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アルベルトくん14歳。エピローグ(3)

 そんなこんなで、俺達は何とか元の世界に戻ってこられたわけではあるが、その後の顛末について簡単に記しておこう。


 まず、俺がサル・ロディアス遺跡から持ち帰った魔法道具の大半は、迷惑をかけた実家やローティス家、そして冒険者ギルドへのお布施として殆ど消えてしまった。


 別に俺達が探してくれと頼んだわけではないが、迷惑を掛けたことには違いはないのだから、やはり少しばかりは仁義を切らないとな。


 そして俺、サキ、フェリシアは学園入学までの間、実家で謹慎させられる事となった。


 もっともフェリシアはしょっちゅう俺の所に遊びに来て、サキと魔法訓練ばかりしていたが。


「アルベルト、私絶対にサキに負けないからね!」


「ご主人様、私もフェリシア様に負けませんから!」


 2人で何を張り合っているのか分からないが、とても楽しそうなので結構な事である。


 そして翡翠丸の件だ。


 あれから伝手(つて)を頼りに翡翠丸を探してみたが、やはり消息は掴めなかった。


 一体この世界のどこで何をしているのだろうか。便りがないのは無事な証拠であると思いたいのだが。


 そして穀潰し精霊王(ウィンディ)はというと……


「ワシー、今日はホットケーキのソフトクリーム乗せが食べたいのじゃー」


「それ昨日も食っていただろ。今日はピーマンと人参の炒めものだ。ちゃんと豚肉は入れてやるからさ」


「そんな苦いのはイヤじゃあ!ワシは甘いのが良いのじゃあ!」


 何も役に立たず、俺の無聊を慰めるくらいの役割しか果たしていなかった。


 だがなぜか屋敷のみんなからは評判が良かった。解せぬ。


 こうしてサル・ロディアス遺跡の探検から始まり、崩壊しそうな女神の世界を救う事になった俺たちの一連のキャンペーン(大冒険)は、ようやく終わりを迎えたのであった。


─────


 そして1年後。俺達は15歳になった。


「サキ、フェリシア、準備はいいか?」


「はいご主人様。……私の恰好は変ではないでしょうか?」


 くるりと一周ターンをしてみせるサキ。

 ふわりと制服のスカートが翻るが、ギリギリでパンツは見えない。


「制服姿がとっても可愛いぞ、サキ。

 だが魅惑的過ぎるので、あまり男子を誘惑しないようにな!」


「もう、ご主人様!私が誘惑するのはご主人様だけですから!」


 いーっと舌を出すサキ。それでも可愛い。


「ねぇ、アルベルト。私には何か言うことないの?」


 フェリシアがそのすらっとしなやかな身体を伸ばし、ポーズを取る。

 絵になる立ち姿だ。


「フェリシアは可愛いって言うより、格好いい、だな。

 女のファンをあまり泣かせないように」


「それどういう意味よ?」


 眉根を寄せるフェリシア。こいつともすっかり腐れ縁だ。


「ワシワシ、ワシはどうじゃ!?」


 学生でもないのに魔法で制服姿に化けるウィンディ。なんとなく七五三の雰囲気だ。


「あー、お父さんやお母さんが喜ぶかもな」


「それ褒めてない!褒めてないじゃろッ!」


 ポカポカと叩いてくるウィンディ。

 こいつは1年経っても何も成長していないな。


「さて、間もなく学園都市に向けて出発だ。忘れ物がないか、しっかり確認しておけよ」


「私は必要なものが少ないですので」


「無ければ向こうで買えば良いじゃない」


 とくに問題は無さそうだ。


 学園の制服姿の俺は、手許の剣を見る。

 結局、1年経っても翡翠丸の動向は掴めなかった。

 なので仕方なく、以前使っていた翡翠丸よりもランクの劣る魔剣を持って行くことにした。

 なおウィンディは、例え本来の1%の能力しか発揮できなくても、それなりの力を俺に供給してくれるので、実はそこそこ有用だったりする。


 勿論、女神様レベルの相手と戦うような場合には、何の役にも立たないわけではあるが。


「やれやれ。ついにこの時が来たか。少し憂鬱だな」


 俺にとっての生死を分ける1年がいよいよ始まる。


 俺は武者震いする。


(これまでの成果とゲーム知識。これらを合わせて無事にバッドエンドを乗り越えてやるぜ!)


 一人で物思いに耽っていると、俺の手に温かな誰かの手が重なる。


「ご主人様が、何を心配なさっているのか私には分かりかねますが、絶対に大丈夫です!」


「アルベルト、あまり思い詰めないでね。私がついているからさ!」


「お前様よ。よくは分からんが頼りになるワシもおるからのぉ!」


 死亡フラグ2人と訳の分からないマスコットから頼り甲斐のある言葉を貰う。


 不思議に彼女達の言葉を聞いていると、心の重荷が減ったように感じた。


「……そうだな。頼りにしてるぞ!」


 みんなで笑顔を浮かべると、俺達は用意された馬車に乗り込んだ。


───こうして、俺達の学園生活がいよいよスタートする運びとなったのだ。



【14歳編・完】

 何とかここまで書き上げました。


 こんなに長い文章を書いたのは初めてで、誰も褒めてくれないので自分で自分を褒めてやりたいです(笑)


 今後のスケジュールですが、来週に1本か2本閑話を書いて、15歳編開始は7月中旬~下旬頃を予定しております(プロットもまだ固まっていないのでちょっとお時間ください)。


 引き続き見てくださる方がいらっしゃれば、また宜しくお願いします。


 それでは失礼しました。


〔追記〕

 誤字報告ありがとうございます。

 なお、筆者都合上全てを反映しているわけではない点を御了知願います。

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