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 「おお、やっぱ実際に見てみるといかにもって感じだよなぁ」

 

 「そりゃあ、何年間も放置したままだったらこうなるわな。うわぁ……」


 「ん? なんだよ、今更ビビってんのか?」


 「ないよ!」



 

 これは、僕が友人と一緒に肝試しに行ったときに体験した、不思議な出来事です。

 当時、僕たちが住んでいた町のはずれには大きな病院が建っていたらしいのですが、病院内で各派閥の対立による様々な不祥事が明るみになったことで主要の医師たちが逮捕され、それが原因で廃院となったそうです。

 

 その後、残された病院は何度か取り壊し作業が行われたものの、作業中の事故の多発により一時中断という形でそのまま放置されてしまっていました。その如何にもな逸話により、近隣の住人は気味悪がって近寄らなくなり、代わりに廃墟マニアのような人たちがうわさを嗅ぎつけ、頻繁に来るようになりました。中には立ち入り禁止といわれている領域に足を踏み入れる人達もいたようですが、彼らがその後どうなったのかは誰も知りません。単に何も起きずに引き返したというだけかもしれませんが、もしかすると……。

 

 面白がった人たちが噂に尾ひれを付けて言いまわっているだけなのかもしれませんが、それすらも本当なのかどうか定かではないのです。


 当時14歳だった僕は友人のテツオに半ば強引に誘われて、夏休みにその廃病院に忍び込むことになりました。僕とテツオは小学校からの付き合いでよく一緒にいることが多く、休みの日に様々なところへ遊びに行った記憶があります。お調子者であるテツオは気まぐれで行動する節がよくあり、僕がそれに振り回される形でついていく、というのがいつものことでした。その時廃病院に行こうと持ち掛けてきたのも、単に「テレビで心霊スポット特集がやっていたから」という理由だったらしいです。でも僕はテツオの竹を割ったような単純な性格は嫌いではなく、むしろ予想の斜め上の行動をするテツオに振り回されるのが楽しかったのは確かでした。なので、今回も特に何の抵抗もなく誘いを受け入れました。


 今でもその判断が正しいものだったかどうかはわかりません。もし誘いを断っていたら、僕がこれから話すような出来事は絶対に起こりえなかったでしょう。でも、それが悪いことであったという感情が、僕にはどうしても実感できないのです。







 まさかあんなことになるなんて、僕は想像もしていなかったのですから—————


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