参 戦慄!!五星黄幡陣!!
缶婆はここぞとばかりにふざけたおす
この作品はMIXIに限定公開しています。
この作品はフィクションです実在の人物団体とは無関係です。
五人の道士が一本ずつ幡を持ってフォーメーションを組み真ん中の一人が朗々と「天長地久うんぬんかんぬん」とやりだした。よくわからない理屈でこちらを捕まえようとしているのは缶婆にもわかる。捕まるかどうかはともかく相手をしてやる義理はない。
「ほうらこっちよぅ」
朱八を抱えたまま軽功で屋根から屋根へ飛び回った。思った通り陣の正面にいないと効果が出ないようで、あたふたと組みなおしては「天長地久」とやっている。御触れの儀式よりは面白いらしく見物人から笑い声が起こり、ヤジが飛ぶ、笑いもとったし潮時だ。ずらかろうとすると。
「黄幡八方陣!!」
幡を持った道士が四人追加して違うフォーメーションを組んだ、人数は向こうが多いし飛び回っている間に、取り囲んでいる兵隊を屋根にあげればいいとか思いつかないらしい。
「定!」
今度は呪文が簡単になったせいか効き目が早く出た、野次馬や兵隊がバタバタとひっくり返る。流れ弾にあたったらしい、野次馬や兵隊がが引いていくのでフォーメーションの変化もスムーズに行く。しかも逃げた兵隊が屋根に上ってきた、更に瓦を破って槍が突き出てくる、下にも手が回ったらしい。たまらずに飛び降りたが一周回って榜の前に来てしまった。
「大人げなくいくわよ」
タバコを巻く紙をビリビリやぶりだして。
「スキル、剪紙生成術3、出目判定3以下で成功」
手の中の紙を細長く切り裂くとぶらさげて。
「出目判定2成功」
そう言うと下がった紙がメリメリと音を立てて端からふくらみ、身の丈より大きいムカデになった。
「ええいひるむなぁ!」
切っている間にちゃっかり朱八は逃げていた。
「スキル、剪紙生成術2、出目2以下で成功」
隣の道士がはさみでチョキチョキやりだす。
「出目判定3、補正判定使用、DEX補正値3成功、補正使用によりペナルティ発生」
道士の手元から身の丈もあるマムシが現れた。しかしペナルティのせいで相性が悪くなった。古来ムカデはヘビの天敵である。さっそくムカデに組み敷かれている。
「黄幡七星陣!」
「それは何でしょう?」
朱八の無茶ぶりに道士達は混乱している、マムシはムカデに食い殺されてもとの紙に戻ってしまう、あせった朱八は。
「何でもいいから陣をくめ!」
頭が混乱すると現場も混乱する、適当に陣をくんで適当な呪文を唱えると、陣の中からいろいろな者が負け出てきた。牛馬ロバの家畜、机椅子などの家具、荷物を抱えた商売人薬屋魚屋道士、僧侶!出てきたのは逃げていた鎮元無常だった。