第三章 バンクーバーからラスベガスへ
飛行機乗り継ぎ用のバンクーバーに降り立ったが、ズボンはゲロまみれだし、初めてのロングフライトで乗り物酔いをしていた私は、初の海外の土地を最悪な気分のまま踏んだ。
すぐに出国審査が開始されて、手荷物検査があって、慌ただしく靴や帽子まで追い剥ぎに合っていく。
休憩等している暇はない。今にもすぐ吐きそうな気分のまま良くわからない指紋認証システムの機械の前に放り出された。
もちろん初めて目にする英語表記の機械の使い方なんて分かる訳もなく、案の定何度も何度も機械と格闘して長時間足止めをされた。
何とかそれが終わると次はアメリカの入国審査が問答無用で待ち受けていた。
ハリウッド映画で見たことあるFBI捜査官みたいな強面の人がずらーーーっと並んでいる。
私が行ったのは黒人FBI捜査官みたいな人のところであった。
10本の指の指紋をとられ、メガネ、帽子を外さされ、見たこともない機械で写真をとられ、
「手荷物引換証明書を出せ!」
的なことを言われたのだが、もちろん当時の私はそんなハイレベルの英語なんて分かる筈もなく、持ち物をポケットやら鞄の中やら何から何までひっくり返して見せていた。
なのでやはりここでも相当時間を喰った。
バンクーバー空港で次の飛行機を待つ時間、ゲロ味の口の中をどうにかしたくなって、ミント味のガムエクセルと、水とポテチを購入。飛行機が予定時刻になっても来る気配はなく、空港のベンチで二時間遅れの飛行機を待つ。
バンクーバー空港はどこのお店も音楽がなく、閑散としていて人々の喋る声も小さく、何て静かな空港なんた!!と衝撃受けていた。
水をタダで口飲み出来るシステムの機械がトイレの目の前に設置されていて、そこのお水を目当てに水筒を何個も持参しては水を汲む人々の姿があった。
それより何より、おい、バンクーバー空港で買ったガム・エクセルよ
何でミント味なのにサロンパスの味がするねん??
そうこうしている間に、二時間遅れの飛行機に乗り込む。
エア・カナダよ、ミッツメイド100%のオレンジジュースを頼んだのだがミッツメイドって世界共通の味の筈なのになぜか後味が悪くて飲み進むのが遅くなる。
バンクーバーからラスベガスまでのフライトの中頼んだそのオレンジジュースのからくりにふと気が付く。
あれ………氷とか気の利いたものはなくて
このジュース「常温」………おい!
そりゃ不味いわ。
飛行機の揺れにも慣れてきて、
もう少ししたら眠れそうと気持ちよく目を閉じ、あ、もう眠れる!やった眠れるという時に、CAが大きな身体にごっついヒールで地鳴りをさせながら歩き回っていたので、結局一睡も出来ずにラスベガスに着いてしまった。
手荷物受け取り所を見て驚く。警備員や、空港職員がいないのだ。ベルトコンベアから次から次へと流れてくる荷物
しかも場所は空港の出入り口付近で、誰もが出入り出来る場所…
おいおいおいおい
盗んで下さい言うてるようなもんやん…
日本からカナダの飛行機内で自分の誕生日を迎えたはずなのに何と、ラスベガスに到着した途端に、時差が生じて
1月22日の夕方にタイムスリップしてしまった。
私のお誕生日はまだということになる。
やった!もう一度お誕生日迎えることが出来る!何だか、得した気分!!
2017年1月22日
18:10マラッカン国際空港到着!
ずーーーっとタバコを我慢していた私は、まず空港内にあるカジノへと向かい、タバコをふかす。
さぁ、冒険の始まりだ。
タクシー乗り場へと向かい、タクシーでプラネットハリウッド(宿泊地)へと向かう。
とりあえず宿にチェックイン。疲れなんてとっくに通り越していた。
とりあえず上の服だけ着替えてゲロまみれのズボンのまま室内を一望する。
スイートルームとはやってしまった…部屋を歩くだけで広すぎて疲れた身体に鞭を打ってくる…
よし、運命の時を早々と迎えようじゃないか!
いざ、初カジノへ!!




