダークネス様ッ、その心持ちがあればどのような困難でも乗り越えられますぞ!!」
「まずはどの国にも属さぬ村を制圧しッ、そこを足がかりにする!!」
側近と護衛の声。
それが響き、ダークネスは笑う。
だが、その目論見。
それは脆くも崩れ去る。
hardまでなら、まだ可能性があったかもしれない。
しかし、ダークネスの難易度はhell。
「ガルルル!!」
「グォーン!!」
「きゅッ!!」
轟く、魔物たちの鳴き声。
曰く、その魔物たちの正体。
それは--
「け、ケルベロス。ダークドラゴン。そ、そして、ギガントスライムだと!?」
「……っ」
「た、太刀打ちできるわけがない」
息を飲み、戦意を失う面々。
現れたのはどれも最強種に位置する、魔物たち。
その最強種。
それが、難易度hellを体現するようにダークネスたちの周りに数百匹と姿を現したのであった。
少しでも面白い! 続きが気になる!と思われましたらブクマ、評価、感想、レビューを是非お願いします!とてつもないモチベになります!!