はじまり
繁栄の一途を辿っていた、王国フラツカイザ。
その繁栄は凄まじく、歴史に残るほどのものだった。
そしてそのフラツカイザ王都の城。
その玉座の間に、国策士が片膝をつき王の眼前で頭を下げていた。
「クロード。お主は今日をもって、この国から追放する」
「えっ?」
呆気にとられ、クロードは思わず顔を上げてしまう。
その間抜け面のクロードに、王は更に続けた。
「我が国の繁栄。それはお主のおかげではない」
「は、はぁ」
「それがお主を国から追放する理由じゃ。他になにか?」
「他になにか?と申されましても、その。大丈夫なのでしょうか?」
「なにがじゃ?」
「わたしくめがこの国を出て行ったら、その。難易度が変わってしまいます」
「なんいど? なんだ、その言葉は」
「ですから。その。今まではイージーモードだったおかげで、この国はサクサク繁栄してきました」
「ふんっ。なにをわけのわからぬことを」
クロードの言葉。
それを鼻で笑い、しっしっと手を払う王。
「そのような意味のわからぬことをほざく暇があるのならさっさとこの場から去れ。もう、お主の代わりの国策士は用意しておるからな」
その王の言葉。
それに倣い、小生意気そうな女が王の側に現れる。
そして開口一番。
「クロード。貴方はもう用済みですわ。これからはこの有能国策士イライザ様がこの国の舵をとりますわ」
そう声をはりあげ、クロードを鼻で笑うイライザ。
そのイライザの姿。
それにクロードはため息をこぼす。
「知らないぞ。どうなっても」
「脅し文句は通用しませんわ」
なら、仕方ない。
難易度調整。
対象……この国。
easy→very hard
「これから先。順風満帆というわけにはいかないぞ」
立ち上がり、クロードは言い放つ。
そのクロードの忠告。
それを王は笑う。
「最後の捨て台詞が脅しとはな。言いたいことはそれだけか?」
「ふんっ。最後の最後まで往生際が悪い国策士ですわね」
「置き土産だ」
難易度調整
対象……王、イライザ
人生……very hardに変更
吐き捨て、クロードは踵を返す。
そして。
「さて、この国はもう終わりだ。次はこの国に虐げられ続けていた弱小国にでも寝返って繁栄させるとするか」
そう胸中で呟き、足早に玉座の間から立ち去っていったのであった。