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彼らの評価

 久しぶりに感想貰えたのが嬉しかったので、ついつい更新しちゃいます。

 学校に入学して早くも2週間が過ぎていた。


 いつも通りの退屈な授業を終えて、放課後になると足早にサキとフェリシアが待つ屋上へと足を運んだ。


「ご主人様、ターゲットAには今日も動きはありませんでした」


「ターゲットBも特にないわね。

 ……でもなんで名前で呼んであげないの?ちょっとバカっぽくない?」


「ちょっ!私のつけたカッコいいコードネームを馬鹿にするんですかフェリシア!」


「あんたの残念な感性なんて知らないわよサキ!」


 すっかり、オレお前の関係で仲良くなっているサキとフェリシア。ちょっと百合百合しくて尊い感じだ。


 ちなみにターゲットAの正式な名前はメアリー・ファンデルローエで、ターゲットBの方はリーゼ・ミーティアだ。


 この両名はサキ、フェリシア以外のゲームヒロイン達であり、彼女達のルートが進むと……俺は精々国外追放どまりだ。


 俺は学園に入学する前に、学園に入ってからの行動計画について検討した。


 第一の目標は自力で俺の破滅エンドを回避する事であるが、当然うまくいかない可能性もある。


 そこで俺は次善の策として、ゲーム主人公にメアリーかリーゼを押し付けて、最悪でも俺の死を免れようという二段構えの策を同時並行に講じる事にしたのだ。


 これならばゲーム主人公はきちんとゲームシナリオ通りにラスボスを倒してくれるし、俺はモブの悪役Aとして退場するだけで済むわけだ。


「まぁ、何か動きがあったら俺への報告を頼むぞ。

 特に、光属性を所持している青髪の男ないしは女から、彼女達への接触があったならば絶対に俺に報告してくれよな!」


「はい、分かりましたご主人様!もし女の子だったら絶対にボコボコにしてやりますから!」


「誰もそんなことは頼んでねぇよ!」


「まぁ、今回の監視の件や探してる人物とかについてなんで詳しく教えてくれないのかな〜と、ちょっと釈然としないものを感じているのだけれど、あんたの命がかかっていると言うし、ちゃんと調べてあげるわよ。

 ……まぁ、本当にあんたに危害が及ぶおそれがあるのなら、私がソイツを燃やしてあげちゃってもいいけどね」


「もしもトラブルになっても、とりあえず話し合いだけでなんとかする努力をしてくれ……」


 ゲーム主人公を俺の知らないところで勝手に処分されそうな不安がちょっとあったが、俺は引き続き2人にヒロイン達の監視活動をお願いするのだった。


─────


「しかしサキちゃんは凄いですね」


 研究室を持たない若手の講師陣が授業の合間に休む休憩部屋にて、煙草を吹かしながら、若い講師が隣の別の講師に話しかける。


「俺が生徒だった時からかれこれ10年くらいこの学校でお世話になってますけど、あそこまで優秀な生徒は今まで見たことがありませんよ。

 亜人の子ではありますけど、ここに残って学者の道とかに進むんですかねぇ」


「その発言はちょっと亜人差別に聞こえるから止めた方がいいぞ。

 しかし、確かにあの子は優秀だな。……だが俺はもう1人の子にも注目しているんだ」


「先輩が注目している生徒ですか。一体誰なんです?」


「フェリシア嬢だ。フェリシア・ディ・ローティス。

 確か、名門貴族であるローティス家の長女だったはずだ」


「ああ、あの王国一の武門の家柄であるローティス家のご令嬢ですか」


「普段の彼女の成績には特に目を見張る点がなかったから、今まで見逃していたんだ。

 ……けれど先日の魔法実習の時にとある女生徒が魔法の制御に失敗して危険な爆発物に引火させてしまってな。

 俺の魔法障壁ではその爆風を防ぎきれず、あわや大惨事かと覚悟したとき、颯爽とフェリシア嬢が普段の彼女とは比較にならない高いレベルで障壁の魔法を生み出し、完璧にその爆風を抑えてしまったんだよ」


 そう言うと先輩講師はその時の彼女が如何に素晴らしかったかを、若い講師に長々と語ってくれた。


「しかしサキちゃんとフェリシアちゃんですか。するともう1人の人物が必ず想起されますよね」


 若い講師の発言で、今まで上機嫌だった先輩講師の顔が不快げに歪む。


「……ああ、アイツか。サキ嬢とフェリシア嬢をいつも侍らせている男……確かアルベルトといったかな」


「そう、ソイツです」


 アルベルト・ディ・サルト。入学前にはサルト家が生んだ麒麟児などという噂もあったが、実物は見てくれが多少良いだけのぼんくらだった。


「魔法はダメ、学業もダメ。ならばその恵まれた体格を生かして剣術等の武術はどうかと思ったが、そっちもダメ。

 彼の剣の師匠は、かつて王国の近衛騎士団にも所属していたボナディア卿だという話だぞ。あれだけ恵まれた体格をしていて師匠も一流なのに、なんであんなにぼんくらになれるんだよ!」


「サキちゃんとフェリシアちゃんは自分が優秀すぎるから、逆にダメな男に惹かれるんですかねぇ。……じゃあ俺もちょっとはチャンスあるかも!」


「馬鹿な事を言ってないで仕事に戻るぞ」


「へーい」


 ゲームとは異なる方法ではあるが、アルベルトに対するネガティブな噂は着々と定着していくのだった。

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