表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/533

36話 誓約のブレスレットの効果

「君は……」


 そう言いかけて、アルバート王子は止まる。


 え、なんなの。


 さっきから2人とも言いかけて終わるの、よくないと思うよお姉さん。言わなきゃ分かんないよ?



「分かりました、話しましょう……2人とも、ここで話す事は他言無用ですよ」



 ふう、とひとつため息を吐いてから、アルバート王子は話し始めた。


 ところでなんでため息吐いたんですか?

 なんか呆れられてる気がするんですが?

 何故でしょうか?


「フィンセント王国には、昔から時折黒い髪を持った者が生まれます。その多くは、強力な闇の魔力を持っていると言われているんです」


 私の心の声は置いて、解説が始まる。


「まぁ、魔力属性が髪に現れることはよくあるからな。絶対じゃないけど」


 若干和らいだ態度で、ヴィンセントが補足してくれる。


 へー。リトマス紙みたいで面白いなぁ。

 だからこの国は、こんなに色とりどりの髪色なのかな。


「ええ。ですから、それを目安に王国は黒髪の者に目をかけますーーと言えば、聞こえはいいですが」


 少し言葉を切って、視線を外す。

 それが決まりすぎていた。

 大人か、君は。


「要は危険分子にならないように見張っているのです。その力は強力なので……」

「あー予知のせいですね?」


 言葉を選んでるけど。そこで原因が分かったので、直球でいくとコクリと肯かれた。


 まぁここまでは、前にも聞いてるからね。


「予知なんてできるのか?」


 ヴィンセントを見れば目が大きく開き、こちらに注がれていた。


 おや、こちらは知らなかったのか。意外。


「あら、ヴィンセント様知っていらしたのではなかったんですね」

「……闇の魔法は危険だという話しか知らない」


 ちょっと揶揄うと、ぷいっとそっぽを向かれてしまった。


 あらら? もしや闇の魔法がなんたるかを知らずに、恐れてる人が多いのかな?


「闇の魔力でできることは、おもに2つなんです。1つが幻惑、もう1つがさきほどの話の予知予言なんですが……まぁ闇の話はみな避けますから。ヴィンセント様が知らないのは普通ですよ」


 サラッとフォローしておく。

 この子もプライド高そうだからなー。

 機嫌悪くしないでほしいな?


 別に仲良くしたいから、点数稼いどこっとか思ってないよ? うん。ホントダヨ?


「あぁ、この歳では知らないのが普通ですから。大人も話したがらないですしね。王族はその魔力持ちと結婚するかもしれませんから、知っているだけですよ」


 私のフォローに王子も乗ってくれる。

 まぁ実際、そうなんだろう。

 君たちみたいにみんな賢くてたまるか。


「まぁ……たしかに予知とかできたら、便利だもんな。災害とか民の反乱とか……事前に知ってたら国が安定することはたくさんあるだろう」


 さすが王子のフォローはプロ級ですね。

 ヴィンセント持ち直したよ。

 仲良し補正もあるのかなぁ。微笑ましいね。


 にしても発言が子供じゃないなー。お姉さん、お姉さんなのに場違い感あるんですが。


 冷や汗かいてる私をおいて、話は進む。


「そう。けれど同時に、闇の魔力持ちは危険視される。魔力量しだいでは幻惑の魔法も、国を脅かすに値するんだ。人を惑わせることができるのだから」


 深刻な表情でそう告げる。

 今の説明だと人を操れるってことかな?


 まぁ……実際はそれだけじゃなく、世界を一時的にしろ、思い通りに作り替えることさえできる力なんだから、ね。


 知れば知るほど恐ろしいことこの上ないよね……。


「……で? その闇属性の魔力持ちが手元にいないと、恐ろしいってのは分かった」


 調子を取り戻したヴィンセントは、片眉を上げた。


「それがあのブレスレットで作った魔道具と、なんの関係があるわけだ? まさか監視用の道具作るのに、それだけ制約のあるものは必要ないだろう?」


 納得いってない顔。また疑問が上がった。


 そっか。

 たしかに監視の魔道具は必要かもしれない。


 でも王族が直々に、しかもなんか制限までかけてしなきゃいけないなんてものは、必要なさそうじゃない?


 ぽへっと考えてる私より、真剣な表情で王子は話す。


「王家は今までも、闇の魔力を持つものたちを迎えてきました。強い力を持つ者ならとくに。そうすることで闇の魔力を持つものを手元に置き、監視するとともに庇護してきたんです」

「庇護ですか?」


 スラスラ述べる王子に、今度は私が疑問の声を上げる。便利な力が取られたら困る、だけじゃないの?


「国を脅かす存在なら利用価値もありますが、その分敵に回れば恐ろしいですよね? それを恐れた者が、敵に回るくらいならばと……黒い髪を持つ者は、歴史的に悲劇的な死を迎える事が多いんです」


 一瞬だけ、視線を外し逡巡(しゅんじゅん)した表情を浮かべて止まった。


 しかし次の瞬間には決意したように。しっかりとした口振りで、私と目を合わせアルバート王子はそう話した。



 ……お? ていうか。

 今不穏なフレーズが聞こえた気がしたんですが?



「ですから、王家は考えました。この国の一助となるかぎり、その者の運命を長らえさせることを」


 しかしそれどころじゃなく、話は本題に入る。



「……あの誓約のブレスレットの効果は、『運命の力の制御』の付与です。制限として王族しか使うことができない事、また使用者はその付与の代償として、一生闇の魔力を使うことはできません」



 淡々と語られる内容だけどーーそう聞くだけなら、いい効果なんじゃない?


 代償とかも、そう困るようなものではないと思うけど……。


「……王族の闇属性の魔力を使うってことか。それで作り出した魔道具で、身につけた者の運命を予知するってことか?」


 ヴィンセントが、予想外のことを言い出した。


「まぁ、その考え方であってる」

「え、アルバート王子闇の魔力お持ちだったんですか?」


 王子が肯定した事に驚いて、私は目を見開いた。


 まさかまさかの、衝撃の事実!

 私だけじゃないんだね⁉︎


 ていうか、そんなキラキラな見た目で闇とか似合わないなー! とても信じ難い! 光って言ってくれた方が信じる‼︎


「さっきの話で考えろよ……闇属性の魔力持ちを引きいれまくってたなら、遺伝はありえるだろ」

「あ、そっか。すごいですね! さすがヴィンセント様頭いい!」


 呆れ顔のヴィンセントへ、本当に感心して言った。

 ちなみに拍手付きだ!

 わーわーさすがー‼︎


 なのに、なんかなんとも言えない複雑な表情をされた。何故!

同音異義語ややこしいですので意味を


誓約→約束


制約→制限

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*企画ありがとうございました!*
i583200

*短編悪役令嬢*
流星の如く輝く没落を!〜悪役令嬢はざまぁフラグ貯金でクソゲーを改変したい〜

*こっちは学園物です*
BLACKCAT SYNDROMEー黒猫症候群ー

参加しています。よろしくお願いします!
小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=289234961&s
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ