来訪者①
ある日の昼下がり。
「スズ」
「……」
「重罪人のお主への尋問。それを担当するのは、この我じゃ。知っておることを全て吐いてもらうぞ」
「知っている。こと」
「そうじゃ。嘘などつこうと思わぬことじゃ」
「うん。わかった」
スズの牢獄もといごく普通の部屋。
そのベッドの上。
そこにスズと対面し、メアリーは胡座をかき座っていた。
対するスズは正座。その身長差。それは見る者から見れば姉妹にも見えなくはない。
そしてその二人の姿。
それを、クロードは見つめていた。
少し離れた場所に置かれた椅子。
そこに座り--
難易度調整
対象……スズが嘘をつくこと
難易度…… easy→very hard
それを行使し、柔らかな表情をたたえながら。
〜〜〜
遡ること数十分前。
"「メアリー様が重罪人の尋問を?」"
"「うむ。任せるのじゃ」"
"「尋問は専門のお方にお任せしたほうが」"
"「ダメじゃ。あんな怖い連中じゃとスズが心を開いて話してくれぬ」"
"「かといってメアリー様が」"
"「安心するのじゃ。側にクロードを置いておくからの」"
"「それでしたら安心です。よろしくお願いします、クロード殿」"
というわけだった。
〜〜〜
そしてはじまる、尋問。
「歳はいくつじゃ?」
「はち」
「8歳か。その割にしっかりしておるの」
こくりと頷く、スズ。
「次の質問じゃ。好きな食べ物はなんじゃ?」
「なんでも好き」
「おぉ、そうか。いい子じゃな、スズは。我など苦いモノと辛いモノ。酸っぱいモノ。味がせぬモノ。我の口に合わぬモノが嫌いじゃ。クロードはどうじゃ? 好きな食べ物はあるのか?」
「俺は、その。気持ちがこもったモノでしたら」
「素晴らしいのじゃ。褒美として今度、我の手料理を振る舞ってやるぞ」
「ありがとうございます」
「うむ。では、次の質問じゃ」
少し声のトーンを変え、メアリーは続ける。
「お主にこのような命を下したのは誰じゃ?」
途端。
虚な瞳を晒し、スズは目を伏せ続けた。
「話せない」
「なぜじゃ?」
「はなしたらころされる」
「誰にじゃ?」
「こわい人……しまつする人……失敗したゴミを処分する人」
スズの脳裏。
そこにはっきりと浮かぶ、血まみれの少女を担ぎ煙草を吹かす男の姿。
「くる。あの人がくる。もうすぐここに」
呟き、身を震わせるスズ。
その姿。
それに、メアリーはクロードを一瞥。
クロードは頷き、メアリーに応えた。
「スズは嘘は言っていません」
「じゃろうな。お主の力。それが満ちている空間で嘘は言えぬからな」
「メアリー様」
「うむ。わかっておる」
ベッドから身を起こし、メアリーは声を響かせる。
その表情を引き締め、「厳戒態勢じゃ」と。
同時にクロードもまた、力を行使した。
難易度調整
対象……スズの命をとろうとする者の城への侵入
難易度…… hard→very very hard
「足りないな」
難易度……very very hard→very very very hard
へと、その難易度を調整したのであった。