三回戦中盤
「第九問」
あと一問取れば決勝戦進出だ。
「本塁打数七百二本」
スポーツか。これはだめだな。
ボタンを押す音が多数鳴った。どうやら、よく知られているスポーツ選手の問題らしい。
「一番、コニャック・ペローさん」
「バルバット・アレク」
茶色い毛色のネコ族が答えた。ネコ族は、人間より少し大きな体格の二足歩行のネコだ。半袖半ズボンで、ズボンの尻の部分から短めのしっぽが出ている。ほぼ肉食の種族で、昔は人間を襲って食うこともあったとか、目つきが鋭く牙が見え隠れするため、怖さが先立ち、あまりかわいくはない。
「正解です。本塁打数七百二本打った昨年国民栄誉賞を受賞した魔塁の選手は誰? バルバット・アレクでした。一番、コニャック・ペローさん一ポイント獲得です」
魔塁は魔法を使った野球みたいなスポーツだ。なにそれ、めちゃくちゃおもしろそうじゃないか。何でじいさん、これに興味がないんだ。魔法を使って球を投げるとか、うわー、見てぇー。
「第十問」
決めるぞ。
「キャラメル味、ブドウ味、ココナッツ味」
お菓子、か?
「などの味があるエディ商」
ポン!
「二番、フリット・デンバーさん」
「トリプルスナック」
「正解です。キャラメル味、ブドウ味、ココナッツ味、などの味があるエディ商会製菓が販売しているスナック菓子は何? トリプルスナックです。歯ごたえのある食感、深い風味、トリプルスナックは、エディ商会製菓で販売されている人気商品でございます。他にも、ストンせんべい、ボルケーノ飴など、様々な商品がございます」
司会のセレ・ハリスは満面の笑みで話した。
でたよ。エディ商会クイズ。初出場の人間にそんな問題の対策できるかよ。本当に人気商品なのかねぇ。じいさんは食ったことがないぞ。
「フリット・デンバーさん、三ポイント獲得、決勝戦進出決定しました」
拍手が起こる。
フリット・デンバーは立ち上がり、うれしそうに両手を挙げ、運営スタッフに連れられ舞台を出た。
「フリット・デンバーさん決勝選進出により、解答者は七名から六名に、決勝に通過できる人数は残り三名となりました。それでは、次の問題いってみましょう」
「第十一問」
よし来い。
「野花足蹴に歌を歌う」
ことわざ。由来か。
「落石に花」
花の名前を問う問題だろうか。わからん。
「二つのことわざに出てくる花の名前は何でしょう」
ポン!
「三番、ローレット・レレンさん」
「ダンショーネ」
「正解です。野花足蹴に歌を歌う。落石に花。二つのことわざに出てくる花の名前は何でしょう。ダンショーネでした。ローレット・レレンさん一ポイント獲得、合計二ポイント、後一問正解すれば決勝戦に進出できます。決勝戦に進出できるのは残り三枠、一体誰が進出するのでしょうか。次の問題、いってみましょう」
「第十二問」
「長さ、三キロメートル、マリアッカ市とタナトル市を」
押した。
「六番、テンヒル・バーナーさん」
「ぺへロス国道」
少し間が開く。
「残念! 不正解です。長さ、三キロメートル、マリアッカ市とタナトル市をつなぐ国道、ぺへロス国道、にて、暗殺された国王は誰? ジャコーン王でした」
ああー、というため息が観客席から、ちらほらおきた。エレナも悲しそうな顔をしている。
ぺへロス国道は国内ではじめて、建設用の接着剤などに用いられる炎土を使って作られた道である。そのことが、頭に思い浮かんだ。ジャコーン王暗殺は知っていたが、それがぺへロス国道で行われたことは知らなかった。ジャコーン王はヘネアの国王で、暗殺は同盟に反対していた貴族派の暴挙と言われている。同盟自体は締結された。
「テンヒル・バーナーさん、お手つきと言うことで、解答権を二回失います」
後のホワイトボードのテンヒル・バーナーの名前の上に、運営スタッフが赤マジックで×印を書き加えた。ここに来てお手つきは厳しい。とはいえ、あと一問正解すれば決勝戦進出だ。チャンスは十分ある。




