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第二のメアリー王国①

〜〜〜


「なッ、なんじゃと!?」


むにっ


兵たちからの切羽詰まった報告。

それを受け、メアリーは眼前のテーブルに両手と胸をおしつけ前のめりになってしまう。


「そそそッ、それは本当か!?」


「はッ、はい!! 我が城の頂にある偵察場ッ、そこからの報告ですので間違いないかと!!」


「……っ」


額に汗を滲ませ、「ぅうむ……不審者の所属国。それが判明した矢先の天変地異。ただの偶然とは思えぬな」そう呟き、椅子へと腰を戻すメアリー。


そんなメアリーに、側に控えていたソリスは口を開く。


「メアリー様。いかように?」


「うーむ、ソリスよ。我が国の打つべき最善の手。それはなんじゃと思う?」


頬杖をし、ソリスへと助言を求めるメアリー。


「弱っているところを攻め立て一気に攻め滅ぼす。それとも手を差し伸べ、今後の貸しつくる。ソリスよ。我はどうすればいいのじゃ?」


そんなメアリーの問いかけ。

それに強気な兵たちは声を響かせた。


「今こそ軍を向けッ、ダークネスを我らの支配下に!!」


「あの国は姑息以外の何者でもない!! スズと名乗る者の一件ッ、それを省みれば手を差し伸べるなどという選択肢などありえません!!」


「そうだッ、そうだ!!」


兵たちは怒りたち、メアリーに強硬論を叫ぶ。


「スズのような少女をスパイに仕立てッ、利用する国家などこの世界に必要ない!!」


「今後の被害者ッ、それを増やさぬ為!! 完膚なきまでに--ッ」


「……っ」


皆の剣幕。

それに気圧され、思わず頷きそうになるメアリー。


しかし、ソリスはそれを制する。

そして、静かに声を響かせた。


「皆様のお気持ち。それはなるほど、確かにその通り。しかし一つの国を軍をもって攻め落とすとなるとそう簡単ではありません」


「なにを言っているッ、もはや死に体の国など恐るに値せぬ!! 三日もあれば充分だ!!」


「その慢心」


メアリー王国の歴史。

それを良く知るソリスは口調を変える。

そして、兵たちを見渡し更に続けた。


「それがこの国を衰退させた。もし、クロード殿が来なければ……このメアリー王国は地図から消され他の国名に変わったやもしれぬというのに」


ソリスの言葉。

それに息を飲み、勢いをなくす兵たち。

そしてメアリーもまたソリスの表情に固唾を呑み、「皆の者。し、しばし考えるのじゃ」そう声を絞り出し--


「く、クロードよ。はよ戻ってこぬか」


そう内心で呟き、クロードの帰りを心より願うのであった。


〜〜〜


理性を戻し、執務室へと戻るクロード。


そして。


ガチャッ


扉を開け--


「只今戻りました」


張り詰めた執務室。

そこに響く、クロードの声。

それに、メアリーは藁にもすがる思いで瞳を輝かせた。


「おぉ、クロード。待っておったぞ!!」


立ち上がり。


「はようこっちに来いッ、議論の決着!! それをつけるのはお主じゃ!!」


「議論の決着?」


「そうじゃッ、ダークネス国を攻めるべきか手を差し伸べるべきか!! 結論が出ないのじゃ!!」


声を響かせ、クロードの元に駆け寄るメアリー。

そしてその背に隠れ--


「我が結論を出そうとすると議論が再燃するのじゃ。結論はまだ早い。メアリー様、もう少しお時間を……それの繰り返しじゃ」


メアリーは疲れの滲んだ呟きを漏らす。


それに、クロードは力を行使。


難易度調整

対象……攻めるか否かの議論の決着

難易度……hard→ easy


瞬間。


「人道支援の名の元、兵を進めましょう。攻めるにしても、手を差し伸べるにしても。兵が居なければなにもはじまりませんので」


そのクロードの言葉。

それに、議論は一応の決着を見たのであった。

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