表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、物語に挑む〜ゲームの舞台もフラグだらけです〜
200/533

189話 ちゃんと授業もやってます

 座学の多いFGの授業だけど、たまーに例外もある。それはなにも、魔法に限った事ではなくて……例えば。


「こ、これだけ並んでると壮観だなぁ……」


 マナー講座、とかね。


 まぁ貴族は、マナーを家でほとんど学んでるから、ほぼお遊びというか、単位目的の授業、みたいな感じだけど。


 今日はなんの日かと言うと、乗馬の練習らしいですよ。


 私これ知ってます。

 『学プリ』で見たよ!

 フィーちゃんとアルの、馬上ショットが拝めるアレですよね‼︎


 あのスチルは良かったですね〜! 密着ツーショットですわよ奥様。すっごい王子様だなーって思ったショットでしたわよ。


 しかしそれを考えるより、馬って正面から見ると、大きいなぁとしか思えないよ!


 ちなみに私は乗馬経験ないです!

 なんでって!

 運動神経が死んでるからだよ!


 落馬して死ぬくらいなら、乗馬はいいや! と思って生きてきました。えへ。


 しかも、私ちょっと馬苦手なのだ。


 いや、馬に罪はないんですよ。でもあの大きさがね? なんか怖いっていうかね? ほら、後ろに立つと蹴られて死ぬとかいうしね?


 なので今日はどうしようかなぁ。

 ちょっと不安ですよ。

 いやちょっとどころか、だいぶ不安。


 一人で乗れる自信はないんだけど、この授業基礎マナー1って授業だから、一年生しないない。お兄ちゃんがいない……!


 ふ、腹痛とかで休もうかな……。


「馬に乗るとか、非効率的です。絶対に加速(アクセラレーション)の方が早いですし、普段は馬車もあるのに」


 悩む私に気付かず、レイ君がぶつくさ言っている。


 知っているかな? それは風の魔力を持つものだから、言える事なんですよ……だから私は言えないですよ!


「そうでもないですよ。馬は長距離の移動に便利です。よほど急いでいるのでなければ、馬を使った方が体力も温存できますし、魔力も使わなくて良い。できるようになるべきでしょう」


 論理的な解答をするのはヴィンス。


 確かに! 体力温存したいよね! ずっと加速で走ってたら、もう本当にすぐバテちゃうよ。


「そんなの薬で一発ですよ!」

「どんな危ない薬作ってんだよ……」


 反論にぼそっと突っ込むセツ。


 もっとちゃんとじゃじゃ馬研究家の手綱、握っててくれないと、みんなが困るぞ!


「……馬、可愛い」


 そう言ってキラキラ見つめているのは、ノア君ですね。


 ノア君ってリストの時も思ったけど、動物好きだよね。馬まで適応範囲なのね。私は大きいと、ちょっと怖いなぁ。


「今更乗馬なんてお茶の子さいさいすぎて、あくびが出てしまいますの」


 リリちゃんは退屈そうだ。そう言いつつも、今日はポニーテールにしている。狙ったんじゃないの?


 我が国の姫は優秀であらせられるので、なんでもそつなくこなしてしまう。羨ましい限りだ。


「お馬さんは優しいので好きです! 大きくてカッコいいですよねー!」

「えっあ、そうね?」


 フィーちゃんも好きなのね……と、話を振られながら思う。


 フィーちゃんは元の『学プリ』では、そもそも酷い扱いを受けていたから、何もマナーを知らなかったんだよね。当然馬術も。


 今は『聖女様』故、箱入り娘なので、接した事がなかったんだと思う。そりゃ危ない事させないよね。


「……ティア、顔色が優れませんが、どうしました?」

「へ⁉︎」


 むむーっと馬を眺めていたら、アルが横から覗いていたらしい。ちょっとびっくりして、素っ頓狂な声を出す。


「い、いや。大丈夫……」

「大丈夫なら、そんな顔色にならないと思いますが」


 そう言ってアルは、指の背でそっと頬をなぞるように、私の髪を払う……ってこれ!


 なんか恥ずかしいんですけど!

 今授業中なんですけど!

 みんなの視線が刺さるんですけど‼︎


 かかかぁ〜っと顔の温度を上げながら、ちょっとだけ睨むけど。


「血色は良くなりましたね?」


 そう、揶揄うように微笑まれる!


 ばか! 違います!

 この血色はそういう血色じゃないです!

 羞恥の反応でございますわよ‼︎


「それで? 本当はなんなんですか?」


 逃すつもりはないらしい。イエローダイヤの瞳を少し細めて、追求の手は止むことがない。


 私は眉を寄せてそっぽを向きながら、ぶっきらぼうに言った。


「別に……ちょっと馬が怖いだけ!」

「あれ、動物は好きでしたよね?」


 不思議そうに問われて、目だけちらりと戻す。そして、馬に罪はないのでちょっとだけ気まずくなり、左下に視線を逸らした。


「……大きいものが怖い」

「え?」

「自分より大きいと、ちょっと怖いの!」


 勢いだけでそう言って、ブンッと前をに向き直った。もう揶揄われそうだから、横は見ません!


 なんだろうなぁ。上を見上げる経験が少なかったからなのかなぁ。


 ほら。馬って2メートルくらいあるでしょ?

 それでなんか、圧があるっていうか。

 いや、優しそうな目はしてるけど。


 しかも私、船から飛び込んで死んだせいか、高いところが苦手だ。


 ちょっとの高さも怖かったりするのだ。馬上は結構いい眺めだと聞きましたよ……高いから! だから、乗馬を避けてきたのもある。


 だって乗馬しなくても死なないですもん!

 馬車乗るからいいよ!

 有事の際は走るよ‼︎


 これ結局、レイ君と同じじゃない? と、はたと気付いた時。


「……なんだ、そんな可愛い理由だったんですか」

「え?」


 そして考え事の旅路から帰ってきたせいで、反射的に顔をアルに向けた。


 そこには、顔を半分手で隠しているアルがいた。


 私が振り向いても、視線は明後日の方向を向いていて、口元が覆われているけど……気のせいかちょっと赤い? 照れてるの? なんで?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*企画ありがとうございました!*
i583200

*短編悪役令嬢*
流星の如く輝く没落を!〜悪役令嬢はざまぁフラグ貯金でクソゲーを改変したい〜

*こっちは学園物です*
BLACKCAT SYNDROMEー黒猫症候群ー

参加しています。よろしくお願いします!
小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=289234961&s
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ