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フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、物語に挑む〜ゲームの舞台もフラグだらけです〜
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486話 双子のような2人

 それにしても。この子たちはたまに妙に似てるというか、兄妹だからなのか同じ反応をするというか……今も同じように目をぱちくりさせていて、まるで双子みたいだった。


 身長は違うけど、顔も似てるもんな。

 男女差はあるし、リリちゃんの方がツリ目?

 行動が似てるのかな、性格は違うけど。


 うちは似てない姉弟なので、なんだか固まってるのを良いことにじっくり見比べてしまった。子供の時の方が見た目は似てたかもしれないけど……今の方が雰囲気は近い、かな?


「……何してますか?」

「あ、おかえり? アル。せっかく挟まれてるから美しい顔の鑑賞会かな。2人は似てるなぁと思っただけ」

「……お姉様、ヴィンセントみたいなことを言いますのね」

「あらリリちゃんもおかえり? というか、ヴィンスそんなこと言ってたの?」


 そう尋ねたら思い出して機嫌を損ねたのか、リリちゃんがすごい顔になって腕を離した。


「アレは、お兄様の顔が好きなのですよ」

「アルの……? あ、そういえば面食い仲間だった!」

「……この誤解どう解いたらいいんですかね」


 そう言いながら、アルもどんよりとして離れていく。わーヴィンスの萎え萎え効果は抜群だなぁ! ……今度お詫びでもあげないとかわいそうかもしれない。


「お兄様、誤解ではないと思いますの」

「少なくとも今の私の顔が好きなわけではないですよ……」

「じゃあ認められますのね。アレはお兄様の顔が好きだから……!」

「ど、どうどう。どうしたのリリちゃん?」


 顔に自信のある人しか許されない会話が、おかしな方向に行きはじめている気がする。


 たしかにアルは顔がいいし、たしかに同性でも惑わせられそうではあるんだけど……でもヴィンスはそういう感じではないと思うけどな? 多分だけど。


 それにリリちゃんのことも大事にしようとしてると思う――結構失敗してるけど。


 そんな哀れなヴィンスへの誤解らしい問題の真相は、キッとこちらを睨んだリリちゃんによって明かされた。



「あいつは、私がお兄様に顔が似てるから私を身代わりにしようとしてるんですのよ!!!!」



 えー!!!??

 そんなことないと思うけど!???

 どうしてそうなっちゃったの!


 びっくりして助けを求めるべくアルの方を見たら、彼は片手で顔を覆いやれやれと頭を振っていた。


「私ではリリーに代われませんよ。第一、誤解ですから……まぁたしかに、昔はヴィスが私の顔が好きだったんじゃないかという疑惑はありましたけど」

「そういうことですのよ!!!!」

「んん⁉ わかんないわかんない……いやわか……ヴィンスの気持ちは面食い同盟としては痛いほどわかるけどね? 私もリリちゃんの顔好きだし、そういうことじゃ……?」

「ないんですよね」

「ないのっ⁉」

「おねーさまーーーー‼ 私と結婚したら幸せにしますのに!」

「リリ―……?」


 いや忙しすぎ!!!!

 状況が読めなさすぎ!

 カオスすぎて手に負えない‼


 とりあえず勢いで再度抱きついてきたリリちゃんの頭をなでながら、なぜかにっこり怒っているお兄さんへ「顔、こわいよ」と、指でそのほっぺをちょんっとつついた。瞬いたイエローダイヤの瞳には、もう不機嫌の色は消えてた。


「それで? 何があったらそんな話がでてくるの? このままじゃリリちゃんがかわいそう」

「お姉様……!」

「いえ……ただヴィスもプライドが高いので、話すには少しかわいそうな気も……」

「ねぇお兄ちゃん? ここは親友のプライドより、妹の心の傷を癒す方が先決だと思わない?」

「おに……こほん。まぁ……そうですね。あれはあれで、どうにかなるでしょう」


 なぜかそっぽを向いて咳払いした彼の耳が赤いところを見るに、どうも照れているらしい。


 そっかぁ~アルはお兄ちゃん扱いしてほしいタイプなんだなぁ。なんかかわいくてにやにやしちゃうね! でも気持ちはわかるよー! と思って見てたら、ぎょろりと鋭い眼光がこちらを向いた。


「……何に笑ってますか?」

「ん? へへへ~」

「言っておきますが君、絶対勘違いしていますよ。今のは——」

「わかってるよ! いつもはお兄ちゃん扱いされない相手から得られる高揚感ってあるよね!」

「……間違いとも言えないのがなんとも……」


 小さい子が嫌いな野菜を食べたときくらい苦々しげな様子は、すぐに「まぁいいでしょう、いつか覚悟しておいてください」というかわいくない不穏な言葉で締めくくられた。ど、どういうこと?


「で、ヴィスの話でしたね。まぁくだらないと言えば実にくだらない話なのですが——」


 そう言ったアルの顔が、ちょっとだけ意地悪で揶揄うような笑みを浮かべる。




「あれは小さなときはプレイボーイ気取りでしから。初めて会った時に告白されたことがあるんですよ」




 コクハク……こくはく……告白?

 …………どえぇーーーーーー!!??

 それって! 恋愛的なアレであってますかっ⁉

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