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朱色の雨―いつか見た幻想風景―  作者: 海腹 水瀬
0章:謎に包まれた未来へ
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始まりを告げた別れの中.Ⅱ

お久しぶりの投稿です。


私は執筆初心者です。

ふさわしくない表現があるかもしれません

ご了承下さい。

 僕の家は山奥にある。家の前は、大きな車両が通れるかも分からないくらいに細い一本道がうねりながらずっと続き、劣化のせいか段差が多い。家の周りも道の両脇も木ばかり立ち並び、虫なども多く暮らしている。日光は、木で隠れて殆ど当たらない。


 この道をずっと行って国道の方へ出ると、中央分離帯と歩道が増えるが、木が林立しているという点は変わらないため、日光は国道に出ても道の半分くらいは木で隠れる。国道だからって交通量が多い訳でもないので、結局この辺り一帯はどこもかしこも静かだ。



 自転車に乗っていても壊れていく一方だと思ったから、仕方無く手で押して歩くことにした。帰って来るのにはかなり時間が掛かりそうだ。


 薄曇りの中、一人で行こうとしたことを後悔しながらも歩く。スマホの時計を見ても十分しか経って無いのに、国道はまだ見えない。本来であれば見えてくる時間である。思わずため息が零れる。ああ、幸せが逃げてしまう。僕は、迷信は信じる方だ。その方が生きてて楽しい。


 そんな、心の中で独り言をただひたすら続けていると、ようやく国道に差し掛かった。嬉しいの一言だけが脳内をよぎる。それと別に達成感にも包まれた。この気分のまま家に帰って寝たい。しかし、そうは問屋が卸さない。家に誰も居ないし鍵もない。僕の達成感は、一瞬にして呑み込まれてしまった。



 この先の目的地までの道は単純で、さっき来た道から見て左に曲がり、少し進んだところの少し錆びついた歩道橋のある、銛のように分かれた三本道の、右の小道を通って街へと行く。下り坂なので、自転車に乗れれば楽だが、問屋はまだ卸してくれない。


 こんなに心の声を発したことなんてない。おそらく、二度と何十分も心の声を発したりなんてしないだろう。というか、それしかすることがなかった。ながらスマホなんて怖くてできない。


 風を切って走りたかった。静かな道を疾走したかった。しかし現実は、おじいさんの散歩のように穏やかで、ちょっとばかしの温もりがある。と、前向きに考えることにした。この発想が前向きかどうかはさておき。


 鼻歌を歌いながら歩くこと数十分、やっと歩道橋まで着く。再び達成感に包まれた。この勢いでちゃんと着ければなぁ。と、感じながら信号を待つ。この信号が変わったら……という高揚感がある。多分、達成感からくるのだろう。


 信号も青になり、坂道に差し掛かる。この坂道も両脇に木が立ち並ぶ為、やはり日光は当たらない。そして、この道もまたうねりが多い。自転車で下ればさぞ気持ちよかっただろう。後悔をしながらずっと歩き続ける。何故か歩いているのに眠くなってきた。足も眠くなってきたのだろうか、だんだん歩く速さは遅くなっていった。休憩できる場など、こんな山奥にはない。後悔だけでいっぱいになりそうだが、僕には歩くことしかできない。心の声で退屈な時間を凌ぐ。


 歩くのも怠くなってきて、いっそ、倒れてしまおうかと考えていたときだった。


 右カーブを曲がった先の左カーブの道路の脇で、スーツ姿の男の人が倒れていて、血が出ている。何故かその人の少し手前で、馬も血を出して倒れている。馬はもう動いていないが、人の方は、若干ながらピクピクと動いているのが分かった。


「大丈夫ですか!」


 僕は驚き慌てながらも、その人に声をかけた。自転車を置いて急いでその人の側へ駆けつけた。


 僕からは背中しか見えなかったが、いざ駆け寄って顔をみてみると──




 倒れていたのは僕の父だった。

最後までご覧下さりありがとうございます。

投稿速度あげれるよう頑張ります。

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