第二のメアリー王国②
〜〜〜
「No.125。帰ってくるの、遅いね」
「うん。No.125は歩くのが遅いからそれで時間がかかっているのかも」
「No.125。死んじゃ嫌だ」
「大丈夫だよ。きっと大丈夫」
「……っ」
首輪に手枷、足枷。
それを嵌められ、口々に声を発する年端もいかぬ少女たち。
場所は薄暗い地下牢。
ゆらゆらと揺れる、無数の蝋燭の火。それに少女たちはその身を照らし、無機質な表情を浮かべていた。
頬に痛々しい痣がある者。
腕に足に煙草の火を押し付けられた跡が残る者。
足を折られ、痛みに耐えながらその場に身を横たえ微かな痙攣を繰り返す者。
そして、頭を抱え蹲り身を震わせ続ける者。
陥没し、泥水が流れ込む地下牢。
しかし少女たちを助けにくる者は誰も居ない。
看守の者は既に逃亡。
牢に鍵をかけたまま、己の命可愛さに。
「わたしたち、しぬのかな?」
「うん。多分」
「このまま下に陥没して、溺死」
「溺死か。ボコボコに殴られて痛みを感じながらの死。それよりかはマシかな?」
傷だらけの少女たちは、感情を失い笑う。
この国に生まれ時。
その時から彼女たちの運命は決まっていた。
"「お前たちは選ばれし者。その命をこの国に捧げ、訓練に励め。泣き言を吐こうものなら、今この場で断罪する。わかったな?」"
少女を道具として扱う、ダークネス国。
物心。
それがついた時から、少女たちは地下に幽閉され理不尽な訓練の日々だった。
その日々。
それを思い出し、少女たちはその場に座り込む。
「でも、でも」
「最後に見たかったな」
「たいよう。そら。かぜ」
「おいしいたべもの。つめたいお水」
「あったかいおふろ。あったかいベッド」
反響する少女たちの儚い声。
そして流れる、今まで堪えていた涙。
既に泥水は少女たちの胸元までに迫り--
っと、そこに。
「クロード殿ッ、ここにも人が!!」
「なんて国だ。こんなところにまで牢獄があるとは」
「今すぐ救出を!!」
そんな声が響き、メアリー王国の兵たちが現れる。
そしてその先頭。
そこには、「難易度調整」そう呟き、その瞳に少女たちをうつすクロードの姿があった。
難易度調整
対象……少女たちの救出
難易度……very hard→very easy