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僕も、テツオが部屋を出る後に続こうとしました。しかし、その時突然————
「なあ、帰りにコンビニ行ってアイス買っ」
バァン!!
「うわぁあ!!」
僕の目の前で扉がひとりでにバンッ! と閉まったのです。その日は無風で、ドアがひとりでに閉まるような風が吹くようなことは考えられなかったのにも関わらず……。
僕はすぐさま扉を開けようとしました。しかし、
「あれ……おかしい、なんで……?」
その扉は、どれだけの力を振り絞っても開かなかったのです。
「おーーーい! テツオ――――ッ!!」
なので僕は、外にいるはずのテツオに声をかけ、外側からドアを開けるのに協力してもらおうとしました。
しかし、テツオの返事が返ってくるどころか外からは何の音も聞こえてきませんでした。
「お—————————い! テツオ——————!! いたら返事をしてくれええええええええ!」
僕はできる限りの力を振り絞って声を上げましたが、それはこの密閉された空間に虚しく木霊するだけでした。
焦りがだんだんと湧き上がってくるのがよくわかりました。何しろ、テツオと一緒ならともかく、一人でこんな薄気味悪いところに閉じ込められているのですから。その焦りは次第に恐怖へと変わっていき、すっかり気を取り乱してしまい—————
「誰かあああああああああああ、ここを開けてくれええええええええええええええ」
ドアを力いっぱい叩きながら半狂乱になって叫びました。
「誰でもいい! 誰でもいいから! 早くここから出して————」
コツ、コツ、
その音は、僕の後ろ、つまり部屋の中から聞こえてきました。
「……!」
そのときの僕は、前にテツオから教えてもらった『コンジアム』という映画のことを思い出してしまいました。たしかその映画の内容は……
コツ、コツ、コツ
僕は言葉にならない声をブツブツと呟き、がたがたと震えていました。
その内容は……
コツコツコツコツ
面白半分で廃病院で肝試しをした若者たちが……
コツコツコツ
足音は僕のすぐ後ろで止まりました。
もう、自分が立っているのか座っているのかさえもわからないくらい足元がぐらぐらした感覚で吐きそうでした。それでも僕は、後ろを振り向くことが出来ませんでした。
スゥ…と後ろの何かが僕の耳元に近づき、
い、や、こ、これはたぶんテツオのいたずらだ! うん、きっとそうだ! まったくとんでもないいたずらをしてくれたもんだ。ほら、振り向いたらそこにテツオが—————
「つかまエた」
おんなのこ。
まだじゅうにさいくらいのおんなのこ。
そして、そして、
「ねエ、ネえ、キミはダレ?」
かおじゅうちまみれのおんなのこ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」




