領土拡大③
リリスへの王の変更。
それを終え、クロードは玉座から立ち上がる。
そして。
「リリス様。どうぞこちらへ」
そう声を響かせ、新たな王となったリリスを玉座へと招くクロード。
しかし、リリスは未だ実感の持てない。
「ほ、本当にわたくしが王に?」
「はい。本当にリリス様が王様です」
「……っ」
「不安なのですか?」
「は、はい。いきなり王になってしまって、なにをどうすればいいのかさっぱりわかりません」
当たり前のリリスの不安。
それをクロードは、解消する。
難易度調整
対象……リリスの不安の解消
難易度……very very hard→very very easy
途端。
リリスの心に澱む、不安。
それが雲の晴れるように青空のように瞬時に払拭されてしまう。
そして、クロードは更に続けた。
「第二のメアリー王国はリリス王国へと改名。第二のメアリー王国という名前は長すぎるので。加えて、この瞬間をもってリリス王国はメアリー王国の同盟国となります」
「り、リリス王国」
自分の名が入った国名。
それに身震いをする、リリス。
「そ、それに。あのメアリー王国の同盟国」
「そして、同盟国であるのなら--」
「あるのなら?」
「リリス様の難易度。それもメアリー王と同じく、easyに
してあげないと」
「イージー? なんなのですか、ソレは」
「簡単に言えば良くなるということです。メアリー王はソレでぼんっきゅっぼんっ。におなりになり人生がeasyになったと大層喜んでおられました」
「そ、そうなんですね」
ぼんっきゅっぼんっ
その単語に頬を赤らめ、瞳を輝かせるリリス。
「ででで。でしたら、わたくしもぼんっきゅっぼんっになるのですか? そのイージーとやらで」
「リリス様のeasyとメアリー王のeasy。それは全く同じになるとは限りません。ですが、絶対に悪くはならないと思います」
リリスの問いかけ。
それにクロードは笑顔で応える。
その笑顔。
それにリリスは頷き、玉座へと腰を下ろす。
そして側に佇むクロードへと頷き、「よ、よろしくお願いします」と声を響かせた、リリス。
そして行使される、クロードの力。
難易度調整
対象……リリスの人生
難易度……normal→easy
瞬間。
煌びやかな光。
それに包まれ--
「く、くろーどさま」
リリスは絶世の黒髪幼女へと変貌。
それは見る者全ての寵愛を受ける、幼女そのもの。
「ふぇぇ。これでほんとにいーじーなのでしゅか?」
「はい。easyです」
「ほんとに、ほんとでしゅか?」
「えぇ。メアリー王は自分と同じぼんっきゅっぼんっを目の敵にする節があります。ですが、リリス様のような絶世幼女のお姿なら……あらゆる手を尽くし、庇護することは間違いありません。そしてその絶世幼女が治める国もまた然り」
ソリスが女になった時の反応。
そして、スズへの対応。
それを思い返し、クロードは確信をもって頷く。
「飛ぶ鳥を落とす勢いのメアリー王国。そして、その王であるメアリー様の庇護。それが得られるだけでも、easy」
「た、たしかにそのとおりでしゅ」
クロードの言葉。
それに納得し、まじまじと頷くリリス。
その表情。それは、easyを噛み締める幼女そのものだった。