表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、物語に挑む〜ゲームの舞台もフラグだらけです〜
493/566

470話 嫌な予感に囚われて

****


「へぶっ!」


 顔面ダイレクトアタックを食らって、我に返る。咄嗟に手をついたけど、全然間に合わなかった。


 いたた……いきなりこんにちは地面になるとは……。急に帰されたから……というか、アミトゥラーシャ様ってば帰し方雑ぅ!


 はっ! ていうかドレス‼︎

 今ので破れてない⁉︎

 いや少なくとも汚れたっ!


 痛みよりヤバい! という気持ちが強くて、ガバッと起き上がる。



「お姉様っ! 大丈夫ですのっ⁉︎」

「ふぁ⁉︎」

「おいおい、急にどういう出方してんだ……」



 べしゃっとコケたの元に、すごいスピードで駆けつけてきたのはリリちゃんだった。肩を掴まれてびっくりした。


 その後ヴィンスも屈むように覗き込んできた。はっ! そうだよみんな大丈夫なの⁉︎


「あっ2人とも! みんなは……」

「それよりお姉様のお顔の傷が先ですのよ! 後でフィリーかノアに治してもらいますけれど……」

「ふぐっ」


 質問しようとしたら、顔をガッチリ固定された。


 そのままリリちゃんは、ヴィンスのポケットから奪ったハンカチを水魔法で濡らして拭いてくる。あ、ハンカチ汚れるって喋れない……!


「お姉様の可愛らしいお顔が……! おでこと鼻が赤くなってしまいましたのよ、冷やすのでちょっとじっとしててくださいな」

「いや、ま、このくらい大丈夫……」

「いいからじっとしてるんですのよ!」


 身じろぎして避けようとしたら怒られた……。


 今これどころじゃないのでは……と思いつつ、リリちゃんの剣幕がすごかったので黙って座ってることにした。


 てかリリちゃんまでしゃがませてしまった……。あぁ綺麗なお洋服が……。


 仕方がないので。無力な汚れわんこと化してしまった私は、悲しい瞳をなんかそこに立ってるヴィンスさんのほうに向けた。助けて……。


「そんな目で見るなよ……とりあえず、あの渦は消えたから大丈夫だ。あと、あのタコ足……セイレーヌ様を止めてきてくれたんだろう?」

「ん」

「うん、ありがとな。だからとりあえずこっちの人的被害はゼロだよ。避難させたし、多分な。クリスのおかげだ」


 リリちゃんにおでことか鼻とかを、冷たい手で冷やされながら頷く。助けてはくれなかったけれど、少し安堵の表情で状況を教えてくれた。


 ……でも。


「多分って何……?」

「いや……ノアの姿が見えなくてなぁ。あいつは下手したら僕より強いし、まぁ大丈夫だと思うんだけど。どこにいるんだか……」


 そう言って苦い顔をする彼に、息が詰まった。


 それって。

 いや、でも。

 だけど、もしかして……。


「え? お兄様たちに着いていったのではないですの?」

「いやその前から多分いない……」

「はぁ? あなた兄として何やってるんですの?」

「今回ばかりは反論できねぇ……」


 リリちゃんが容赦ないので、腕を組んで項垂れてるヴィンス。でも私の心は、それどころじゃない胸騒ぎに圧倒されていた。



 外れてほしい、予感がひとつ。

 ぽとんと落ちて、心に穴が空いたような。

 侵食していくような、胸騒ぎが。



「……アルとか、うちの弟は?」


 もう大丈夫なので、リリちゃんの手を「ありがと」と言いながら掴んで下ろさせる。そしてなるべく平静で慎重な様子で尋ねた。


「アルバは先に出した騎士団の一部から、異常がないと報告があったからな。念のために現場確認に行った。セスたちも一緒だ」

「フィリーも行きましたの。お兄様が、銀色の光を見た気がすると言ったので……」

「なるほど。私の指示ミスかな……」

「え?」


 私の陰った表情に、リリちゃんが少し目を見開いた。


 いや、大丈夫かもしれないけど。

 でもなんというか……。

 あんまり関わらせたくない。


 『学プリ』メンバーを関わらせちゃいけないようなーーそんな直感がある気がする。



 そしてこれが、もし『予知』だとしたら。



 嫌な予感がした時に、なんとかして動くべきだったのかもしれない。そんな事できた? いや、できたじゃなくてやるべきだった?


 ダメだ、考えてもわかんない!



「よし! ちょっと私、見てきます‼︎」



 スクッと立ち上がるなり、キリッと2人に宣言して踵を返そうとしたら……ガシッと腰と肩をつかまれた。


「いやいやいや! 何行こうとしてるんだお前⁉︎」

「ちょ、ちょっとー! なんでよー‼︎ 2人ともはーなーしーてーーーー‼︎」

「お姉様がその顔で突撃しようとした時に、いい思い出がないからダメですのよー‼︎ 忘れたとは言わせませんの……‼︎」

「う……」


 振り向いて反抗したら、過去の行為について言及されました。心が抉られる想いです。……そういや2人は、あの時も止めたね。ごめん。


 でもーーーー‼︎


「でもでもー! 別に今回は危なくないからー‼︎」

「危なくないなら行く必要ないですのよ……!」

「シャッといってシャッと帰ってくるからー!」

「いやお前にはアレとか直す役目があるから‼︎」


 ふぎぎぎ……! と無理やり動こうとしたけど、びくともしません。2人がかり強い。そして何故か必死に抵抗してくるから怖い。


 そしてあれ、と言われた方を見たら。

 私がドーム状の何かで囲った屋台街だった。


「あ、ごめん忘れてた。はい。直したよ」

「⁉︎」


 瞬きの間にそれが消えたので、呆気に取られた2人の力が緩む。魔法解くだけなら時間かからないのは、みんな普通だと思うけど……。



 でもチャーンス!!!!



「よし今のうちっ‼︎」

「「させるか(ないですのよ)!!!!」」



 ガシッッッッ!!!!!!


 ほんのひと時抜け出したのも束の間、またもや拘束された……え、2人とも何か訓練でも受けたの?


 あまりに速すぎて。今度は私が呆気に取られて、取り押さえられるハメになりました……えぇ……?

【要約】被害者の会の結束は強い(トラウマ)



さてブクマ外さずに待っててくださった読者様、お待たせしました……!

ありがとうございます!

優しい皆様のお陰で更新再開します!



ただ体調万全じゃない&仕事が忙しいので、しばらくは日曜更新だけになるかもしれません。落ち着いたら戻します。その代わり楽しいお話が書けるよう頑張りますので、お付き合い頂けましたら幸いです……!


次の更新は6/5予定です…治ればすぐ再開します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ