表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、物語に挑む〜ゲームの舞台もフラグだらけです〜
340/565

325話 怒られても結局

 リリちゃんとフィーちゃんが病室を去った後。セツが遣いを……というか、シーナに呼んでくるように伝えた。


 院内にはいるらしい。でもリリちゃんの手前、席を外していたみたいだ。



 意外にも、お母様には怒られなかった。



 ただ「クーちゃんは、心配をかけるのが上手ね?」と、毒吐かれた。すみません……。


 お父様はーー泣く泣く、仕事に追い出したらしい。私の様子が安定していたから、とのこと。……あとで連絡取るべきかなぁ。


 そしてみんなが待っているからと、シーナが着替えの準備をしてくれる。


 一応お医者様にも診てもらったけど、もちろん異常のない健康体だった。ちょっと魔力多かっただけだもんねぇ。



「……奥様は、ショックで気絶したとしか聞いておりませんから」

「へ?」



 髪を結いながら、シーナが言った。

 少し小さいから、聞こえにくい。


「お嬢様の無茶振りは知りません……私はセス様から伺いましたが」

「え、セツなに話してんの?」

「なんなら姫様からも伺いましたが」

「なんでそこ繋がってんの?」


 部屋に来た時に仲良くなったのは知ってるけど……いやいいや、突っ込むな私。


 まぁなるほど……。

 だから怒られなかったのか。

 無駄に心配かけなくてよかったなぁ。


 手際良く器用に結い上げながら、彼女はまだ続ける。


「……人々は喜ぶでしょうけれど。私はお嬢様が無茶をした結果、出来た幸せならーー怒りますよ」

「あれ? もしかしてシーナさん、怒ってます?」


 なんとなく、いつもより手荒いかなと。

 結い方キツいかなと思ったけど。

 怒ってますね? これ。


「お嬢様を大切だと思う方なら、おそらく皆さん怒りますね」

「あ、怒ってるんですね……」

「危ない事をしたら怒るのは当然ですよ」


 控えめに確認を取れば、小さなため息が聞こえてた。


 まぁ、そういうものだろうか。

 私がアルに攻撃止めさせた感じかなぁ。

 危ないってわかっててやってたら止める。


 魔力すっからかんになったらどうなるかーー私が一番身をもってよく知ってるし。


 でも今回はさぁー?


「知らなかったんだもーん」

「知っていても、やりますよね?」

「……時と場合によるんじゃないかなぁー?」


 あの時何を言われたところで、私はきっと実行した。



 それが、最善手だから。



 実際、誰も死んでないらしい。


 私が頑張ってどうにかなるなら!

 そりゃ頑張るしかないっしょ!

 という事なんだけど。


 戯けて言ってみても、シーナはお見通しみたいだ。まぁ、私も今のは隠すつもりがなさすぎたけど。


「……まぁ、心配してくれるのは嬉しいけどね」

「けど、なんですか?」

「うわぁー。アルみたいだよシーナ……」


 淡々とした追及に耐えられず、うへぇと弱音を吐く。あぁ、アルのとこにも行かなきゃなのよねぇ。……怒られるのかなぁ。やだなぁ。


 ガシガシと髪を解かれながら、思い出して逃げたくなった。


 いや、行くけどね。

 心配かけたのは私だし。

 ちゃんとなんともないか、たしかめたいし。


「殿下はお可哀想ですね。お嬢様に迷惑ばかりかけられて」

「ひどっ⁉︎ え、シーナ私の侍女だよね⁉︎」

「お可哀想です。一生振り回されるなんて」


 シーナさん、私の話は無視して首を振りながら嘆かれます。


 ええー……。

 どこを同情してるのよ……。

 まぁ、そこについては大丈夫だけど。


「……そんなに言わなくても、私アルと結婚しないから大丈夫だよ」


 でもさすがに、ちょっとむくれつつ。

 しょぼんとして言ったんだけど。




「はぁぁぁ……殿下は本当にお可哀想ですね」

「いやなんでそこでため息吐いたのっ⁉︎」




 今までで一番のため息を零された。どうして⁉︎


「殿下と一生被害者の会を、立ち上げねばならない気がしてきました」

「なんで⁉︎ スケール大きくない⁉︎」

「せめてもと今日は可愛く致しましたので、存分に愛嬌を振りまいて謝ってきてください」

「どういうこと……ってでも本当に可愛いね、髪型」


 シーナはあんなに文句を言いながら、何故か凝った髪型にしてくれた。


 百合の位置はいつも通りだけど。

 編み込みもされたシニヨンだ。

 病室でもできる、精一杯。


 ……何故おめかしさせられたのかは、ちょっとわかんないけど。


「私にできるのはここまでです。こちらの片付けは承りますから、お嬢様は早く皆様の元へお帰りください。我慢していらっしゃいます」


 どうも元気になると判明した時点で、あの3人以外は帰ったらしい。


 私が女性だし。

 まぁ病院だし?

 いろいろ遠慮してくれたみたい。


 それでも1日は寝てたらしいんですけどね……ヤバい。この世界で病弱かというくらい、私は寝すぎである。


「……待っててもいいよ?」

「セス様とお帰りください」

「意見も聞いてくれないっ⁉︎」


 どっちが主人なんだ……⁉︎ と思いつつ、放り出された。


 廊下でセツに、首ねっこを掴まれるように捕まりーー馬車で連行された。



「あ、あれ……⁉︎ 私も、一応頑張った人なんだけどな⁉︎ 何この罪人のような扱いは⁉︎」

「あ? ちゃんと逃げないように連れてくるように、ブラン兄ちゃんに言われてるから」

「ほんとに連行だっ⁉︎」



 弟の発言により、確実に怒られることがわかりましたーーやだーーーー‼︎



「……あと、レイもどうにかして。あのままだとみんな気まずいままで終わるし」

「殴った人がなんか言ってる!」

「うっせーわ! あれは……まぁでも、本人もう反省してるから」



 じゃあとりあえず謝ろうよっ⁉︎


 気まずそうに窓の外へ目を向ける弟に、心でツッコミを入れながら。


「はぁ……お姉ちゃんの仕事が増えたわ……」


 面倒だなぁと思いつつ。

 自分の蒔いた種なので……収拾つけようと、覚悟を決めた。

ブクマや評価ありがとうございます!

お返しできてればいいんですが……。


ちょっとこの後時間取れなさそうなので

「フラない」感謝祭、今日は終了です!

ありがとうございました!


次の更新は日曜なので。

またお楽しみ頂ければ幸いです。

次回はみんな登場しますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ