領土拡大②
そのメアリーの御言葉。
それをクロードは粛々と受け取る。
「ありがたきお言葉。このクロード、精一杯王を務めさせていただきます」
片膝をつき、メアリーへと頭を下げたクロード。
「うむッ、頼んだぞ!! して、クロードよ」
「はい」
ぼいんっ
「はよ、こっちに来るのじゃ。まだ褒美は終わってないのじゃ」
再び両手を開き、自分の胸へとクロードを招くメアリー。
その表情。
それは、ソレを本気でご褒美と確信している顔だった。
「我はお主を抱擁するまでここから動かぬ。さぁ、クロードよ。遠慮はいらぬぞ。む? 来ぬのならこちらから行ってやるのじゃ!!」
「!?」
満面の笑顔。
それを浮かべ、メアリーはクロードへと駆け寄る。
飼い主を見つけた猫。そんな雰囲気を醸しながら。
そして。
むにっ
見事、クロードは膝をついたままメアリーに抱きしめられ--
「どうじゃ? クロード。中々、良いであろう?」
むにゅっ
メアリーの豊満な胸の中に顔を埋め、耳まで真っ赤にしたのであった。
〜〜〜
ダークネス城。改め、第二のメアリー王城。
その絢爛豪華な玉座の間。そこで、クロードは玉座に座しこれからどうすべきかを考えていた。
そして、結論を出す。
「俺はメアリー王のお側に戻る」
「左様でございますか」
「あぁ。俺はあくまで国策士。王のお側。そこで国の繁栄を見守るほうが性に合ってる気がするんだ」
「クロード様の意思。それにわたくしは従うまで」
クロードの側。
そこに控える従者は、クロードの言葉に静かに頷く。
長身、黒髪。スレンダーな体型に、漆黒のローブ。整った顔立ち。その身から漂うは冷たい妖艶さ。
元、ダークネス王の側近である彼女はクロードの従者として付き従っていた。
それも、クロードの力。
難易度調整
対象……リリスの人心掌握
難易度……very hard→very easy
の賜物。
「であるなら。代わりの王を」
「そうだな。リリスさん、どうですか?」
「はい?」
「王になりませんか?」
「王に。ですか? このわたくしが?」
クロードの軽い問いかけ。
ご飯にいかない?
そんな風な軽すぎるクロードの言葉。
さしものリリスも焦る。
「で、ですがクロード様」
頬を紅潮させ、いつもは見せない可愛らしい表情を浮かべるリリス。
「わわわ。わたくしが王など、お、恐れ多いにもほどがあります」
「大丈夫です。俺の力があれば繁栄は容易いです。リリスさんは俺の代わりの王としてこの地を治めてくれたら、それで構いません」
難易度調整
対象……第二メアリー王国の繁栄
難易度……very very hard→very very easy
それを行使し、リリスへと握手を求めるクロード。
「俺の手のひらを握ってください。それで全部できるので」
「……っ」
そのクロードの手のひら。
それをリリスは恐る恐る握りしめる。
刹那。
難易度調整
対象……クロードからリリスへの王の変更
難易度…… hard→ easy
それによってリリスは、クロードに代わり第二のメアリー王国の女王となったのであった。