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フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、思い出す〜バッドフラグはここから始まった〜
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16話 本当のバッドエンドフラグ回収

「……へ?」


 ほうけた声を出してしまった。慌てて姿勢を正し、疑問を言葉にする。


情報操作(かいへん)……なぜそれが闇という言葉につながるのですか? 正直それだけでは、こんな仰々しい名前の意味がわかりませんが……」


 ゲームやりたての時はなんとなく違和感を持ってはいた。幻影見せるとかはたしかに闇っぽいけど、予知予言とかどう関わりがあるの? というか、それむしろ光っぽくない? と。一貫性が感じられなかったから。でもまぁゲームによくあるご都合主義かななんて、軽く流してここまで来たけど……。


 瞳を伏せて視線をそらす、アルバート王子。

 美しいものほど、たまに怖いときあるよねー……。

 子どもの中に大人を詰め込んだみたいな反応をする……ってそれは私か。



「闇属性の真たる力は、情報を自在に操れることです。予言や幻影などはその結果にすぎないのです」



 先生気取りだからなのか、口調が完全に堅めの敬語に戻った。敬語って敬っていると思うけど、距離を感じる気がする。いつかはその心をこじ開けられるだろうか。



「情報を操る……とおっしゃりますと……?」

「たとえばこの世界を、一冊の本だとします」



 なんか唐突にはじまった。……まぁこの世界はゲームだから、例えが本でもおかしくはないよね。そういえば小説だけの話とかもあったなーとかぼんやり思った。私は見る前に死んだけど……。




「闇属性は、いわばこの物語の読み手であり改編者のようなものです。この物語を書き換えられるし、先を読むことが出来る。それこそ、筋書きを変えるように街を森に変えたり、本をめくるように任意に選んだ場所を読むように、未来を知ることができる」




 は? え? なにそれ。

 真剣な面持ちで簡単におっしゃいますけれど……。

 それ、まともに考えるとさ?



「闇って、チートすぎでは……?」



 びっくりし過ぎて、心の声が出てしまった。


「ちー?」

「い、いえ! なんでもありません‼ ちょっとこんがらがっちゃってみたいな⁉」

「……それなら良いのですが。まぁもちろん、それ以前にその才能とそれにともなった魔力も必要ですので、先ほどの例のような大それたことを普通はできませんが」



 ちょっと聞いてないよ!

 ゲームでそんなこと言ってなかったよ‼︎

 それ、成功率4割でも激ヤバチートですけど!!!!



 だって望んだようになんでもわかるし、なんでもできるってことでしょ? 無敵じゃん! ていうかそんなのが悪役だったら超マズいですけども……ん?


 というか、それってつまり?




「……あの、もしかして。私って危ない存在だなーみたいな……危険視されていたりとか……?」




 とたんに黙る王子。


 やめてよぉぉぉ!!!! 黙らないでくださいませんか⁉

 真実味が増して空気がもはや鉛‼

 その予想は外れていると言って欲しかった!


「あ……でも危険視なら、婚約者にしないですかね……?」


 ははっと、乾いた笑い声が口から出るけれど。


「……一番近くで、見ていられるので」


 言葉を選びながらも、真実を告げられる。



 アウトーーーー!

 一発サヨナラホームランです!

 打たれたのは私だよ!!!!



 つまり監視か! 監視なのか‼︎ 監視するのに都合がいいのか!!!!


「そう、ですか。つまり父の死は、関係なかったのですね。なるほど……」


 なるべくしてなったわけね!

 婚約者(とりかごのとり)にね!

 危険人物だからね‼︎ 苦笑いもできないかも!!!!


 思い起こせばわかったことだったのかもしれない。父は領地もあって、分家の辺鄙な地方領主だった。血縁であっても本家(こうしゃく)とは違う。正直、もっと上はいる地位。



 ()()()、王に直訴できるほどの王宮騎士。



 うちの一族で王宮騎士なのは父だけだ。うちの家系は力より頭脳で上に行くタイプ。王宮騎士っていったら花形職だけれど、そう簡単にはなれないし伝手にも限界がある。しかも王に話しかけられるなんて、貴族の中だってそういないだろう。地方の分家程度の地位の貴族の実績もない家からこのレベルの出世——裏があると思わない方がおかしかった。


 父は特別強くもなかったようだし。

 見た目も筋肉隆々からは程遠い。

 だから推薦された理由は、肉体的な話ではないのだと予想がつく。




 簡単なことだった。()()()()()()だったのだ。



 危険なものは、遠ざけるか隔離するのがいい。でもそれが味方だったならば逆だ。抱え込んで操り人形にできるなら、いい武器になる。それこそ、情でほだしてしまえば都合のいい駒に……。


 わかってた。

 わかって気付くべきだった。

 なのになのになのにーー‼︎



「墓穴ーーーー‼︎」

「⁉︎」



 王子がびっくりしてるけどそれどころじゃない! 間違いない……ゲーム内のクリスティアは世の乙女の予想通り、本当に暗殺されたんだ!


 そしてそれは当然私にも適用されるわけで!

 今の私がこの歳で魔力使いこなせたら⁉

 その大きな力を恐れられて……ていうルートが見えるよね!!?

 



 つまり自分からバッドエンドフラグ全力回収に行ったってことじゃんーーーー!!!!




 ばっっか! 私バカッッ‼︎  いらない筋書き(バッドエンドフラグ)を立てた自分を呪いたい。頭を抱えても、もうおそい! どーすんのよこれ、しょっぱなからしょっぱい開始なんだけど!!!!

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*企画ありがとうございました!*
i583200

*短編悪役令嬢*
流星の如く輝く没落を!〜悪役令嬢はざまぁフラグ貯金でクソゲーを改変したい〜

*こっちは学園物です*
BLACKCAT SYNDROMEー黒猫症候群ー

参加しています。よろしくお願いします!
小説家になろう 勝手にランキング

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