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フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、物語に挑む〜ゲームの舞台もフラグだらけです〜
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183話 辻斬り集団?

 あれからというもの……勢いが収まらない。


 何がって? それはね……。


「シンビジウム様〜!」


 今日もブンブンと手を振って、こっちへ走ってくるのは……。


「あ、危ないですわよ、ラナンキュラス様」


 そう慌てて言うが、全然聞いてはくれないし、止まってはくれない。


 そう、フィーちゃんのことだよ!


 FGに向かう途中、リリちゃんと歩いていたら、突然の襲撃を受けている、という訳です。


 こらこらお嬢さんよ、そんなに走るでない。

 転んでしまうぞ。

 というか、この国は結構貴族でも走るよね。

 加速(アクセラレーション)使うからね。


 そんな事を思いながら見ていたら、目の前でキュッと止まった。


 アクセル全開ですね今日も!


「ふふっ! おはようございます!」


 花もほころぶ笑顔で言われてしまえば、苦笑しながら返すしかない。


「おはようございます、ラナンキュラス様」

「お姉様に当たったら危ないですの。気を付けて欲しいですのよ、フィリー」


 それ、毎回全力でぶつかる君がいうかね?


 そう思いましたが!

 私はお姉ちゃんなので黙っております!

 可愛いから許す!


 リリちゃんは怒るポーズをしてはいるが、あんまり怒ってない。


 というか、この2人仲良くなっているのだ。

 あだ名呼びまでしているくらいです。


 『氷華』の心を溶かすなんて、さすが主人公!


 そしてそれに着々と進む、そこはかとないアルバートルートの雰囲気を感じ、私はまだ警戒態勢な訳ですけど。


 まぁ、かなり押されてるんだけどね!


 本来の『学プリ』なら、悪役令嬢(クリスティア)が、アルバート王子目掛けてクラスに来る場面がある。


 それをやってから、ランダム出現のリリちゃんを、友人として攻略すると、ハッピーエンドに行けるようになる。


 今のところ、条件揃ってるのよね。

 だからこの後の展開次第ってとこかな。

 まぁ、私的には順調だな、と思いつつ。


 このあとの悪役令嬢によるいびりは、どうなるのかなーと思っている。


 最初は大人数で詰め寄るんだけど、私取り巻きいないし。そして詰め寄ってどうしろと……と考えてまだできてないですねー!


 もうなんだか身分気にせず話してるし、周囲からは友達だと見られてそうなんだけどね?


「教室に行く前に、お二人に会えて良かったです!」


 ふわふわの髪も相まって、彼女の笑顔は甘く可愛らしいものだ。


 くっ! 負けるな私!

 二人の未来を考えるなら!

 ここで可愛さに屈してはならぬ!


 誰にも理解されない悶えを、心に抱えながら微笑みだけを返す。


「そんなに慌てなくても、まって差し上げますの。今度からゆっくり来たらよいですの」

「うふふ! ありがとうございます姫様! 心配してくれたんですね! でも大丈夫ですよ!」

「む……そういう意味じゃございませんの」


 リリちゃんが腕を組んでそっぽを向いても、その行動の裏はお見通しだ。

 光の魔力持ちには隠せない。


 リリちゃんもノア君のことがあるから、それは知っているはずなのだが、何故か強がっている。


 しかしフィーちゃん、ちゃんと使い分けるようになったのか、基本は覗いていなさそうだけど、こういう微妙な時は見てるよね。


 そういうのが、やっぱり少し不安になるのよねぇ。


 まぁ悪い事考えている訳じゃないけど。

 隠し事って後ろめたいからね。


 特にフィーちゃんは、今回私がやり遂げたい事の大本命だ。バレたり怪しまれたら、今後の展開に影を落とすことになる。


 どこまでならハッピーエンドになれるか、私も手探りな状態だから。


「おや、お三方はそこで何をしているんですか?」


 声に振り向けば、そこには今日も輝くプリンススマイルーーあぁ、女子生徒達が倒れていく。


 ちなみにこれは、アルのせいだけじゃない。


 後ろにゾロゾロと……つまりみんないるからだよ! 仲良しだね!


 歩く殺人集団と化してるけどね!


「おはようアル、みんな。なんかすごいね……」

「お兄様と皆様おはようございます。ヴィンセントは早く視界から消えて欲しいですの」

「お、おはようございます!」


 爽やか集団に、3人で挨拶する。


 なんか演劇でも始まりそうなくらい、周りから人が引いちゃったね。

 劇団ノーブル、ほんとに開幕しちゃうのかしら。


「朝からそこで固まっていては、邪魔になりますよ?」

「ヴィンセントほど、邪魔な存在はいないから、大丈夫ですの」


 今日も元気にバチバチバトル。


 笑顔だけは、2人とも見惚れそうなほど綺麗だ。


「おはようございますー! クリスちゃんに聖女様ー! いい朝ですね!」

「どこがだよ。さっきまで『あんな勉強、やるだけ無駄です』とか言ってたくせに」


 いい笑顔で元気な研究家と、だるそうにする我が弟君も、絶好調ですね。


「おはようございます、皆さん。話しているのはいいけど、生徒会の役員な事を忘れないでね。みんな見ているから、端に寄った方がいいよ」

「……朝から、楽しそう」


 私以外もいるから、いつもより先生なお兄ちゃんと、今日は顔色もよいお人形さん。良かった、元気そうだね。


「私たちもさっき会ったんだよ! 偶然だね! あともう行くから大丈夫!」

「そんなにゾロゾロの方が、邪魔ですの」

「こらリリちゃん」


 笑顔で言うけれど、隣のリリちゃんがヴィンスを睨んで仕方ないので嗜める。そのゾロゾロの対象、一名しかいないでしょう! もう恒例行事だね。


「そうですか。では教室までご一緒にいかがですか?」

「は、はい!」


 アルはフィーちゃんの方を向いて、そう告げた。


 あ、あれ?

 うーん、なんか違和感。

 いや、フィーちゃんに気を遣ってるのよね?


「お姉様……その調子ですの! 考えるんですのよ!」

「え? 何が?」

「……失敗しましたの」


 リリちゃんに話しかけられてそちらを見ると、気合を入れて握り拳を作っていたのに、急に項垂れてしまった。


 なんだかよく分からないまま、一緒に校舎へみんなで歩いていく。

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*企画ありがとうございました!*
i583200

*短編悪役令嬢*
流星の如く輝く没落を!〜悪役令嬢はざまぁフラグ貯金でクソゲーを改変したい〜

*こっちは学園物です*
BLACKCAT SYNDROMEー黒猫症候群ー

参加しています。よろしくお願いします!
小説家になろう 勝手にランキング

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「隣がヴィンスを睨んで」なんですが、これって 『クリスティアの隣にいるりりちゃんがヴィンスを睨んでいる』のか『りりちゃんが隣にいるヴィンスを睨んでいるのか』どっちの意味ですか? 前者な…
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