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友達できるかな

「へぇ〜、アルベルトさんって貴族の方なんですかぁ〜」


 俺は今、ゲーム時代とは異なり、クラスメイトと仲良くなるべく果敢に友達作りに邁進していた。

 え、ゲームの流れをある程度踏襲するんじゃなかったのか、だって?


 考えてもみてほしい。ゲーム時代のアルベルト()のように孤立し過ぎると、ぼっちロード一直線だ。


 するとまともな情報収集ですら困難になり、より破滅への道を辿りやすくなってしまう。


 残念ながらこの世界には、他人の好感度をホイホイ教えてくれるギャルゲーで言うところの『お助けキャラクター』は存在しない。


 そんなわけで、俺は情報収集の一環としてそこそこかわいいクラスの女の子と親しくなるべく、会話を続けるのだった。


 あくまでも情報収集の一環だからね!


「アルベルトさんって絶対にモテますよねぇ!」


「そんなことはないと思うけど、どうしてそう思うの?」


「だって、格好良くて身長高いじゃないですかぁ。

 あと、お金持ちっぽいですし、お話もしやすいのはポイント高いと思いますよぉ〜!」


「なんかそこまで言われると逆に照れるなぁ。

 じゃあ、ちょっと授業が終わった後にでも一緒に……」


「ご主人様ぁぁぁぁ、助けてくださいぃぃぃ」


 俺が同級生と今後の親睦活動について相談している最中、サキが情けない声を上げながら俺のクラスへと駆け込んできた。タイミング悪いぞ。


「馬鹿、学校内ではアルベルトと呼べと言っているだろうが!」


 俺は今までの猫かぶりを忘れて思わずサキを怒鳴ってしまう。


「ふえぇぇぇ、そんなこと言ったって、ついつい呼び慣れた言い方になっちゃいますよぉぉぉぉぉ」


 周囲からは「え、ご主人様……?」とか、「あの子、超可愛い」とか聞こえてくる。


 まずい。このままだとサキが俺の奴隷であることを知られてしまうリスクがある。


 俺はサキとのこれ以上の問答を避けた。どうせ何を言っても暖簾に腕押し状態だしな。


「……んで、何があった?」


「先ほどクラスで簡単な魔法のテストがあったのですが、そこで魔法を使用しましたら、知らない男の方達がこぞって私に話しかけてくるんです!

 正直、ご主人様以外の殿方とはなるべくお話をしたくないのですが、私はどう振る舞えばよいのでしょうか?」


 上目遣いに訴えてくるサキ。

 (サキにとって)俺以外の男なんて眼中にありません、と俺の事が好きだと変化球であざとく訴えてきている。


 内心ちょっと嬉しいが、コイツはゲームと対応が違いすぎて扱いに困ってしまう。


 俺がなんと言ってサキを自分のクラスに追い返そうかと考えていたら、わらわらと本当に知らない男達が大挙してサキの所に押しかけてきた。


「サキさん!あなたの魔法の才能は学園始まって以来と言っても過言ではありません!

 是非、私達のクラブでその実力を活かしてみませんか?」


「いやいや、うちの研究室で新たな魔法の研究に没頭しましょう!」


「みんな勝手な事を言うんじゃない。彼女は特別魔法研究員として我が国の招聘に応じてくれるはずだ!」


 サキの了承がないまま、好き勝手に言い合いを続ける外野達。


 確かにこれにはウンザリするな。


 そんな雰囲気の中、サキが皆に声をかける。


「皆さんの熱心なお誘い、大変嬉しく感じております。

 ……ただ、私はすでにこの方の所有物(もの)ですので、この方の許可なく勝手な振舞いを行うことはできません」


 そう言って俺にしなだれかかってくるサキ。

 サキは俯いて嬉しそうに微笑んでいる。

 そしてそれに反比例するかのように男共(+聞き耳をたてていたクラスの連中)から侮蔑や憎悪の眼差しをいただいてしまった。


「アルベルトさんって良い人だと思ったのに最低ですぅ」


 先程まで俺と楽しく会話していた女の子からも冷たい声が飛んできた。泣きたい。


 そんなわけで、結局はゲーム時代と同様に、俺はクラスでのぼっちロードを歩む事になってしまったのだった。


ーーーーー


 そしてその日の放課後。


「も〜ご主人様、元気出してくださいよ〜。私がいるじゃないですか!」


「……話を聞いていると、サキが元凶だったんじゃないの?」


 今日の出来事なんてすっかり忘れた風にいつも通りのサキと、それを呆れた感じで眺めているフェリシア。

 フェリシアのクラスでも魔法の試験があったそうだが、フェリシアは鍛えた魔法の腕は極力抑えて控え目な結果を出したとのこと。


 コイツは本当に卒がないな。


「ワシの能力を発揮する機会はないのかのぉ」


 ウィンディがわくわくした眼差しでこちらに聞いてくるが答えは決まっている。


「ない。静かにしていろ」


「冷たい!お前様は冷たいゾ!

 まるで倦怠期を迎えた熟年カップルのようじゃ!」


「何を言っているのですかウィンディ様!ご主人様とカップルなのは私ですよ!」


 無駄に駄々をこねるウィンディと、無駄に自己主張をするサキ。コイツら本当にブレないな。


 結局学校が始まっても一緒にいるのはいつもの3人組だった。


 未だ破滅の総元締めであるゲームの主人公にも出会えていないし、他のゲームヒロイン達の所在も気になるところだが、まぁ仕方がない。


 気長に始めようじゃないか。

 なんか展開がちょっとぎこちないかな。

 もしかしたら書き直すかもしれません。

 どっちにしろ、来週中には次話を投下したいところです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] よくわからないのがなんでサキがアルにご主人様でこの方に全てを捧げておりますって発言がアルが最低って感じになるの? その感性が全く理解できない。 アルが二股してた、とかそう言う理由がある…
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