表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/558

93話 悪役令嬢、研究対象になる

「でも2人が友達だなんて、知らなかったなー! いつ仲良くなったの?」


 ご機嫌な私は、にこやかに話を振る。


「えーと、あれは……クリスティアがこっち来る前じゃない? 家族でゲンティアナ家にお邪魔したんだ」

「それでオレが、闇の魔力ないのか聞いたんです。でもセスないっていうから」


 セツは少し考えて。カッコつけて話し出す。

 それにレイ君は頷いた。


「そーこいつ、つまんないとか言ってさぁ」

「だってつまんないもん」

「研究対象にされなくて、オレは良かったけどなー」

「どうせ仲良くするなら、研究対象がよかったのに」

「やだよそんなの」


 軽快なやりとりを繰り広げる2人は、遠慮がない様子が窺える。仲良いのね。


 あーそういう接点かぁ……って、ん?

 今研究対象とか闇の魔力とか聞こえた気が……。


「えーと……なんで闇の魔力?」

「だってシンビジウムと言えば、よく闇の魔力持ちがでる家です」

「そーなの?」

「クリスティアのお父さんだってそうじゃん」

「たしかに……」


 それよりクリスティア呼びが違和感……久々だなぁ。アルの時以来では?


 それだけカッコつけたい友達なのか……。

 多分レイ君にはお兄ちゃん気分なのね。

 セツそういうとこあるよねー。


 と、微妙な顔をしていたら。



「えっそれ、もしかして魔力持ってます?」



 こちらにきょろりと向く瞳……。

 あ。これは獲物を狙う目……?


「そうそう、持ってるぞ?」

「……ど、どーかなぁー?」


 セツの同意を、無理やり濁す。

 自分でも分かる。大根すぎる。



「……ふふ、こんなとこにいたのかぁ」



 ひぃ! 怖い怖い‼︎


 あのですね、レイ君は研究する時目が据わってるんですよ! そこだけネジが外れちゃうの! ゲームでは衝撃のスチルって言われてた!


 今その目をしてる‼︎ だからイヤだったのに‼︎


「ちょっとだけ、血とかくれませんか?」

「イヤだよ! ていうか私大した事ないし、何に使う気なの⁉︎」

「毛髪とかでもまぁ……」

「妥協ありがとう! でもダメ‼︎」

「ええー……」


 すごく残念そうですが、あげませんよ⁉︎


 あぁ普通の友達になりたかったのに‼︎

 てかセツ止めなさいよ!

 あんたの友達でしょうが⁉︎


 しかし知らんぷりして飲み物飲んでるので、助けてくれそうにはない。仕方なく、自力で強引に話を振る。


「あっそうそう! 今レイ君はなんの研究してるの?」

「……セス、そんな事まで話したの?」

「うーん話したっていうか……」


 今度は弟から、呆れとヘルプの資産が送られてきた。


 まぁ私は知ってるからなぁ。

 ……ってこういう所が失敗を招くのよね……。

 あぁまたヴィンス思い出しちゃったよ……。


「……どうしたんです?」

「え? 何が?」

「ストレスですか? 溜めすぎは良くないですよ」


 ちょっと遠い目をしていた私を、レイ君は心配そうに見つめる。


 お、おお……優しい?



「研究対象にストレスが掛かると、結果が変わっちゃうので」



 そっちだったよ畜生!

 私はモルモットか何かか⁉︎


「オレ、研究対象には優しくする主義なんですよねー」


 あぁ……とてもいい笑顔……。

 そうそれは、エサを前にした猫が。

 舌舐めずりをするかのような笑顔……。


「セツぅ……」

「そんな顔されてもオレも対処法知らん」


 弟が役に立ちません。

 見捨てられました。

 お姉ちゃんは悲しいです。


「まぁまずは、信頼を築いてからですかね」

「築いても何もあげないよ……」

「さっきの質問ですけど、今は魔力の違いについて研究してるんですよ。半分は遊びですけど」


 私の意見は無視して、勝手に教えてくれた。


 4歳で研究……彼にとっては研究は遊びなのだ。ていうか今気付いたけど、君リリちゃんと同じ歳か。はぁー嘘だろって感じですね。


 天才に興味はあるので、掘り下げる。


「魔力の違い?」

「魔力の元となる力は、本来同じものって言うのが仮説です。そこから精霊の力を借りて、属性が出てくる。ならその変換を解き明かせば?」

「え、何?」

「何でも使えるようになるって事です」

「うわ頭が良すぎる発想!」


 君は本当に4歳かな⁉︎

 お姉さんこの歳でもその発想に至らないけど⁉︎



「いやまぁ、親の受け売りですけど」



 良かった‼︎ 親に影響されるただの子供だったか!


「それを理解できてるのが、4歳じゃないんだよなぁ」

「ずっと聞かされてたら、理解しますよ?」

「そんな親オレはやだなぁ……」

「君とはつくづく、趣味が合いませんね」


 弟のひどい言いように、しれっと返している。


 そう言いながらも遊びに来てるんだから、仲良いってわかるね。うちの弟、何気に人タラシなんですよねぇ……。なんかスルッと仲良くなるタイプ。


「でも、研究対象がいる事が分かったので、これから楽しくなりそうです!」

「ワ、ワタシオイシクナイヨー」


 輝く瞳がこちらを向いて、とりあえず死んだ目で言ってみる。多分聞いてはくれないけど。


「まずは何からしようかなー」

「話を聞いてっ⁉︎」

「とりあえず、過去視してくれません? コレも試したかったんです」


 過去視? なにそれ?


「え? そんなこと出来るの?」

「未来を見られるなら、過去も見られるんじゃないかっていうのが、オレの予想なんです。でも、どの本にもないんですけど」


 どんな絵本に、そんな内容が載ってるのかしらね?


「なんでそんな本読んでるのかな……」

「魔力の事がしりたくて」

「それはわかる」

「それでお城の図書館にいりびたりで、気付いたら仮説が出来てたんです」

「それはわからない」


 そんな所に、4歳だよ?

 まぁ確かにこの世界漢字とかないから。

 文字読めれば読めるんだろうけどさ?


 理解できるの? ちょっと意味がわからない。


 というかそこ、親が連れて行かないと行けないから。やっぱりお父さん仕込みなのかぁ……。


「よくそんな頭痛くなりそうな事やるよなー」

「よくそんな頭悪そうな発想になりますよね」

「うーん、会話だけだと険悪!」


 でも空気は悪くないっていう。なんなの君達。


「じゃあ今日は魔力をちょっと確認させて貰えたら、満足することにします」

「私の意見はー?」

「どうやってやんのそれ」

「うんー聞いてくれない!」


 実験動物に、口を挟む余地なし!

 弟はいつも通りだよ!


 さすが実験絡むと人が変わるねレイ君!

 ツンデレもどこに行ったのかな⁉︎


 ある意味すごい素直になったね!


「じゃあまずセス、手貸してくれない?」

「はいよー、片手?」

「両手をオレの手の上に乗せて」

「了解。こう?」


 レイ君が掌を上にして。

 それに重ねるようにセツが手を置いた。


 見た目だけなら微笑ましいんだけど……実験なんだよね? これで分かるの?


「そのまま、魔力を流して欲しいんだけど」

「いやオレ魔法使った事ないから、分かんないよ?」

「腕の血管をイメージして、そこの血を流す感じ」

「んー……こう?」


 私はただそれを見守る。側からはよく分からないけど……。


「……うん、もう良いよ」


 そう言って手を離す……これだけ?


「セスは雷と水と風の魔力持ちだね。3つか……いいなぁ」

「ん? すごいのかそれ?」


 よく魔力や魔法を理解していない私たちは、首を捻る。


「普通持ってても2つが多いんじゃない? オレも水と風だけだし。はぁ、宝の持ち腐れ」

「失礼だなー」

「だってそんな使わないでしょ。わけてほしいよ。オレならそれで実験し放題なのに」


 それだけ価値があるらしいけど……。

 結局実験のためなのが、レイ君らしいね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] セツとレイって結構仲いい? [気になる点] なんか主人公の扱い、雑じゃないですか笑 レイ君が本当にモルモットとしてしか見てなくて笑うw そして4歳w 遺伝子レベルでマッドサイエンティスト…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ