来訪者③
スズの牢獄。
その客人室に、声が響く。
「スズ」
「は、はい」
毛布にくるまり、震え声をあげるスズ。
その側に腰を下ろし、クロードは声を響かせた。
「もう大丈夫だぞ。スズを虐めにきた悪い奴。それはもう、ここには来ない」
「……っ」
毛布の中。
そこから顔だけを覗かせ、亀のような姿でクロードを見つめるスズ。その瞳は潤み、植え付けられた恐怖を未だ忘れられないといった表情を浮かべている。
そんなスズの頭。
それを優しく撫で、クロードは続けた。
「ここに居る限り。俺が……いや、俺たちがスズを守る。どんな奴が来ようとだ」
「スズは重罪人」
「そうだな」
「なのにどうして?」
スズの弱気な問いかけ。
クロードはそれに、応える。
「そんなの簡単なことだ」
「……」
「小さな女の子の命。それが奪われるのをただ指を咥えて見るなんてこと……俺にはできない」
「くろーど」
「それにスズは終身刑だからな。刑期が終わるまで、スズの身はメアリー王国の名の下に保障しなくてはならない。死んだら、終身刑じゃなくなっちゃうだろ?」
微笑む、クロード。
その笑みにスズは一筋の涙をこぼす。
そして、声をこぼした。
「ありがとう、ございます」
言い慣れていないたどたどしいお礼。
クロードはそれに、優しく温かな笑顔で応えたのであった。
〜〜〜
尋問室。
その殺風景な石畳の空間に、声が染み渡る。
「おいッ、お前!! 知っている情報があれば吐け!!」
「どこの国の者だ!!」
椅子に縛り付けられた、ゴウメイ。
それを囲み、兵たちは荒っぽい尋問を続けていた。
既にゴウメイの顔は腫れ上がり、先ほどの勢いは影を潜めている。
しかしその眼光は未だに鋭い。
「話すものか。このゴウメイッ、どんな拷問を受けようが口を割ることはない!!」
「偉そうに!!」
「舐めるなよッ、この不審者め!!」
「なんとでも言うがいいッ、ははは!! 俺はゴウメイ!! 名前以外の情報はなにがあっても吐かねぇからな!!」
反響する、ゴウメイの強気な声。
しかしそれを遮る、扉を開く音。
そして同時に、クロードの力が行使される。
難易度調整
対象……クロードのゴウメイへの尋問
難易度……hard→very easy
刹那。
「はッ、話す!! なんでも話す!! だから俺を許してくれぇ!!」
佇む、クロードの姿。
それに抗えぬ恐怖を覚え、泣き喚くゴウメイ。
だが、クロードの表情は変わらない。
淡々とゴウメイの眼前に移動し、そして問いかけた。
「スズのことを知っているか?」
「スズ? あぁッ、あのNo.125のことか!! 知ってるぜ!!」
「スズのことをどうしようと思っていた?」
「そりゃッ、決まっている!! いッ、今までの失敗作と同じようにぶち殺すつもりだった!!」
"今までの失敗作と同じようにぶち殺す"
その歪んだ言葉。
それに、クロードは自らの力で理性を一時的に無くし拳を叩き込む。ゴウメイの顔面目掛け、力いっぱいに。
難易度調整
対象……自分の理性を無くす
難易度……very hard→very very easy
それを発動して。