82話 ヘルプミー女神様!
聞いて下さい。私傷付きました。
だって女神様、開口一番こう言ったんですよ。
「あんた、バカじゃないの?」
……話を少し遡ろう。
私はシブニー協会の儀式を阻止すべく。発言力を増す為、まずは自分が十分に『予知予言』が出来ると言うことを、王様に伝えようとした。
でも子供が喚いても、会ってくれる人ではない。
だから取り急ぎお父様に、「王様に伝えなければならない予知がある。取りついで欲しい」と伝えた。
もちろん、止められた。
まだ言わなくていいと。
言ってしまったら取り消せない。私は危険視される事になるだろう。
でもそうも言っていられない。
もう時間がないから手っ取り早く「国の存亡に関わる予知」だと伝えた。嘘じゃないし。
内容を求められたが、それだと私は会わずに終わる可能性がある。だから「女神様に止められてる」とか言った。ごめん女神様。
そしてそれが終わってから、アルにも速達の手紙を出す。こっちは予備だ。お父様に取りついでもらえなかった場合の。
それに私がアルに怒られたくないし……。
そしてパフォーマンスの相談と、名前を借りていいか聞くために女神様の所へ行こう! と、思ったら。
床が水浸しになってて足を取られた!
溺れる⁉︎ ……と思ったけど。
あれ、息吸える?
ーーそして今に至る。そんな感じです。本当に行きたいと思うだけでいいのか……。
「なんですかバカとは! そういう人にはチョコあげませんよ⁉︎」
お邪魔するから作ったチョコーートリュフを、持ってきた……まぁ、女神の大きさに合わないけど。ないよりね?
「……チョコ?」
「チョコです! 女神様には小さすぎますけど、美味しいんですよ?」
「……。」
なんか黙った……と思ったら。
ギュルルルル
突然水流が女神様を包むと……王座ごと女神様が消えた⁉︎
「下よ下! 消えてないわ!」
「えっ……え⁉︎ 小ちゃい⁉︎ ていうか人型だ⁉︎」
「神なんだからこれくらい出来るわよ!」
「えー! すごーい‼︎ これでチョコ食べれますね! 良かったです‼︎」
「……なんかもう、あんたの反応に突っ込むの飽きたわ」
ん? どういう事だ?
今回はちゃんとリアクションしてたよ?
なのに女神様ったら、白けた顔だ。
「もしかして、チョコ嫌いでしたか⁉︎」
「違うわよ‼︎ もう良いからそれ寄越しなさいよ!」
「はーい、じゃあ今持っていきます」
「この距離歩いてたら結構かかるじゃないの! 魔法使いなさいよ何のための魔力よ⁉︎」
まぁたしかに。大きかった女神様とも距離あったのに、それがちっちゃくなっちゃったから、すごい距離空いた感じだけど。
魔法って言ったって私風魔法使えないし……。
そう思って立ち止まったままの私に、女神様がクイッと指を動かすと……わわわ⁉︎ 流される!
びっくりして瞑った目を、止まったところで開ければ。目の前に女神様がいた。
「うわー……さすが女神様! 人間離れした美しさですね! あ、これチョコです!」
「……まぁ人間じゃないしね……」
そう言いつつも、嬉しかったのかちょっと顔が赤く見える。そうしてたら可愛いのに。
そしてそのまま、チョコの紙袋は回収された。
「……思ったより美味しい」
早速チョコを食べる女神様。思ったよりとか言ったのに、今度はチョコを一気に2つも口に入れたから、リスみたいになっている。美味しかったのかなぁ?
「えへへーそれなら何よりです!」
「あんな適当に作ったから、どうかと思ったのに」
「あれ? 見てたんですか?」
「それ持ってる人間の事は、見ようとしてなくても分かるようになるのよ」
それ、と言われて指差されているのは、『神の涙』のピアスだ。へー、そういう効果もあるのかぁ。
もぐもぐもぐもぐ。美味しかったのね。よかったよかった。
「……ってそうじゃないでしょっ⁉︎」
「え? どうしました?」
「『どうしました?』じゃなーいっ‼︎ あんた! ここに来た目的忘れてるんじゃないのっっ⁉︎」
「いや、さすがに忘れてはいないですけど」
「何で最初にチョコなのよっ⁉︎ ちょっと流されちゃったじゃないの‼︎」
流されてたのか。美味しそうに食べてたもんね。
「いや聞いて下さい! 前にいた世界では、人のお家にお邪魔するときお菓子を持っていく文化がありまして! あとお願いする時もお菓子渡したりするので」
「何でそんな変なとこで余裕あるのよ⁉︎」
「いや礼儀なので」
「今までの散々な態度で何を今更⁉︎」
うっ。それはぐぅの音も出ないけど。
怒涛の指摘に、ちょっと唇を噛みつつ。
「でも今の感じからすると、見てたんですよね? じゃあここに私が来た理由も、知ってますよね?」
「知ってるけど口で言うのが筋でしょ⁉︎」
「やっぱり礼儀気にしてるんじゃないですか、ならお菓子……」
「今チョコの話いいから! 話進まないから‼︎」
えー。結構大事じゃない?
仕方がないので、話を戻そう。
「で、何がバカなんですか?」
「何であんな選択したのよ⁉︎ あんた生きる気あるの⁉︎」
気を取り直して聞いたら、さっきよりひどく怒られた。
何でと言われましても……。
お願いされちゃったし?
「少なくとも今は死なないじゃないですか」
「そうだけど! あんたが死ぬ可能性が上がるから、そこを潰せとは言わなかったのに‼︎」
え、なに女神様、私の生存気にかけてくれてたの?
「あ、ありがとうございます?」
「そこはごめんなさいでしょうが‼︎」
ええー……。
「……すみません。まさか女神様が、私の事気にして下さるとは思っておらず……」
「……私が巻き込んだ魂なんだから、そりゃ多少は気にするでしょ」
「あはは」
「何でそこで笑う⁉︎」
「いやー、女神様いい神様だなーと思って」
この神様意外と面倒見良いよね。そういうところ結構好きだよ。
「……はぁ。怒る気が失せるわ」
そうふて腐れると、女神様はまたチョコを食べた。
多めに持ってきて良かった。
糖分って怒りを抑えてくれるんだよね。
その代わり、アル達の分なくなっちゃったけど。
大丈夫、また作るから! シーナも喜ぶし!
「あんた無意識に予知するから。たまに追いつけないわ。もっと考えて使えば?」
「えっ私予知してたんですか⁉︎」
「……あんたの想像したの大体予知だからね」
もぐもぐ食べながら、不機嫌そうな顔で教えてくれた。
うぉーこわー! 頭の中に映像思い浮かべたそれが想像じゃなくて予知だったってことか⁉︎
「あれ、でも水晶使ってないですけど」
「そんなはっきりと見てないし、どれも数秒だから。でも気をつけないと。特に子供は魔力が抑え込めなくて、予知夢から醒めない可能性も出てくるわよ」
「えっ」
「あんなに無意識に使ってたら当然でしょ。もっと意識的に使いなさいよ」
うぉー! その話は聞いてたけど!
普段からも気をつけないとなの⁉︎
勝手に危ない橋渡ってた⁉︎
意識……意識ね。おっけー気を付けよ!
「……それで? あなたはどうして欲しいわけよ。ここから出なくていいなら、多少は相談に乗るけど?」
ぶっきらぼうにそう言う女神様に促されて、やっと作戦会議を始めた。




