暴走①
「す、すごいのじゃ」
「すすす。すごいでしゅ」
10倍の広さ。
それになった玉座の間。
その空間を見渡し、感嘆の声を漏らすメアリーとリリス。
「よし、これで牢屋問題は解決ですね」
満足げに頷き、クロードは微笑む。
そんなクロードの手のひら。
それをリリスはぎゅっと握りしめ、恍惚としたのであった。
「く、クロードよ」
「はい、メアリー様」
「じゅ、10倍ということは100倍にも1000倍にもできるのじゃな?」
クロードの力。
それに欲をさらけ出し、更に城を大きくしようと企てるメアリー。
そのメアリーの問いかけ。
クロードはそれに、笑顔で応えた。
「おそらく。veryの数を増やせば」
「増やすのじゃッ、この城をこの世界で一番大きくそして立派にするのじゃ!!」
ぼいんっ
頬を紅潮させ胸を揺らしつつ、メアリーは勢い良く玉座から立ち上がる。
そのメアリーの命令。
それにクロードは力を行使。
難易度調整
対象……城の拡張
難易度……very easy→very very easy
再び眩い光に包まれる、城。
そして数秒後。
「これで100倍になったはずです」
「す、素晴らしいのじゃ!!」
「すすす。すごすぎて言葉が出ないでしゅ」
100倍の広さになった玉座の間。
その真ん中で感動に打ち震える、メアリーとリリス。
「もっと大きくしましょうか?」
「頼むのじゃ!!」
「もっとッ、もっとでしゅ!!」
揃って興奮し、クロードを煽る二人の王。
難易度調整
対象……城の拡張
難易度……very very easy→very very very easy
1000倍の大きさになる、城。
さしものソリスも冷や汗を垂らしてしまう。
そしてますます興奮する、二人の王を制さんとした。
「もっとッ、もっとじゃ!! クロードッ、次は我の大きさを1000倍にするのじゃ!!」
「ふぇぇぇっ、さすがにそれはやりすぎでしゅ」
「城だけが1000倍になるのはずるいのじゃ!!」
「り、リリスもなるのでしゅ!! 1000倍の大きさになるのでしゅ!!」
「めッ、メアリー様!! それにリリス様!! 暴走してはなりません!! 1000倍の大きさになったらただの怪物!! 世界は混沌に落ちてしまいます!! 繁栄どころの騒ぎではありません!!」
「なるッ、なるのじゃ!!」
「なるのでしゅ!!」
「かしこまりした」
「クロード殿!!」
ソリスの焦燥。
それに「見ててください」と冷静に頷き、クロードは力を行使。
難易度調整
対象……メアリーの巨大化
難易度……very hard→very very very easy
瞬間。
1000倍の大きさになった、メアリー。
天井を突き破り、巨大化したその姿。それはまさしく、巨人そのものだった。