スズ②
そのスズの変わりよう。
それに衛兵たちは戸惑う。
「な、なにがあった?」
「いきなり震えだしたぞ」
戸惑う衛兵たち。
その間を抜け、クロードはスズの元へと歩み寄る。
そして、声を響かせた。
「後は、俺が」
「し、しかしクロード様。メアリー様の側近であり、国策士である貴方のお手。それを煩わせるわけには」
「えぇ。そして、そのスズという者。まだなにか隠してるやもしれません」
「自らの命を絶とうとする程の者。その腹の中ではなにを思っているのか、得体がしれません」
クロードの声。
それに応え、心配そうな表情を浮かべる面々。
しかし、それをクロードは笑顔をもって制する。
「俺なら大丈夫です」
難易度調整
対象……衛兵たちの説得
難易度…… hard→ easy
瞬間。
「そうですか。クロード様がそう仰るのなら」
「クロード様なら大丈夫」
「ここはクロード様に任せ、我らは退こう」
クロードの難易度調整。
それにより衛兵たちは食料庫から離れていく。
その衛兵たちの姿。
それを見つめ、侍女もまたその場から離れようとする。
「で、ではわたくもこれで」
「あっ、待ってください」
「?」
「温かな料理。それを作ることってできますか?」
スズの震える背を撫でる、クロードの姿。
その光景に侍女は悟り、「勿論です」と頷き、鍋の並ぶ石竈へと向かっていったのであった。
そして、数十分後。
「おいしいか?」
「……」
シチューを頬張り、乾いた涙を拭って頷くスズ。
その頭を撫で、クロードは続けた。
「後から、王様に謝りいこうな」
「……」
笑顔のクロード。
それにスズはこくこくと頷き応えたのであった。
〜〜〜
夕焼けに染まった執務室。
そこに、声が響く。
「のう、ソリス」
「はい」
「クロードは大丈夫かの? 随分、戻ってくるのが遅いのじゃ」
冒険家ギルドの設立の許可書。
それに捺印をし、側に佇むソリスへと問いかけるメアリー。
そのメアリーの問いかけ。
ソリスはそれに応えた。
「大丈夫です。クロード殿の力。それをもってすれば」
「そ、そうじゃな。あのクロードのことじゃ。きっと大丈夫なのじゃ」
頷き、メアリーは眼前のテーブルに山積みになった申請書や許可書へと意識を戻す。
「のう、ソリス」
「はい」
「そ、その我はそろそろ疲れたのじゃ。代わりに判を押してくれぬかの? 今は誰も見ておらぬぞ」
「いけません、メアリー様。捺印はご自身でなさっていただかないと」
「委任じゃ。これよりソリスに我の捺印を委任するのじゃ。どうじゃ? これなら良いであろう?」
「いけません」
「ぐぬぬぬ、厳しいのじゃ」
「メアリー様の従者ですので」
そんなやりとり。
そこに、「メアリー様。只今、戻りました」そんな声と共にスズを引き連れたクロードが姿を現す。
難易度調整
対象……スズの心を開く
難易度……very hard→ easy
その力を行使し、スズの心を開いて。