表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/31

来訪者④

「お、お前ぇ……この俺に手を挙げたら、どうなるかわかってんだろうな?」


鼻血。

それを垂らしながら、ゴウメイはクロードを睨む。

しかし、その瞳に宿る光は弱気そのもの。


「俺の。俺の国が黙っちゃいねぇぞ?」


「……」


しかし、一時的に理性を失ったクロードにゴウメイの脅しは効かない。

再び拳を固め、「何人だ? 何人。殺した?」そうゴウメイへと問いかけるクロード。


それに、ゴウメイは応えた。

クロードに臆せぬフリ。

それをしながら--


「な、何人? な、何匹かの間違いだろ? それに殺した? しょ、処分の間違いだろ?」


めきっ


再びめり込む、クロードの拳。

しかしゴウメイはなおも虚勢を張ろうとした。

鼻血を垂らし、余裕ぶって。


「い、いくら俺を殴ったところで」


「吐け」


「……っ」


クロードの難易度調整。

それにより、ゴウメイは己の意思とは無関係に言葉を発してしまう。


「お、俺はダークネスから来た」


ダークネス。

響いたその国名。

それにクロードは、周囲の衛兵に目配せをする。


クロードの意。

それを汲み、兵たちは尋問室を後にしていく。


「今すぐメアリー様にご報告を」


そんな言葉を残し、足早にメアリーとソリスの居る執務室へとその意識を向けて。


そして残るは、クロードとゴウメイ。


「く、くそ。吐くつもりなんてなかったってのに」


国名。その最も重要な情報。

それを漏らし、唇を噛み締めるゴウメイ。


そのゴウメイの髪。

クロードはそれを掴み、瞳孔を開く。


「安心しろ。もうすぐお前は、無国籍になる」


「な、なにを言って」


「言葉通りだ」


吐き捨て、クロードは力を行使する。


難易度調整

対象……ダークネスの"国"としての崩壊

難易度……very hard→very very very easy


対象……ダークネスの無関係な国民の保護

難易度……very very very hard→very very very easy


理性が一時的に失われた、クロード。

なのでダークネスという国に対しては、容赦などするはずもない。


刹那。


ズシンッ


という縦揺れ。

それが尋問室を揺らす。

そして、クロードは呟いた。


「今の揺れ。どこが原因だろうな」


「た、ただの地震だろ」


冷や汗まみれのゴウメイ。

そのゴウメイに、クロードは吐き捨てるように問いかける。

無機質な表情をもって、淡々と。


「国の崩壊。それが瞬時に起こる事象。それはなんだと思う?」


「んなこと--ッ」


しらねぇよ。


だが、そのゴウメイの声。

それを、慌ただしい声が遮った。


「くッ、クロード殿!! たった今ッ、遥か彼方に巨大な陥没が発生!!」


「ど、どうやら……ダークネスの方角だと思われます」


「せ、生存者は未だ不明。しかし全滅はないものと思われます」


「!?」


響いたその報告。

それにゴウメイは息を飲んで目を見開き、その身を震わせることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 神の所行
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ