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フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、物語に挑む〜ゲームの舞台もフラグだらけです〜
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508話 いい子悪い子

「……いや気にする意味はあるよね???」

「えー?」

「あるよ! 相手に迷惑かけちゃうかもだし‼」

「でもそれって、自分とは関係なくないです?」


 自分と関係ない⁉

 そんなことある⁉

 関係なくはないでしょっ⁉


「関係あるよ! だって周りに嫌われちゃうかもだし……」

「どうでもよくないです?」

「どうでもよくないですけど⁉」

「えー?」

「だってよくないってことは悪いことなわけで……」

「じゃあクリスちゃんはオレのこと悪い子だと思います―?」


 悪い子かどうか?

 悪い子かどうか、か……。

 ……いや品行方正ではないけど。


 しかもめっちゃ迷惑は正直かけてると思うけど。じっと見つめてくるレイ君を悪とみなせるか? と、言われてしまうと……。


「……まぁいい子ではないよね」

「回答が違いますよ、オレは『悪い子か』聞いたんですから」

「え~~~……ムリ! いい子とはいいがたいけど、別にいいところもあると思ってるし……!」

「クリスちゃんって面倒くさいですよね。自分で2択に狭めたのに選べないし。曖昧に回避するのって問題の先延ばしで逃げじゃないです?」

「容赦ない指摘がグサグサくる‼︎」


 世の中灰色の選択も大事だと思うんですけどっ!


 ていうかそんな答えにくいこと聞く⁉︎

 それで私が悪い子って言ったらどうする⁉︎

 ……どうもしないかレイ君だもんなぁ‼︎


「まぁでも、こういうことだと思うんですよね〜」

「はえ……?」

「クリスちゃんは本心では選びたくないんですよ。でも選ぼうとしている。これはただの外的要因であって、クリスちゃんの意思ではないわけです」

「……? 難しい話してる?」


 ど、どうしてその話に……?


 怒られているのかな? と思って顔色をうかがうも、特に表情に変化はなく。ただ淡々と、レイくんは首を振ってそのまま言葉を続ける。


「してないです。外的要因はクリスちゃんには関係ないので悩むだけムダで、切り離すべきではという話をしてます」

「ううん……?」

「オレが何を言ったところでクリスちゃんの行動って変わらないじゃないですか? つまりそれは気にするだけムダって話をですね……」

「えぇ⁉︎ ムダじゃないよ⁉︎ 変える時もあるし迷惑かけたくないし! 私ちゃんとそう教えられて育ってきたよ⁉︎」

「いやまず感情と理性を切り離すべきで……ていうか、教育も外的要因の1つなので。それが正しいかどうかは別ですし精査すべきで……」



 む、難しい話をしている……!



 そういえばこの子賢い子だったなとか。

 でも絶対一般常識は私の方があるのにとか。

 いらないことが頭をめぐりつつ。


 たぶん私にはない概念の話をしているので、一応理解しようとは試みてる。自信はないです。


「だから、そもそもクリスちゃんは外的要因によって良いか悪いかで見てるわけです。それが問題なのでは?」

「あ……えっと……」

「まぁさっきの2択、聖女様なら即答で『良い子』だと言うでしょう」

「はい……まぁフィーちゃんならそうでしょうね……」

「けどクリスちゃんの答えは『いい子とはいえない』ですから、悪い子ですらない。ただし軸は悪いかどうかです。良いかではなく」

「えっと……すみません?」

「別に怒ってないです」


 うえーん!

 どうすればいいのこれー‼︎

 なんか詰められてるー‼︎


 謝ってみてもダメだったので、もう八方塞がりです。なんかスイッチ入れちゃったけど止め方がわかりません。ごめん聞いた私が悪かったって!


 そう、あわあわと戸惑っていると。



「もしかして、私の婚約者をいじめてますか?」



 聞き慣れた声が聞こえて、背中とお腹に体温を感じた……あ!


「アルー‼︎」

「あぁ、殿下どうも。これはただの意見の指摘で、いじめても怒ってもいないですねー」

「そうでしたか。しかしはたから見ると、誰も近づけないようにした上で説教してるように見えかねませんよ」


 うわー! ありがとう助かった‼︎

 どうしたらいいかわからなかったから‼︎

 いや私が悪いんだけどもー‼︎


 私に尻尾が生えてなくてよかったですね、絶対高速ぶんぶんが発生してしまうから。見上げた先の救世主と目があったから、にぱーっと笑顔を向けておく。


「……君その顔、他の人にも向けてないですよね?」

「へ? なんの話?」

「いえ……というか今日のドレスは少し大胆ですね?」

「え? アルが送ってくれたやつでしょう?」

「え? いえ私は……」

「あーすみません。オレの存在忘れてませんかお2人とも? それとも退場しましょうか?」


 レイ君の言葉にはっと意識が現実へ引き戻される。そうだ、アルがここにいるってことは! うちの弟、ちゃんと追っかけてったかな⁉︎


 会場を見回すけど、姿は見えず。

 ふう、よかった。

 ちゃんとフィーちゃんのとこ行ったね。


 ほっとしかけて。そういえばアルがこっち来てくれなかったらどうするつもりだったんだと、自分の注意力のなさに若干冷や汗をかく。


 ま、まぁ……結果オーライですので?

 引き止めは成功してるよね?

 アルここにいるからね?


「今度は何に気付いたのか知りませんが……一旦何故誰もここに近づけないのか説明してくれませんか?」

「はっ! そ、それはですね……」

「ヒマなのでオレが魔道具の実験をしてるからですねー」

「それ正直に言っちゃうんだ⁉︎」


 あっけらかんと言ってみせるからびっくりしてしまいまう。


 隠してあげようかと思ったのに⁉︎

 そんな悪びれもせず⁉︎

 自分の悪事を暴露してしまうとな⁉︎


 いや……これはレイ君が周りを気にしてなさすぎて、悪いと思ってないから、かな……! そう気づくと、やっぱり私の方が正しい気がしてきた。


「レイナー……城内を出入り禁止にされたくなければ解除してください。許可のない魔道具の使用は禁じます。当たり前ですが」

「えー……まぁいいですけど。もう検証は十分できましたし……」

「それで、何をしていたんですか?」

「いやー、魔力量で人を近づけさせない魔道具の実験ですよ。クリスちゃんと殿下は近づけたので成功ですね。そのうち応用したらこれは魔獣対策にも……」

「はぁ……本来なら今すぐ追い出されても仕方ないですよ。自分の才能に感謝しつつ、常識に合わせる努力も覚えてください」


 そうだそうだー!

 やっぱりレイ君がおかしいんだー!

 人に迷惑かけちゃいけないんだぞー!


 そう思ってぶんぶん頷いていると、アルから「それはそれとして私はティアにも聞きたいことがありますけどね」と言われた。あ、あれぇ?

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