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異世界クイズ  作者: 畑山
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三次予選

「すごいよ。おめでとう! おじいちゃん!」

 エレナに二次予選突破を報告すると、手を叩いて喜んでくれた。黒猫のテンヒルさんも、にゃんにゃ、にゃんにゃと、喜んでくれた。

「ありがとう」

 エレナの笑顔に、何ともいえない喜びが、わき上がってきた。

「でも、なかなか危ないところだったよ」

「そうだったの」

「ああ、一問間違えただけで失格になるんでな、押すのに勇気がいったよ。引っかけ問題もあったしのう。うむ、三次予選まで、少し時間があるから、何か甘いものでも食べないか」

 小腹が空いた。

「うん、いいよ。いこう」

 近くの喫茶店に入った。エレナは、クリームがたっぷりのった果物が入った焼き菓子を頼んだ。俺は甘芋のバター焼きを頼んだ。甘芋と呼ばれる文字通り甘めの芋を練り、バターをからめ焼き上げた料理だ。甘塩っぱい味を楽しみながら、しばし、エレナとの会話を楽しんだ。




 三次予選は、二次予選通過者、六十人を、二十人ずつ、ABC三つのグループに分かれての戦いになる。俺はBグループに入る。長テーブルに椅子、ボタンにランプ、二次予選の時と同じような部屋である。

 三次予選通過者は十人、ルールは、早押し、三問正解すると本戦に出場できる。二回、間違えると失格退場となる。一回はお手つきできるというのは気持ち的にずいぶん楽だ。積極的に押していこう。

 時計の針が進む。

 二次予選の時とは違い少しぴりぴりとした空気を感じる。

「それでは、三次予選を始めたいと思います」

 モンドの読み手は、アッカールサさん、三十前後の小太りの男性で、くぐもった声で若干滑舌は悪い。

「えー、それでは、始めたいと、思います。第一問」

 身構える。

「樹暦821年、投石から」

 押した。目の前にあるランプがつく。

「え、えーと、三十九番の方、どうぞ」

 ざわめく。三十九番は俺の予選番号だ。

「エルエム戦争」

 答えた。

「正解です。樹暦821年、投石から戦争に発展したアトケス国とセルツ国の戦いをなんと言うでしょう。エルエム戦争です」

 読み手のアッカールサさんは驚いたような顔をした。回りの参加者も同じような表情をしていた。正確な年号は覚えていなかったが、投石となると、これしかない。水利権でもめていたコロソイ族の若者が、エスネ族の村に石を投石した。そこから激しい争いになり、介入した国同士の争いにまで発展してしまった。エルエムはその地域に流れる川の名前である。

 二次予選の時は、お手つき一回で失格だったが、三次予選は二回で失格だ。お手つきを一度するまでは、積極的に押していけば良い。

「では、次の問題を、第二問」

 よし来い。

「生きる、以外に選択肢はなし。という言葉で有名な」

 アラン・ビレン、引っかけか。押しかけた手が止まる。

「詩人は誰」

 押した。が、押し負けたようだ。ランプはつかない。

「二十三番の方、どうぞ」

「アラン・ビレン」

「正解です。生きる、以外に選択肢はなし。という言葉で有名な詩人は誰。アラン・ビレンです」

 アラン・ビレンは、道を歩けば命がある。生きる、以外に選択肢はなし。で始まる『パラレクの道』という詩集でカラレキ賞を受賞した人物である。自然の豊かさや美しさ、命の大切さなどを表現し続けていたが、残念なことに自ら命を絶ってしまった。

 作家か作品名で悩んだ。生きる、以外に選択肢はなし。という言葉で有名な作家、アラン・ビレンですが、カラレキ賞を受賞した作品は何でしょう。的な問題が出る可能性があった。押しておけば、いや、いいのだこれで、二択の場合は俺は押さない。クイズは一択で押すべきだ。

「では、次の問題を、第三問」

「方角、きょ」

 押した。

 ざわめく。

「え、三十九番の方、どうぞ」

「位置魔法」

「ええ、ええ、正解です。方角、距離、高さ、三つの魔法を組み合わせてできる魔法は何? 位置魔法でした」

 テンヒルさんは魔法がかかった商品を扱うこともあったため、基本的な魔法の知識はある。じいさんの知識の中で、方角と距離と高さを組み合わせてできるものといえば、位置魔法しかなかった。

 こういう複数の魔法を組み合わせて、別の魔法ができるという問題は、けっこう出てきそうな気がする。時間があれば調べたいところだが、今から複合魔法系の本を読むのもな。この世界で、生きていくというのなら迷わず読むのだが、そんなつもりは毛頭ない。とはいえ、組み合わせ表ぐらいは目を通しておいた方が良いかもしれない。

「では、次の問題です。第三問」

 二問正解したので、後一問正解すれば三次予選通過だ。二次予選の時とは違って気持ち的には、ずいぶん楽だ。

「ケッケル語で、内側から火を入れるという意味の」

 語源、料理関係かな。

「火の精霊石を使った」

 うしろの方で、ボタンを押す音がした。

「二十五番の方、どうぞ」

「カルンデ?」

 眼鏡をかけた二十代ぐらいの男が、自身なさげに答えた。

「正解です。ケッケル語で、内側から火を入れるという意味の、火の精霊石を使った調理法は何? カルンデです」

 カルンデは、石窯に火の精霊石を入れて焼き上げる調理方法だったと思う。火の精霊石は常時百二十度から百六十度程度の熱を発しており、昔の貴族は、風呂の水をそれで沸かしていたそうだ。オーブンのような調理方法だろうか。

「では、次の問題です。第四問」

「沼に牛を取りに行く。死して王冠を残す。これらの」

 押した。

 ランプがつく。

「三十九番!」

 俺の番号だ。これらのことわざに共通するものは何か? 

「スライム」 

 答えた。

「正解! 沼に牛を取りに行く。死して王冠を残す。これらのことわざに共通する魔物は何? スライムでした。えー、三十九番は三問正解、早くも予選突破です」

 拍手が起こる。

 二次予選よりずいぶん楽だった。やはりお手つきが一回できるというのは、押しやすい。モンドの内容も、先が読みやすいものが多かった。

 俺は、運営スタッフから、二十一番と書かれた本戦通過者番号をもらい、部屋を出た。

 



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