10.ナターシャの試練 後
今回は早めの投稿です(`・ω・´)ゞ
ナターシャに出された試練『ジャイアントロックベア』を討伐するため私は王都から離れ、ま者がよく出没する森の奥にやって来ていた
その魔物の姿は見たことないが、ほとんど普通のくまと同じだが、体が毛ではなく石で覆われていてよく岩と勘違いしてしまう人が多い
それだけでなく、その石を敵に向けて発射できるらしい
倒す方法は弱点の唯一岩がない顔、特に目を狙い
視覚を奪って石を乱射させ心臓の部分の石が無くなったらそこを狙う攻撃すること
「はぁー、ラザフォードさんにはあんなこと言ったけど私倒せるかな〜?」
ついさっきのことを思い出しため息をつく
魔物がいないことを確認し休憩するため近場の岩に座った
その瞬間、岩がぐらりと大きく動いた
私は瞬時に飛び上がり岩との距離をおく
そう、それは岩ではなく熊
『ジャイアントロックベア』だった
「あはは...私いつフラグたてたっけ?」
苦笑しながらも頭には今日持ってきたものを思い浮かべる
剣、ポーション5個、痺れ玉3個、水筒、ナイフ、毒矢3本
ここはやっぱり痺れ玉!!
痺れ玉1つ手に取りロックベアに向けて思いっきり投げる
投げた痺れ玉はちゃんと命中しロックベアの動きはとても鈍くなる
その瞬間を見逃さず、ロックベアの顔の前に飛び上がりナイフで両目を一気に潰す
ロックベアは激痛に雄叫びを上げ顔を振りだした
私は顔にしがみつき脳に向けてナイフを突き立てたが、脳付近の皮膚は鋼鉄になっていてナイフが折れた
しょうがないのでロックベアから離れ様子を見ることにした
その間もロックベアは頭振り体の岩を発射し続けている
待つこと5分、ようやくロックベアの心臓の石が発射された
それを焦らずしっかりと剣で貫き倒した
かすり傷程度で、ほとんど怪我もなくジャイアントロックベアを倒すことが出来た
倒した魔物は持ち帰れれば全て、出来なければ、決められた部位を切り取り持って帰ることでクリアだ
ジャイアントロックベアは両耳
皮膚があんなに硬いのだから耳は苦労するだろうと思っていたら案外すんなりと切ることが出来た
後で、聞いた話だとジャイアントロックベアは死ぬと石がついたままだが、硬さは生きていた頃の10分の1程度にまで落ちるらしい
試練はクリアしたし帰ろうかと思っていたら近くで奇妙な鳴き声?が聞こえた
ジャイアントロックベアが簡単に倒せたことで調子に乗っていた私はその声のする方に向かって進んだ
他の魔物も倒したらもっと褒めてもらえると思ったからだ
しかし、その考えが間違いだった
声のするほうに向かうと2匹の魔物が争っていた
1匹はとても大きな狼、もう1匹は腕が4本ある大きなゴリラだ
どちらかと言うとゴリラの方が有利に見えた
お互いに体力が消耗したところで一気に両方とも倒そう
木の影に隠れ2匹を見ているとあることに気がついた
狼の片足に大きな石が刺さっていた
狼はその痛みから動きが鈍っているように見える
もしかして、私の戦いの時に飛んでいった石が刺さってる?
どう考えてもいしが刺さるなんてこと普通の状況では起こらない
少しの罪悪感が芽生える
言ってしまえば、単に運が悪かっただけ
だけど、私にはそう考えられなかった静かにゴリラを狙って毒矢を構える
弱点も強さも分からない、しかもまだ弱っていないゴリラを倒そうとするなんて馬鹿だと思う
でも、このまま狼が負けるところを見るなんて気分が悪い
私はゴリラの首目掛けて毒矢を撃つ
毒矢は、まっすぐ飛んでいき首に刺さる寸前にゴリラが右腕でガードした
幸い弾かれず腕に刺さったのはいいけど...何でばれた?
私が撃った場所は完全な死角分かるはずがない
もう一度、死角から撃とうと場所を移動しようとした瞬間、ゴリラの後頭部に大きな目が一つギョロりと開いた
「なっ!?嘘でしょ!」
その目は私を追ってギョロギョロ動き続ける
私の考えが甘かった
このゴリラは腕が4本目が3つある魔物だったんだ
今そんなこと考えてももう遅い
ゴリラは弱っている狼でなく私に目標を変え突進してきた
図体はでかいくせに動きはとても早い
急いで、痺れ玉を投げつけ剣を手にする
どうやら痺れ玉も片手で受け止めたようでゴリラは両腕1本ずつ毒と痺れ玉で負傷しているが、本体は狼との戦闘で少しの傷がある程度
剣で残りの腕を斬ろうと思い一気に距離を詰めたが固く少しの切傷しかつけられなかった挙句、私は腕で殴り飛ばされた
腹が痛い...多分アバラが何本か逝ってしまった
ゴリラはニタニタといやらしい笑みを浮かべ近づいて来ている
どうする...どうすれば助かる...どうすれば...!
そこで気がついた
私はこのゴリラを倒してナターシャに褒めてもらうことに必死で魔法を使っていないことに
アバラを自分の光魔法で治して立ち上がる
今度はゴリラに向かって私がニヤリと笑う
そこからは形勢逆転
まず、風魔法で一気に移動速度を上げゴリラの後頭部の目玉を剣で一突き、苦しむゴリラの動きを完全に封じるため両足の筋も切る
立てなくなったゴリラは横たわりもがきだす
そのゴリラの顔の前に最後の痺れ玉を投げつけて動きを鈍らせてからしっかり心臓を狙って剣を突き刺した
ゴリラはそのまま息絶えた
ゴリラを倒した私はその場に横たわり自分の心臓の音を確認する
トクントクンと静かに脈打つ心臓
それを聞きながら生きている実感に安心しながら目を閉じる
******
冷たい...
そう感じて目を開けるとさっきまで倒れていた狼が私の顔を必死に舐めていた
そのせいで顔がベタベタだ
私が目覚めたことに気づくと狼は舐めるのをやめた
そして、立ち上がり去っていこうとする
「待って!」
急いで立ち上がりそれを呼び止めると狼はくるりと振り向いて止まった
「ちょっと待ってね?この足、多分私のせいなの...ごめんね。いま治してあげるから」
狼を無理矢理座らせると足に刺さった石を抜き取る
突然の痛みに驚いたのか狼は絶叫した
私は狼の体を撫でながら急いで足の治療をする
一気に魔力を注いだので足はすぐに治った
「よし、痛いのによく頑張ったね!」
狼の頭を撫で空を見上げると日が沈み始めていた
出かけたのがお昼前だから結構時間が経っている
きっと二人とも心配しているだろう
最後に狼の頭をポンっと叩いて
「じゃあね」
私は狼の前から立ち去った
...のだが、何故か狼はついて来た
しかも、あのゴリラの頭を持って
「あの...どこまで付いてくるの?お家に帰らないの?」
私の問いを狼は完全に無視
私が止まればその場に止まるし歩けば歩く
結局、王都の前までついて来た
私と狼の登場に門番さんはとって驚いていた
知らせを聞いてすぐにラザフォードとナターシャが現れる
二人も狼とゴリラの頭そしてボロボロになった私を見て驚いていた
ゴリラの頭とロックベアの耳は回収され狼も待機する予定だったが、狼が私の側を離れなかったので一緒にギルドまで向かう
ギルドには裏口から入り最初にいた部屋へと案内された
そして部屋に入るなりナターシャからげんこつを貰った
「痛い!!」
「この馬鹿息子!誰がAランクまで狩って来いって言った!!しかも、こんなボロボロになって!何があったか説明しなさい!!」
二人を見ると鬼の形相で怒っている
怖いけど、そこまで心配してくれたことを嬉しく思いながら今日あったことを全て...いや、魔法のこと以外のことを話した
「...って感じで遅くなって「...嘘だね」へっ?」
しかしその嘘は簡単にばれてしまった
話の辻褄が合うように話をしたのにも関わらずだ
「まぁ、『シャドウシルバーウルフ』が懐いた理由は分かったが、私が知っている今のお前の実力じゃ運が良くてもあの『バインドディバレ』には叶わない。何か隠してることがあるだろう?正直に言いなさい!」
ナターシャの気迫に押され私は隠していたことを話した
「実は、この前ケルベロスを拾ってきた時にね実験したんだ。他の属性も使えるんじゃないかって...そしたら、あの...全属性使えちゃって...それで、今回は風魔法使って加速して戦ったんだ...嘘ついてごめんなさい」
頭を下げ謝る
しかし、二人とも何も返答はない
そんなに怒らせたんだろうかと思い恐る恐る二人の顔を見ると固まっていた
もしかして、うそだとおもわれてる!?
「今度は嘘じゃないよ...ほら、火魔法なら指を鳴らして火がつけられるし水なら!「分かった!分かったから、一旦やめなさい」...うん」
水魔法を使おうとした瞬間、ナターシャに腕を掴まれ止められる
ナターシャとラザフォードは二人はこそこそと何か話し合い始めた
きっと私の罰の話なんだろう...
はぁ...やっぱり余計なことはするべきじゃなかったかな...
落ち込む私に狼が寄ってきて体を擦り付ける
「励ましてくれてるの?ありがとう」
狼の頭を撫で癒されているとラザフォードとナターシャの話は思ったより早く終わったようだ
まずラザフォードが口を開く
「ギルバート・アルダンテ君にAランク冒険者としての資格を与える...ただし!人前で魔法を使うのは2種類まで!ナターシャさんと話合い後日、どの魔法にしたか報告してくれ。俺からは以上だ」
ラザフォードの言うことに理解が追いつかないまま次にナターシャが口を開いた
「ギル...言いたいことは色々あるけど、今言うことは二つ。絶対に人前で2種類以上は使ってはいけないこと、それと明日からの訓練はいつもの何倍も厳しくなることそれだけだ。さぁ、帰るよ!どうせその狼も連れて帰るんだろ?お前の帰りが遅いから家に帰る頃は真っ暗だ!ほら、急いだ急いだ!!」
ラザフォードにAランク冒険者について聞こうと思ったのにナターシャに腕を引っ張られ半ば引きづられるようにギルドを後にする
その後、疲れからか私は馬車の中で爆睡し気づけば家の前
寝ぼけながら目を擦り馬車から出ようと扉に手を伸ばす
しかし、馬車の中にいる私は知らなかった
家の前ではケルベロスと狼の喧嘩が始まろうとしていることに...
魔物の名前が酷すぎる件には笑って見逃して下さい...:(;゛゜'ω゜'):
人の名前を考えるのも難しいですけど、魔物の名前が一番難しいと痛感しました!!
こんな名前どう?こんな魔物どう?みたいなアドバイスがあれば是非いただけると助かります!!
感想とかも気が向いた時にでも書いていただけるとすごく嬉しいです!!