表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
origin【オリジン】  作者: 黒い犬
イナセ誕生編
8/61

8 ある日、森の中、○○に出会った

細部修正しました。ご指摘ありがとうございます。

「イナセ、まだ歩くの?」

「うん。整備された道も見当たらないし、まだ人間の暮らす町までは結構距離があると思う」

「なんで人間なんかに会いにいくのよ!?私達モンスターは人間に賞金かけられてるのよ?やっぱり頭がおかしいんじゃないの?」

 耳が痛い………

 ーー物理的に。

 以前森で倒した爆音植物の三倍くらいの音量でアリスが怒鳴ってくるから、鼓膜が悲鳴をあげている。

 どうか勘弁していただけないだろうか。

『ふっふふ。少年、いい奴隷を貰ったな。吠える兎、最高に愉快ではないか』

 あの、脳内で大爆笑するのやめてもらえませんかね?

 少し憤りを感じたが、怪物と戦った時はサポートして貰った事もあるから黙ってやることにした。

「アリスさん、人間とモンスターは分かり合えるはずなんです。本当の敵は悪魔です。魔王が創り出した天災こそこの世から撲滅しなければならない敵なんですよ!」

「……………………」

「イナセってさ…………天然なの?それとも本当のバカなの?馬鹿野郎なの!?」

「え?な、何故ですか?」

 疑問だった。

 自分は正しい事を述べたはずだ。

 悪魔は生ある者を喰らい尽くし、世界を破壊させるために創り出された魔王の遺物…………

 けしてこの世に残っていてよい存在ではないのだ。

「だってさ、悪魔っていっても危険度が分かれるけど………危険度ニからの悪魔になるとあんたら剣聖達しか太刀打ちできないレベルよ。私達モンスターはともかく、人間の兵士なんて瞬殺でしょうね」

 呆れたようにアリスが説明する。

 そういえば危険度ってあの悪魔に勝った時に脳内でアルティーナが言っていたような…………

『おい少年!下の名前で呼ぶな!は、恥ずかしいだろう!!』

「なっ!?口に出していませんって!ていうか何で僕が考えている事が分かるんですか!?」

『君と私は文字通り、一心同体だからな』

 え?なにそれ嫌なんですけど!

「…………さっきからあんた、誰と喋ってるの?」

 どうやら僕の脳内フレンドの声は周りの人には聞こえないらしい。

「え、ええと………精霊かな?」

「やっぱりあんた変人ね」

 アリスがイタイ(・・・)人を見る目で僕の事を見てくる。

 ちょっと待て!さっきのは完全アルティーナのせいだろうが!

『ははは!君の焦る表情、ゴブリンのようで実に滑稽だな!』

 本当に性格がひん曲がってんなこの剣聖!

「あ!ちょっとイナセ、なんか居るわよ?」

 肩を突かれたて反射的にアリスの指差す方向を見ると、そこには先程自分と似ているとアルティーナが比喩したゴブリンがいた。

『噂をすればゴブリンとはこの事だな。少年、ゴブリンなど雑魚だ。ぶっ殺すんだ』

『…………冗談だ。そう怒るな、少年』

 久しぶりに本気で怒った気がするが、今回はアルティーナが素直に謝ってくれたから許す事にする。

 それよりも重要なのはーー

「おいそこの女二人!武器を捨ててオデ達について来い!!」

 どうやらこのゴブリンは僕の性別を間違えるという大罪を犯し、僕達のことを拉致しようとしているらしい。

 拉致されるくらいはどうだっていいが、それよりも僕の性格を間違えた罪は重い。

「おいそこの銀髪ロリ!怖い顔してないでさっさと来い!それとも殺されてえのか?」

「あ、殺す宣言しちゃったこのゴブリン…………終わったわね、南無阿弥陀」

「あ?何だ兎耳さっきから小賢しーー」

 刹那、エクスカリバーを収納する鞘でゴブリンの鳩尾を突く。

「グッエエエ!」

 鳩尾を突かれたゴブリンが死にかけのカエルの様な断末魔を響かせて泡を吹いて地に崩れ落ちる。

 一瞬で仲間を一体倒されたゴブリン達は予想外の事が起こったようで少し騒つく。

「お、おい!おまえ、何者だ!?」

「兄貴、この銀髪娘ぶっ殺しましょうや!」

「あまり女に刃を向けたくないが、そんな寝言を言えるような状況ではないな。よしお前ら、ぶっ殺さない程度にやれ!」

「「はい!」」

 ゴブリン全員が武器を構え、僕とアリスを囲んでジリジリと迫ってくる。

「ねえイナセ、あいつら武器持ってるじゃないの!ねえ、勝てるの?本当に勝てるの!?」

「大丈夫、一分で終わらせるよ」

 そうだ、僕には剣聖がついているし凄まじい再生能力も持っている。

 殺さずに敵全員を気絶させることくらい、危険度九の悪魔を倒すことよりも容易な事だ。

「さあ、始めようか」

 僕は微笑みながら鞘付きの剣を構えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ