表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

京師榜前

とりあえず前振り部分だけ書いてみた。

頂光尼ちょうこうに缶婆(ふば)巫蠱ふこの禁をおかせしため、銀20錠を捐じて首級を求む。

「20錠かぁ、自首したらくれないかしら」

人相、身の丈八尺四寸(170センチ)僧体ただし邪宗故断髪して剃髪せず、眼が近くメガネを用いる。背丈低く目小さく眉太く鼻低く口小さい。左目尻に黒子あり。紙巻きたばこを常用す。鼻の穴に指を突っ込んで目から出せる。鼻の頭を舐めれる。口の中に拳を入れて鼻でラッパを吹く。官に報ずるをためらうなかれ。京兆府尹けいちょうふいん(首都警察長官)

「何かムカつく書き方ねぇ、お尋ね者にこんな一発芸やらせるつもりかしら、頼まれたらやるけど」

 ぼうの前でタバコを巻きマッチで気をつけた。

「真ん中とは言わないけど、20錠も出すんならこんな端っこに貼らなくてもいいじゃない」

 タバコを口の端にぶら下げて手配書きの真ん中に移動する。

 鎮国寺しんこくじC禅院住持(じゅうじ)鎮元無常ちんげんむじょう女犯の上女を連れて逐電(ちくでん)金8両を捐じて身柄を求む。××戊戌生まれ(22歳)、身の丈9尺(180㎝)武僧を兼ねる。

「8両とは女犯にしては張り込んだわねぇ、それにしても濡れ衣着せるならもうちょっと考えればいいのに」

 女犯の制裁は寺からの放逐であった、公的な制裁にしても僧籍の剥奪である。書類上の処理ですむ話で、賞金かけて探すことはない。首都警察はこの坊主だけでなくいっしょに逃げている女にも用がある、本当のことを言わずに駆け落ちにすれば余計な手間が省ける。

「さてどこに居るのかなぁ」

 賞金首が賞金首を持っていっても罪が棒引きになる訳がない、別に用があるのだ。「接触してA王府に護送しろ」という指令を受けている。頂光尼ちょうこうに缶婆ふば○○阿闍梨××金剛、表向きは会幇かいほうAの香主こうしゅである、非公式の慈善団体の地方責任者が彼女の立場であり食い扶持である。いっしょに逃げてる女が会幇かいほうAの関係者でそのつながりで缶婆ふばに話が来た。今のところ会幇かいほうにはかかっていない、ということは鎮国寺しんこくじのネットワークを頼りに潜伏しているのだろう、言うても坊主には坊主のネットワークがある、時間稼ぎには十分な力になる。とりあえず知っている末端に接触してみよう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ