表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/31

スズ①

「クロード様」


「はい」


「あの者の顔。あそこまで感情を押し殺した表情。それにわたくしは心あたりがあります」


「俺もあります。確かあれは」


「えぇ。あの裏工作が得意な」


スズの姿。

それを思い出し、クロードとソリスはそんな会話を交わしていた。


「わたくしはメアリー様のお側にて待機しておきます。クロード様は、その」


「スズの動向。それを伺っておきます」


〜〜〜


"「No.125。任務だ」"


"「メアリー王国への偵察。あの異常繁栄の原因を探ってこい」"


"「名を付与する」"


"「この任務中、お前はスズと名乗れ。わかったな?」"


"「うん、わかった」"


〜〜〜


目の前に置かれた水と、パン。そして果物。

それを見つめ、スズは己の任務を思い出していた。


「あれ? もしかして、パンはお嫌いでしたか?」


手をつけない、スズ。

その姿に、メイド姿の侍女は問いを投げかける。


「でしたら……あちらの棚にクッキーがあったような」


スズに背を向け、戸棚へと身体を向ける侍女。

スズはそれを見つめ--


「お腹減った」


と、何度も訓練された言葉を呟き、テーブルに置かれたフォークを手に取る。

そしてすっと、椅子から降り音を立てずに侍女の背後へと忍び寄ろうとした。


だが、そこに。


「難易度調整」


対象……スズの偵察任務

難易度……normal→very hard


そんなクロードの声が響き、場は一変する。


「おいッ、お前!! なにをしている!!


「フォークを手にッ、なにをしようとしていた!?」


「やはりお前は牢にぶち込んでおく!! 」


今まで入り口で待機していた衛兵たち。

その兵たちが雪崩れ込み、スズへと武器を向けていく。


「……」


カランとフォークを落とし、両手をあげるスズ。


そして。


「違う。違う。フォーク、いらない。だから、直そうと思った」


そう声を発し、スズは瞬きひとつさえしない。

それをしかし衛兵たちは信じない。


「やはりお前は牢にぶち込んでおく!!」


「メアリー様のご好意ッ、それを踏み躙ったことは大きい!!」


「観念しろ!!」


それに、スズは力無くフォークを拾い上げる。


そして、「失敗した。失敗した」そう淡々と呟き--


「任務失敗のけじめ。それを打つ」


吐き捨て、スズは己の首にフォークを突き立てようと腕を振り上げた。


だが、それもまた。


難易度調整

対象……スズの自害

難易度…… easy→very very hard


そのクロードの力により、スズは己の死を恐れその場に崩れ落ちる。

そして頭を抱え、「……っ」小刻みにその身を震わせたのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ