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アルベルトくん12歳。エピローグ

 それから俺は3日間ほど意識を失っていたらしい。

 気がつけば、俺は自分の屋敷の療養部屋に寝かされていた。


 俺が意識を失った後、あの亜人の少女は俺の腰から俺が実家との間で使っていた連絡用の魔法道具を見つけたらしい。


 というより朝連絡しなかった俺を心配してアラームが鳴りまくったみたいだ。

 おっかなびっくり魔法道具に話しかけてみると女が出た!と逆に騒然となったらしい。


 だがとりあえず冷静だったその少女からの的確な連絡で場所を特定し、普段滅多に使えない転移の魔法を使って(いったいいくら掛かったのか)無事に俺は屋敷に連れ戻されることとなったとのことだ。


(そういやあの娘の名前聞きそびれていたな。もう会うこともないと思うがありゃ将来すげぇ美人になるな。なんとなく誰かの面影があった気がしたが、前世であんな美人いたかな?思い出せん)


 そんな感じでぼんやりと病室で休んでいると、執事やメイド達を従えた父上が興奮気味に近づいてきた。


「おお息子よ。大活躍だったではないか!ただの奴隷少女のために命を懸ける若き騎士!これは良い美談になる。ワシの治世にも好影響じゃよ!」


 原作だと相当俺と距離を置いていた父上が上機嫌に話しかけてきたので、適当にあしらっておいた。だって面倒だし。


「そういえば坊ちゃまももう12歳ですからそろそろ専属奴隷が決まる頃じゃないですか?」


 執事のその声で俺は、はっ、と原作のその場面を思い出した。


 そうだ。そろそろ俺を破滅に導くヒロインその1、専属奴隷のサキが登場するんだった。


 うちの王国に侵略されて吸収合併された皇国の元皇族で水魔法の遣い手。ゆえに俺達王国民に対して恨み骨髄。


 そして鉄仮面の奥に氷の眼差しを隠して俺を死に追い込む悪魔のような女だ。


 俺が悪役貴族として活躍するルートのメインヒロインの1人であり、なるべく関わり合いたくない女の最右翼の1人だった。


「なぁ思うんだが、その専属奴隷制度ちょっと俺の代で止めにしない?流石にいつまでもそういった旧時代的な制度を続けるのは王国の先進性を損なうというか何というか……」


「え?それは無理ですよ。だって今回の専属奴隷の話、旧皇国側の方がエラく乗り気ですから」


 しどろもどろに言う俺に対して、執事は呆れながらも返事をする。


「え!? なっ、なんでッ!?」


「それは私にもちょっと解りませんよ。何でですかねぇ?」


 のほほんと答える執事の首根っこをぶん回したくなったが堪える。意味ないし。


─────


 そしてそれから10日後。

 ついに運命の日がやってきた。

 儀式としては旧皇国が永遠の忠誠を王国に誓うために行われるものだ。


 大勢の観客が見守る中、儀礼用の制服に身を包んだ俺は落ち着かない気持ちを隠しきれなかった。


 遠くには綺麗な皇国の正装に身を包んだ黒髪の少女(サキ)が俯いた姿勢でしずしずと立っていた。

少女(サキ)の顔には薄いベールがあり表情は窺えない。


 確か原作ではデブの俺が旧皇国の遺児であるサキを単なる慰みものとして扱い、それをゲームの主人公が優しく抱いてあげてーといったシナリオだったはず。


 回想シーンで今回の式典のスチールが有ったが、確か、イヤらしい顔でにやついている俺と対照的に、ベールを上げたそこには物凄い無表情でこっちをゴミのように見ているサキといった酷い対比があったはずだ。


 あれ?長い黒髪?


 何かを思い出しそうでボーッとしていた俺は、気がついたらすでに目の前に来ていた少女(サキ)に一瞬ビクッとしてしまった。


 なんか必要以上に目の前の少女(サキ)の距離が近いんじゃないかと戸惑っている俺に対して、隣から父上が「早くベールをめくれ」と小声で注意してきた。


 ええいままよ。


 俺はエイやっと目の前の少女のベールを捲ると、そこには可憐な華のような笑顔を浮かべたとびきりの美少女がいた。


「お兄さん、また会えたね!」


 それはあのキングベアとの死闘の日に出会った少女だった。


 どこかで見たわけだ。だってヒロインだったのだもの。でもこんなに表情豊かな娘だったっけ?


「助けてもらった恩は絶対に忘れないから。ずっとあなたを助けるから。ご主人様っ(・・・・・)!」


 驚きと嬉しさと恐怖と混乱と、色々な思いが綯い交ぜとなりながら俺はサキと出会ったのであった。

 とりあえずようやく1人目のヒロインを出せました。

 文章書くのって大変ですね。


追伸


 誤字報告感謝です。

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― 新着の感想 ―
[一言] キングベアは放置してても何も問題なかったわけだねざるやなぁ
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