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第八章~アリゾナへ

2017年1月25日、ラスベガス時間8:00am

死ぬ前に一度グランドキャニオンを見たいというだけの野次馬根性で一睡もせずに私は黒人男性ドライバーのタクシーに乗った。行き先は、宿から一番近いパジェットレンタカーだ。もちろん運転手にもそれを告げたが、何故か空港近くのレンタカーオフィスまで連行された。生きることも諦めた私に、怒る気力なんてなくて、きっちり乗車料金を支払ってタクシーを後にしようとした。そこで黒人ドライバーがキレ気味に言った。

「チップを寄越せ」

いくら生きる気力さえもない私であっても、違う目的地に連行されてそのまま大人しくチップをあげるほど人格が磨かれてはいない。

小銭をジャラジャラとタクシードライバーに渡すという細やかな嫌がらせをした。ふっ。日本人女性を舐めんなよ!

8:30amパジェットレンタカーの受付けに行って、受付のふくよかな女性に

「どんな車に乗りたいの?」

と聞かれた。日本でも大きな車等運転したことがなく、エコカーなら運転し易いだろうと思って

「スモールカー」

と答えた。

受付「どこへ行くの?」

私「グランドキャニオン」

受付「それはとてもとても危険よ。大きい車じゃなきゃ道が本当に危険だから死ぬかもしれないよ。もしかするとだけどねmaybe 雪が降ったり氷ってたりする可能性があるわ。」

パネルを指差し、「最低でもこれくらい大きい車にしないとダメ」

別に死んでも良いのだけれどな…と心で若干思いながら、受付の女性の勢いに負けて

「じゃあ、そうするよ。」と答え、死ぬ覚悟決めたのにも関わらず超絶ビビリの私はきっちり保険をフルにかけて書類を盛りだくさん書いて、サインをし、パスポートと国際運転免許証を提出して、日本語対応のカーナビをレンタルした。

受付の女の人は、「日本車だから安全よ〜日本車は最高だからね!!Fのフロアにエスカレーターで下って左に曲がるとD25スペースにキーを挿した車が置いてあるから、乗る前に車の傷をチェックしてこの紙に書いてから出発してね!グッドラック」


ちょ…ちょう………何それ!?ツッコミどころ満載過ぎるのだけれど…と思いながら目的の車を発見出来た時にまたツッコまざるを得なかった。


「韓国製やんけ」

思わず声に出してしまった。


10:05カーナビ設定開始

カーナビを日本語表記設定にしてくれたのだが、グランドキャニオンの住所が早速分からない。全然日本語設定じゃないカーナビのhistoryの中からそれっぽい場所を探して地球の歩き方の地図を捲り、ルートが合っているか照合する。よし、多分これで大丈夫。とりあえず行ってみよう! 


あれ?ナビが指してる単位なんだけれど、kmじゃないよ?何?マイルって!!


しかもハンドルはもちろん左ハンドルなのである。ま、いっか。出発進行!!

10:20am パジェットレンタカーを後にした。


駐車場内はまだマシだったけれど、一般道に出ると日本と何もかもが真逆なのだ。はじめて車を運転したとき等比べものにもならない位恐ろしい。

全身から溢れ出る冷や汗・脂汗に加えて心臓はおそらく一分間に300位脈を打っているであろう。

少しでも気を抜いたら気を失いそうな程に緊張しまくっていて、慣れる暇もないままに出発してから5分程度で突然ハイウェイに入った。ハイウェイはハイウェイという名の高速道路に似た無料道路だ。まず、みんな、何キロなのかもはや単位の違いで分からぬが、140マイルのスピードを出しているので、合流するのがどんな遊園地のアトラクションよりもコワイ。

何とか合流出来て、日本でもおそらく出したことのないようなスピードでアメリカの道を走る。景色を見る余裕なんて1ビットもない。とにかくグランドキャニオンを見るまでは死にたくない。グランドキャニオンが何か知らんけど。集中しろー!集中だ〜道と標識だけに集中した。


 ハイウェイを抜けると車の数が嘘のように減り、アリゾナ州に入るとすぐに現れる絶景続きのパノラマ風景。

日差しがキツ過ぎて髪の毛が焼ける匂いが車内に充満する。臭い。車の暖房をオフにしても日光で車内は真夏みたいだ。

 どこまでも限りなく左を見ても右を見ても地平線が見える。さすが砂漠地帯だ。サボテンと一種類の草しか生えていない。まだ運転がコワくて、これらの景色をカメラにおさめることはほとんど出来なかった。道中、アリゾナ州とネバダ州の州堺に位置する観光名所フーバーダムを素通りした。

トイレとタバコ休憩と、飲み物、食べ物を求めて車線側(右側)にあって入りやすいドライブインに入った。ドライブインのトイレの鍵の位置が私の身長でぎりぎり背伸びして届く位置にあった。もうちょっと背が低い人の場合、鍵かけるなってことか?

 水・紅茶・ポテチ二袋を買って、車内禁煙なのでニコチンをチャージする。


 あれ??灼熱の太陽なのにお店の温度計、氷点下だよ??寒いなんてもんじゃない。でも、灼熱の太陽………


ルート66でガソリンを入れる。クレジットカード専門セルフスタンドなのだが、どのクレジットカードを入れても機械が

「zipコードを入力しろ」

と言ってきて、給油出来ない。日本で言うところのセキュリティーコードを試してみても駄目だ。

 仕方がないからお店に入り、店員さんに交渉して、現金支払いにしてもらった。ふう、何とかなったぜ!


あれ?カラッカラに乾燥した湿度に灼熱の真夏の太陽が照り付けて来るのに気温がマイナス12℃くらいで、晴天で

【ダイヤモンドダストが降ってる!】

人生初のダイヤモンドダストを見た場所はガソリンスタンドだった。


グランドキャニオンが近づくにつれて、景色は草→木→高い木→深い雪へと変わっていく。


みんな、想像出来る?

気温は氷点下

湿気ゼロ

灼熱の太陽

降り注ぐダイヤモンドダスト

道に見える蜃気楼

これらが全て一緒に我が身に降り掛かってくるんだ。

わけわからないでしょ?


グランドキャニオンも近くなってきたところで、お土産屋さんに立ち寄った。夏用の靴だと一瞬で足の血液が凍るからだ。冬用ブーツを購入することにして、店員さんに

「24.5cmの靴をください」

と言うが、勿論通じない。単位が違うのだ。各国のサイズ表記表を見せられ、アメリカで靴を買う時は8インチなのだと知った。

トイレ・タバコ休憩をして、またひたすら車を運転する。

グランドキャニオン近くのビジターセンターに車を停めて、再びカーナビと地球の歩き方の地図とにらめっこする。ビジターセンターではグランドキャニオンのパンフレットをゲット出来た。

ものの7~8分車停めてあるだけでら車の下にはつららが出来ていた。


続く 

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