表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フラグ回収から始まる悪役令嬢はハッピーエンドが見えない〜弟まで巻きこまないでください〜  作者: 空野 奏多
悪役令嬢、思い出す〜バッドフラグはここから始まった〜
12/558

10話 謁見 (挿絵)

 流れるようにあっという間、気づいたら謁見の間。


 赤く重厚なカーペット。

 白亜の白さが眩しい大理石。

 美しく磨かれた、宝石のようなシャンデリア。


 光を反射し、キラキラと煌くそのすべては——目の前の長く高く見える階上へ鎮座する、我が国の最高権力者をさらに。ここに来たなら、だれもが迷わず目を奪われる存在感。



 フィンセント王国国王陛下。

 アレキサンダー・カサブランカ王が厳かに、圧倒的迫力で鎮座していた。



 ちなみにお隣には勿論フローラ王妃がにこやかにいらっしゃり、アルバート王子もいらっしゃる。あぁーすごい神々しいですね! 人間って何か考えさせられる勢いで、場違い感がハンパないです。

 

 ところでなんで5歳児ここにいるんだろう!


 誰かおかしいと言ってくださいお願いします。見た目は子ども、頭脳はおとな! なおかげで冷や汗が止まらないよ。今だけ幼児退行とかできないかな、できないな! もう私は、ぎこちなく周りに合わせるだけのロボットに成り下がっていた。ムリです頑張れない。



(おもて)をあげよ」



 その言葉で、私を含めシンビジウム家一同が顔を上げる。気づかぬ間にお辞儀をしてたらしい……大丈夫か私。ま、まぁ今は子どもだから、うん……。


「クリスティアよ」

「は、はい!」


 え、なぜ私名前呼ばれた⁉︎

 こういう時最初に呼ばれるのは普通家長では⁉︎

 もはやパニック! 望むバニッシュ! 頭クラッシュ!

 壊れてないとやってらんないYO!


「調子はどうだ」

「ご、ご心配いただききありがたくぞんじます! 治療を受けましたので、もう問題ございません!」


 私言葉大丈夫⁉︎

 敬語あってる⁉︎

 失礼ないのこれ‼︎


 色々ぐるぐる考えながらも絞り出すように答えると。


「そうか、なら良い」


 ふっと笑って、無事で何よりである、とアレキサンダー王は仰った。あ。いい人だ。ちょっと緊張が解けた……ただ普通に心配してくれただけみたいで、小心者の心は救われました。もう一仕事終えた気分だけど、まだ本命終わってない。とてもつらい! がんばろう私! 私1人なら逃げたいけどね‼


 その後「アルバートよ、2人に城を案内してあげなさい」と、暗に席を外しても良いと促す意味の許可をくださった。ありがとうございます王様‼︎ ナイスタイミング! 


 「はい、父上」


 そう言って降りてきたアルバート王子は——あらためて見るとほんとに美少年。

 というか今だと、美少女といっても通りそうな感じに美しかった。

 ゲームなら背景にキラキラ粒子や薔薇(バラ)エフェクトが確実にある。



 あるっていうか……見えた。(幻覚)



 あぁでもこのゲームは、王家の花が薔薇じゃなくて百合なんだよね。薔薇も似合いそうだけど、薔薇は別にいるからね。でも百合もとても似合う。気品あふれる清楚ないで立ちというか。百合の花——王家の家紋であり家名でもあるカサブランカは、白く美しく清廉だけど迫力もあって、正に王家って感じだ。名は体を表す的なね。



「クリスティア嬢、お手をどうぞ」



挿絵(By みてみん)


 考え事してたらアルバート王子が目の前にいて、手を差し出している。


 うわぁ目の前にいると本当に、なんていうか……。


 上品な黄金の髪は柔らかに艶めいていて。

 睫毛は思わず見惚れてため息が出るほど長い。

 瞳を閉じるその様は、小鳥の羽ばたきのようで。


 子どもらしい丸みのある頰とうすく開かれた唇は、ほのかなピンクに染まっている。白く滑らかな肌と合わさって、果実のような甘ささえ感じさせる。


 例えるならばその様は、まるで天使……ってあぁセツに睨まれてる。

 何してんだ早くしろと幻聴が聞こえる。

 たぶん心の中でほんとに言われてる。お姉ちゃんはわかる。


 私もあんまりみっともない所見せてばかりではいられないので。いろんな動揺をなんとか堪え隠して、にっこりしてみせて手を取った。「セス殿もこちらへ」とアルバート王子が声をかけ、私達は謁見の間を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ