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異世界クイズ  作者: 畑山
23/29

二回戦、三回戦

 二回戦は、二問正解で、お手つきは二回で退場、解答者十五人で、三回戦に進出できる人数は七人、お手つきが一度は許される。一発退場と比べ気持ち的に楽にボタンが押すことができた。

 俺は、十問目で、三回戦進出を決めた。ベン・シャポ、ローレット・レレン、マリー・ペテルも三回戦に進出した。

 二回戦が終わり、昼休みとなった。三回戦は午後二時から開始される。




「やれやれ、さすがに疲れたよ」

 俺は肩を揉みながら言った。一回戦と二回戦連戦である。早めに抜けることができたとはいえ、七十八歳の体にはこたえた。空いていた観客席の椅子にエレナと横並びに座り、温かいお茶と甘辛く味付けした蒸し菓子を食べていた。

「でも、おじいちゃんすごかったよ。なんか他の人より早くて、特に二回戦なんか、もう、ぶっちぎりで早かったよ」

 エレナは興奮した様子で言った。黒猫のテンヒルさんも竹かごから身を乗り出し、口を開け、手をかきかきしている。

「ほう、そうかな、まぁ、そうかも」

 二回戦は、お手つきを一度してもよかったため、積極的に押せた。

「うん、問題の途中で、ポーン! て押して、グラメンテ法! かっこよかったよー」

「そうかな、そうかな、はははは」

 うれしかった。

 笑った顔、泣いた顔、怒った顔、じいさんの頭の中には、いろんなエレナの記憶がある。でも、こんなに、うれしそうに誇らしげに、褒めてくれるエレナの顔はなかった。

「うん! かっこよかったよ」

 体の疲れが吹き飛んだ。

 ような気がする。




 昼休憩が終わり、三回戦が始まった。解答者は俺を含め七名、決勝には四名進出できる。観客席は三分の二ほど埋まっていて、前の方でエレナが手を振っている。

「三回戦進出した七名の皆さん、おめでとうございます」

 派手な格好をした司会のセレ・ハリスが解答席に座る俺たちに向かって言った。

 拍手がぱらぱらと起こる。

「三回戦のルールを説明いたします。解答者は七名、決勝進出者は四名、早押しモンドで先に三問正解した方から、決勝進出が決まります。不正解を出した解答者の方は、次の問題とその次の問題、二問のあいだ問題を答えることはできません」

 司会のセレ・ハリスは口元を押さえるようなジェスチャーをした。

 お手つきで二問休憩は今までと比べると優しい。となると、引っかけ問題がそこそこ含まれると考えるべきだろう。

「決勝進出を果たすのは誰でしょうか。それでは、三回戦を始めたいと思います」

 司会のセレ・ハリスは読み手のエム・カルラに目配せした。

「第一問」

 ちょっと、様子見るか。

「けさがけ草、草刈り草などと言われる」

 ポン! 

「四番、ベン・シャポルさん」

「葉ねじり竹」

「正解です。けさがけ草、草刈り草などと言われることがある竹科の植物は何? 葉ねじり竹です」

 司会のセレ・ハリスが言った。

 拍手が起こる。

 葉ねじり竹は、茎の部分をねじりながら大きくなり、一定の間隔でねじった茎を元に戻し、その力を使って、周りの草などをへし折ることから、けさがけ草、草刈り草などと言われている。

 ベン・シャポルは、かなり早い。生物関係だと、ちょっと手が出ない。

 三回戦からは、端から数えた席順の番号と名前を呼ばれるようになった。解答席の前に手書きで書かれた番号とそれぞれの名前が垂れ下がっている。俺は六番だ。

 うしろのホワイトボードに解答者七人の名前と番号が書かれている。運営スタッフが、ベン・シャポルの名前の下に丸を書いた。三つ丸がつけば決勝戦進出になる。

「第二問」

 引っかけは、気にしすぎてもよくはない。

「ベルコール地方の郷土料理で」

 ベルコール地方には何度かいったことがある。

「身がぶりぶりしている」

 映像が浮かんだ。あれか。どうしよう。もう少し聞くか?

「ことから名付けられた」

 いや大丈夫だ。文脈的に引っかけは考えにくい。押した。

 ポン!

「二番、フリット・デンバーさん」

 俺じゃない、押し負けた。

「どうぶり」

 中年の男が答えた。フリット・デンバーは、確か去年の優勝者だ。

「正解です。ベルコール地方の郷土料理で、身がぶりぶりしていることから名付けられた昆虫料理は何? どうぶりです」

 どうぶりは、腐った木や腐葉土に住む幼虫を、油で揚げて、香草と炒める料理だ。森に住むエルフが好んで食べる料理だそうだ。白っぽい幼虫の胴がぶりぶりとしていることから、どうぶりと名付けられた。じいさんも昔食べたことがあるらしく、見た目は厳しいものがあるが、粘りけがあっておいしかったそうだ。

「第三問」

 やっぱり強気で行った方がいいのか。まだ序盤だし押さないことには勝てない。

「樹暦八世紀頃、フィリッポスの皇帝、エンリキが作った身分制度を」

 簡単すぎるな。

 ポン!

 誰かが押した。これ、引っかけだろ。

「四番、ベン・シャポルさん」

「邸宅制度」

 ベン・シャポルが答えた。

 司会のセレ・ハリスが少しためる。

 どうだ。引っかけか?

「残念! 不正解です。樹暦八世紀頃、フィリッポスの皇帝、エンリキが作った身分制度を、邸宅制度と言いますが、エンリキ三世が作った公文書の保存などを決めた制度は何? 答えは、公文書制度でした。ベン・シャポルさんは、お手つきということで、二回お休みとなります」

 ベン・シャポルは悔しそうな顔をした。

 邸宅制度は、住居の大きさによって一定の身分を決める制度である。これによって、余っていた地方の土地が買われ、フィリッポスの経済が持ち直したと言われている。ただ、地方の貴族や商人が高い身分を持ったことから、中央の貴族が不満を持ち反乱が起こった。結果、邸宅制度は廃止され、エンリキは皇帝の座を引きずり下ろされた。

 運営スタッフが、ホワイトボードに書かれたベン・シャポルの名前の上のスペースに赤ペンでバツを付けた。


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