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02.現実と記憶の狭間

「…ん…し……ん…しおん…詩音!!」


耳元で名前を大声で呼ばれ驚き飛び起きると


「大丈夫か?寝不足なら今日遊ぶのやめとく?」


心配そうに私の顔を覗き込んでくる少女

その少女は私の親友、田所千紗都(たどころちさと)だった

どうやら私は、千紗都のベットで寝ていたらしい

しかし、さっきの悪夢は夢にしてはやけにリアルだった


「ありがとう、大丈夫だよ」


とりあえず、千紗都に心配をかけないように笑顔で答える


「そう?…それなら、『ゲーム講座』始めよっか!!」


「うん、お願いします。師匠(ししょう)


千紗都は娯楽を知らなかった私にゲームを教えてくれた先生だ

なので、ゲーム講座の時は師匠(ししょう)と呼んでいる

そう呼ぶと千紗都は何故か誇らしげな顔をする

そこが少し可愛い


「では!今回のテーマは〜じゃん!『BLゲーム』です!!」


「…?」


頭の中で?マークが飛ぶ


「今回の目標は目指せ、腐女子だね!ちなみに腐ってる女子で腐女子だよ!!」


「えっ…私、腐らなきゃいけないの!?」


千紗都はやる気満々なのだが、流石にゲームをするために身体を腐らせなければいけないのなら、このゲームは保留にさせてもらいたい。

慌てふためく私を見て、千紗都は大笑いする


「あはは!笑いすぎてお腹痛いよ!!ほんっとに詩音は真面目だな〜」


「だって『腐る』『女子』なんでしょう?」


あまりにも千紗都が笑い続けるので流石に不快感を感じ反論する


「そうだけど、違うんだよ『BL』つまり、『男同士の恋愛』が好きな女子のことを腐女子って呼ぶの」


「さっき、詳しく説明しなかったじゃない」


「ごめん!ごめん!!今回は、私が大絶賛してるゲームだからそれで許して!」


ふてくされる私を見て、千紗都は機嫌をとってくる

それで、機嫌が治ったのだから我ながら、私は安い女だと思う

しかし、千紗都がおすすめしてくるゲームは今まで外れたことがない

その千紗都が大絶賛するゲームなのだ

好奇心の方が勝ってしまった


「いいよ。それで?どんなゲームなの?」


私が聞くやいなや目を輝かせ語り出す


「よくぞ、聞いてくれました!これは、学園ものなんだけど、平民の主人公が魔法学校に入学して色んな男子と出会い恋に発展していくの!」


「前回の乙女ゲームと同じ感じなの?」


「路線はそんな感じね!それでね、私としてはね………」


その後、小一時間に渡りこのゲームについて教えて貰った


「でも、私の一番の推しはね、主人公を暗殺しようとしてくるモブなんだ〜」


「えっ!?なんで、そんな怖い人が推しなの?」


あんなにも他の人のことを語っていたのにも関わらず推しが違うことにも驚いたが、普通、自分(プレイヤー)を殺そうとしてくる人には嫌悪感を抱くはずだ

だからこそ、私は何故、その人が推しなのか聞かずにはいられなかった


「私も最初は嫌な奴だと思ったんだけど、彼どのルートでも死んじゃうんだよね…それで、段々可哀想になってきちゃって…」


「でも、主人公を殺そうしたんだから、しょうがないのではないの?」


「それが、違うんだよ。最近、作者書き下ろしのキャラ説明書が発売されたんだけど、彼は、元々孤児で拾ってくれた真の悪役に利用されてただけだったんだよ!!」


「なにそれ!可哀想過ぎるわ」


「でしょ!!」


気づけば、ゲームの話からモブ君の話に変わっておりモブ君について一時間ぐらい使って語り合った


「詩音もモブ君のこと気になりだしたでしょ!」


「気になるけど、主人公とは結ばれないのでしょ?」


数々のモブ君の不幸ばなしを聞いて、私の中で主人公と結ばれてほしいという気持ちが大きくなっていた


「なんと!追加エピソードでモブ君も攻略キャラに、追加されたの!!もちろん、私は購入済み!…でそのゲーム機がここにあるんですけど、やりますよね?」


さながら、通販販売員の様な説明口調でニヤリとこちらを見て笑う千紗都

私は、ごくりと唾を飲み込み


「もちろんですとも!」


しっかりと頷いた


「そうこなくっちゃ〜!それじゃ始めるよ!」


やはり、千紗都といると初めてのことばかりでとても楽しい


「うん!…ところで、モブ君の名前ってなんて言うの?」


ずっとモブ君と読んでいたが、攻略キャラに追加されるくらいなのだから、ちゃんと名前がついているはずだ


「あれ?まだ言ってなかったっけ?モブ君の名前は………だよ!」


「えっ?ごめんなさい。聞こえなかったからもう一度お願いしてもいい?」


何故か、名前の部分だけ聞き返す

しかし、いつの間にか千紗都はいなくなっており、私は真っ暗な空間にいた

確かに、千紗都の部屋に二人でいたはずなのに…


「な…に…これ…」


さっきまでの楽しさが嘘のように消え、恐怖に押しつぶられそうになる


「誰か!誰かいないの!!」


叫んでも返事はない

恐怖はどんどん増していく


「誰か…」


再び、叫ぼうとした瞬間

突然、額になにか冷たいものが乗る感触を感じ驚きのあまり目をつぶる

再び、(まぶた)を開けた時には、見た事のない木の天井が目に入る


「わたしは…」


状況の変化に対応出来ない

辺りを確認しようと起き上がろうとしたが、身体が怠くて起き上がれない


「おや、やっと目覚めたのかい?」


どこか聞き覚えのある声

声のする方を見ると意識を失う前にあった老婆だった


「えっと…あの…」


未だ、頭は状況が飲み込めておらず、何を言えばいいのか分からない


「無理に喋るんじゃないよ!私があんたと会ったことは覚えてるかい?」


覚えてるので頷く


「その後、あんたが倒れたことも覚えてるかい?」


再び、頷く


「それなら、話が早いわ。私は、ナターシャ・アルダンテ。山奥で一人薬を作っているしがないババアだ。あんたが倒れた後、家に連れて帰って看病してたのさ」


どうやら、お婆さん…もといナターシャさんに私は命を救われたようだ


「あ…りがとう…ござ…います」


「お礼なんていいんだよ!感謝の言葉よりまずは、自分の事を考えな」


「はい…」


お金は持っていないけど、元気になったら絶対に何か恩返しをしようと心に誓った


「そうだ、最後に一つ。あんた、名前はなんて言うんだい?」


「ロイド…ロイド・シュワルツです」


命の恩人には本名を明かすべきなのに、何故か言う気になれず、外で使っている名前を名乗った


「ロイド・シュワルツ…ね…いい名前じゃないかい!早く元気におなりよロイド」


そう言ってナターシャは去っていく


「はい…」


返事をし頷くと眠気が襲ってくる

再び、意識が途切れる寸前、千紗都が言った言葉を思い出した


「モブ君の名前はね『ロイド…ロイド・シュワルツ』だよ!」

早く書くって言ったのに遅くなって申し訳ないです!!

このお話見捨てず、読んでいただきありがとうございます

これからも頑張っていきます\\\\ ٩( 'ω' )و ////

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