37 戦闘、ラインランド
「少しばかり、宿敵が加勢するというのはちょっと癪に触りますね」
【時の狭間】を、剣一本で切り裂き、侵入した【漆黒】の剣士ミランダ。ヴィリスにとって、彼の加勢は、うれしくもあり気に触るところでもあった。
「いっただろう、敗者は勝者に従うのみだ、と。忠誠を尽くすと誓ったからな」
「そうでしたね」
「この七選魔法師の、ラインランドに。七選魔法師ですらない剣士に追い詰められるとは。私を、誰だと思えばそんなことができるというのかっっ!!」
ラインランドの怒りは、とどまるどころか加速していく一方であった。
「ヴィリス、貴様があいつにトドメをさせ。俺が活躍する幕じゃあなさそうだ」
「ありがとう、ミランダ」
「全員、覚悟しておけ……!!」
ラインランドはそういい放った。
「出でよ、土霊兵」
地面は、今度は足元をがくりと下げ、またラインランドの方へと向かう。
「土人形か」
「知っているのか、ミランダ」
「知っているとも、ヴィリス。あいつは、なかなか剣でも掴みどころがなくて斬れないんだよ」
「そうさ、魔法を打ち砕かれる剣というのは厄介なのさ。だが、こちらだってそういったものに対策をしてこなかったわけじゃあない。剣が通り、魔法を撃ち込まれることさえなければ、私は勝ったも当然」
「ということは、土霊兵さえ突破できればっ!!」
ヴィリスは珍しく前向きだった。