始まりを告げた別れの中.Ⅲ
この小説に出てくる町などの名前は全てフィクションです。
そして私は執筆初心者ですので
見づらい点があるかもしれません。
ご了承下さい。
「父……さん?」
腹部からの出血が酷い。言葉に表せるものじゃない。それだけ残酷だった。昼ご飯を食い終えた後に友人から手術の話を聞かされたときより気持ちの悪いものだった。
「あ……あ…………天間……」
父さんが血を吐きながら僕の名前を呼んだ。目は大きく見開き、口もあまり動いていない。気持ち悪いなどと思っても、目の前で衰弱しているのは僕の父さんだと、受け入れがたいものだ。
父さんは腕を震わせながら、スーツジャケットの右ポケットを指した。その後、口角が少し上がり、
「逃……げろ………………!」
父さんは、口角が上がったまま、動かなくなった。ポケットを指した手は力尽き、脈もほぼ動いていないことを確認した。もう、助からないのかもしれないが、僕は救急車を要請した。場所なんて詳しくは知らなかった。三本の別れ道にあった歩道橋についていた『佐田二丁目歩道橋』の近くの道としか分からなかった。
逃げろの言葉の意味が気になる。とりあえず父さんが指したポケットの中に手を入れてみる。すると、手触りで紙が入っていることが分かった。すぐにそれを取り出す。紙は、何回か折られていた。血はついていない。
紙を広げるとそこには、
『おそらく、これを見ているときには、父さんはもう死んでいるだろう。パニックになっているかもしれないが、今は逃げてくれ。理由は逃げれば分かる。だが逃げなきゃ天間が死んでしまう。行き先は地図に描いたから、そこへ逃げてくれ。』
上半分には文章、下半分は地図がかかれていた。救急車は呼んだから、今は、この地図の行き先に行ってみることにする。自転車を置いていくと不法投棄になりかねないので、仕方なく自転車も持っていく。
行き先は、今来た道を歩道橋のところまで戻り、銛に見える方から見て左の方の小道に入るらしいが、その方向は行き止まりになっているはずだ。
でも父さんは、行き止まりの方へ行けなどとおかしなことを言う人ではない。考えれば考えるほど訳が分からなくなる。そして恐ろしくも感じる。気持ちが悪い。涙と共に吐き気がこみ上げてくる。混乱してきた。焦らないように心の声で持ちこたえようとする。しかし、それが余計に僕を焦らせる。
もう、どうすればいいのか分からなくなったから、行ってみることにした。一旦考えるのを止めて、とりあえず動くことにした。そうしないと辛い。
三本道の歩道橋まで戻ってきた。逃げろと言われたから走ったが、何かが追ってくるような様子も無く、どれくらい経ったかも分からない。だが、行き止まりの方へ行ってみなければ分からない。目の前の信号は赤だったから、少しは落ち着けるだろう。というか、落ち着きたい。
長くも短くも感じられた待ち時間も終わり、信号は青色に点灯する。車が来ないのを確認して、また、自転車と共に駆けていった。
最後までご覧下さりありがとうございました。
書いてるうちに楽しくなってきますが、
自己満足で終わらせないよう頑張ります。