領土拡大④
ところ変わって、メアリー王国の玉座の間。
そこでメアリーは玉座に座し、難しい顔を晒していた。
「むむむ」
「メアリー様。いかがなされましたか?」
「むっ、ソリスよ。聞いてくれるか?」
「えぇ」
「実はだな」
ソリスの耳元。
そこに顔を近づけ、メアリーは囁く。
「どうやら牢屋の数が足りないようなのじゃ」
「牢屋の数? 牢屋の数でしたらまだまだ余裕がありますよ」
「違うのじゃ。その牢屋ではないのじゃ」
メアリーの切実な表情。
それにソリスは気づく。
「あぁ、成程。スズと同じように終身刑に処した者たちの牢屋のことですか」
自国で保護する為、少女全員に終身刑を下したメアリー。
しかしその弊害が牢の不足という問題を発生させた。
「そうなのじゃ。あの者たちはスズと同じ牢でいいと言っておるのじゃが……流石に、あの一人用の牢に数十人の少女はやりすぎなのじゃ。今はスズの牢屋の前でたむろっておるのじゃが」
「確かに。それは少し不便が多い」
「かといってあの者全てに牢をあてがうとなるとじゃな、城の増築をせねばねらぬのじゃ。クロードの力。それがあれば容易いとは思うのじゃが--」
そこに。
「只今戻りました、メアリー様」
「お初にお目にかかりましゅ」
リリスを引き連れたクロード。
その姿が現れる。
それに、メアリーは歓喜する。
「おぉッ、クロードよ!! 待っておったぞ!!」
玉座から立ち上がり、瞳を輝かせるメアリー。
しかしすぐに冷静になり--
「ん? な、なんじゃ。その者は?」
小さな王冠。
それをかぶったリリスに、メアリーは目を丸くしてしまう。
「どこかの王かなにかかの? そ、ソリス。知っておるか?」
「存じあげません。はて? あのような幼子を王に据える国など聞いたことがありません」
そんな二人の反応。
それに、クロードは応えた。
「このお方はリリス王国の王、リリス。この度、栄えあるメアリー王に同盟の申し出をしたいと」
「こ、光栄でございましゅ」
「リリス王国? 聞いたことのない国名。クロード様。それは一体?」
クロードへと問いかける、ソリス。
そしてそれに返す、クロード。
「はい。ダークネス王国を無くし、第二のメアリー王国へと変更。そして更にリリス王国へと変更しました」
さらりとすごいことを言い放つ、クロード。
それにメアリーは、「あ、相変わらずクロードはすごいのじゃ」と感嘆し、声を漏らす。
「それにしても」
「……っ」
リリスの姿。
それをまじまじと見つめ、「なんと立派は幼子よ。うむッ、同盟成立じゃ!!」そう声を響かせ、メアリーは同盟を即決する。
そして更に。
「してッ、クロードよ!!」
「はい、メアリー様」
「スズの牢屋ッ、それを広くしてほしいのじゃ!! スズと同じ重罪人ッ、その者たちは同じひとつの牢屋で過ごしてもらうのが筋なのじゃ!!」
険しい顔で優しい声を響かせる、メアリー。
それにクロードは応えた。
「かしこまりました。ついでに城も拡張しておきますね」
難易度調整
対象……城の拡張
難易度……very hard→very easy
刹那。
煌びやかな光。
それに城全体が包まれ、今までの10倍の大きさに城全体が拡張されたのであった。